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「風呂は大好きだ」

改めてそう言いながら俺はハロルドの横をすり抜けてバスルームから出る。

「テラスに出ても良いか?」

そう言いながらも、返事を待たずに部屋を横切って大きな掃き出し窓へと足を向ける。

背中に「いいぞ」とハロルドの返事が飛んできた。

窓を開けながら、ふと気づく。部屋の床とテラスの床材はもちろん違っていた。部屋に入った段階で履いていたワークブーツは脱いで俺は靴下のままだった。──ポーターに部屋履きを勧められたが遠慮したのだ。ハロルドはちゃんと部屋履きをはいている。

ガラス枠へ片手でつかまったまま、もう片方の手でぐいぐいと靴下を脱いぎ、ぽいと自分のベッドへと投げる。そっと、足を踏み出した。

テラスにもテーブルと椅子が二脚置いてある。それが邪魔にならないくらいの広さだ。まっすぐ、テラスの手すりへと足を進めて俺はまた「うわぁ」と声をあげた。

テラスの向こう側は湖だった。それは部屋からも充分見えていて、俺はテラスのすぐそこが湖だと思っていたのだ。だが、実際には──。

テラスの手すりが高めなのが、気になっていた。その理由に納得する。

すぐそこは湖ではなかった。下を見下ろした先に湖のふちが見える。見下ろすほど、テラスと湖からつながっている地面が離れていたのだ。

振り返ると、ハロルドが「面白いだろう」と声をかけてきた。それに無言で頷く。

もう一度湖を見ようと顔を戻そうとした時、テラスの端に階段があるのに気づいた。

「下りても良いか?」

「ああ」

今度は返事を待ってから、階段へと足を向ける。

「っ」階段の上段に立って、その長さに俺はびっくりして言葉をのんだ。ざっとみても20段以上ある。一段一段の高さが低めだからなのもあるだろうが、それにしてもやはり長い。長いというのはそれだけ高さがあるということだ。

「見てみろ」

十段近く下りたところで、ハロルドから声をかけられる。ついてきていたのに気づかなかった。

ハロルドのそばへと数段戻り、近づく。指し示す先を見れば、うっすらとした線がある。

「今年はここまで水が上がったんだ」

「はぁ?」

俺は意味がわからず、間抜けな声をあげた。

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