38
テントの床の下はもちろん砂漠の砂だ。床に就いた時にはそれなりの柔らかさなのだが、体重がかかるにつれて砂粒同士の隙間がきゅっと詰まって明け方くらいになると硬くなってしまう(それで余計冷え込むらしい)
久しぶりの柔らかさに、体の筋肉のあちこちまでがふわわんと緩んでくるようだ。枕に顔をうずめたまま、あっという間に眠りに落ちそうになる。
──いけない・・・
はっと我に返って顔を右へとずらす。
「っ!」
ベッドに腰掛けてバッグ内を整理していたのだろうハロルドと視線がかち合う。
『う~~~~わ~~~っ』俺は心の中で悲鳴をあげながら、枕へと顔を再度うずめた。顔へと熱が集まるのが自分でもわかった。
「大丈夫か?」
ハロルドが声をかけてくれるが、その声はかなり笑いが含まれている。
俺は声を出さずに枕に顔をうずめたままこくこくと頷いた。
「ふーん」
半分気の抜けたようなハロルドの声が聞こえるが、時々視線を感じてすぐには顔が上げられない。
そうこうするうちにまた眠ってしまいそうになり、俺はがばっと身を起こした。
ちらりとハロルドの様子を見れば、今度はびっくりしたような顔でこちらを見ていた。
「ご、ごめん」
自分でも何を謝っているのか自覚しないままハロルドへと言って、俺はバスルームへと逃げ込んだ。
──恥ずかしすぎるだろう
バスルームの扉を閉めて、しゃがみこんだ。




