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ほらと差し出された手をとろうとして、違和感を覚える。

「なんでこっちなんだよ」

先ほどは自分の前をぽんぽんと示していたはずだ。

それが、体をねじるようにして出された腕はどう見てもハロルドの後ろへと誘おうとしている。

「お前が前にいたら見辛い」

「な・・・」

きっぱりと言われて俺は絶句をした。

──だったら、一緒に乗せなきゃいいだけだろう

それならばいっそのこと博士のところにお世話になろうかと、顔を振れば視線の先でセンセイがにっこりとこちらを見ている。

──怖い・・・

無理を言って今回の旅についてきた身、わがままを言ったらここで放り出されるかもしれない。

そういうところセンセイは穏やかそうなのにきっぱりとしている。やるときはやる人なのだ。

俺は一つため息をついてからハロルドの手をとった。


「じゃ、出発」

俺が腰を落ち着けるかいないかのうちにハロルドが声を上げ、ムゥロが歩み始めた。

落ちはしないが体を安定させる為、俺はとっさにハロルドの腰辺りの布を掴んだ。

布がきゅっと詰まったのがわかったのだろう、

「うん?しがみつきたかったらしがみついても良いぞ」

とハロルドが振り返りもせず、言ってくる。

「っ。たまたまだっ」

歩み始めの数歩だけゆらっとしたがもう支えがなくても大丈夫だ。

俺は慌てて手を離した。


「・・・・・・・」

俺は目の前にある肩をみる。

自分と違いがっしりとした肩だ。

成人しているとは言え、人並み程度の身長に薄い体をしている俺にしてみれば、目の前にある体は嫌味にすら思えてくる。

──それにしても、視界が悪い

俺の視界の大部分はハロルドが占めていて、俺は見える風景に退屈しだした。

実は首を振って見える風景も大して変わらないのだが。

一面の砂漠というのは淡々としている。

──ほかのみなはどうしているのか?

気になって体を捻るようにして振り返ってみれば

「・・・・・・・・」

さすが、センセイ達。

前のムゥロに従うという性質を利用して・・・いるんだと好意的に考えたい。俺は目上を立てるタイプなのだ(多分)

センセイも博士もムゥロの上で本?資料?を広げて読んでいる。

ちなみに直射日光と照り返しがひどいので俺を含めて皆遮光のグラスをかけているし、頭から布をかぶり顔も最低限しか出ていない。

最低限というより、グラス部分と鼻・口の辺りの隙間を除いてはほぼ覆っていると言ったほうが良いかもしれない。

そんな姿にムゥロの背中に日よけのようなものを広げて本を読む姿はシュールすぎた。

──見たくなかったかも

俺はそう思って体も顔も元へと戻した。

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