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──どうしよう

説明が終わったポーターが部屋を後にし、ハロルドと二人になった。

やりたいことがありすぎて、結局は入り口から数歩入ったところで俺はきょろきょろするだけだ。

「俺、こっちを使うから」

そう言って、ハロルドは手前側のベッドの足元へと荷物を降ろす。

俺から見える部屋はほぼ真四角に近い。正面には両側に少しの壁部分を残す以外は大きなガラス張りの掃き出し窓がつき、大きく張り出したテラスへと出られるようになっている。

その窓の手前に、大きめのベッドが二つ間をおいて置いてある。そしてベッドの足元、俺の立つ数歩前にはちょっとしたテーブルと椅子が2脚置かれていた。ポーターの説明では俺の少し後ろ、右手の壁の向こう側がバスルームとレストルームになっているはずだ。

──どうしよう

「チビ?」

動かない俺に怪訝な声でハロルドが声をかけてくる。

『うううう~』

ベッドも気になるし、窓を開けてテラスにも出てみたい。こんな旅だったから、バスルームもしっかり確認したいのに。

やりたいことがいっぱいで、でも体は一つしかなくて。俺はこんなことながら、どれを優先していいか真剣に悩んでいた。

「とりあえず、荷物を置けよ」

反応しない俺にハロルドが促すのに、やっと心が決まった。

置かれていた荷物をとりあげ、椅子とテーブルの横を通り過ぎ窓際側のベッドへと足を進める。

逸る気持ちを落ち着けるように、頭の中でとにかく意識して意識して一歩一歩をしっかりと。そっと丁寧にベッドの足元へと荷物を置いた。

顔を上げて、整えられたベッドをまじまじと見た。

──我慢できない

俺はベッドへとダイブした。ぼふんと音が立ったが気にしない。ベッドにかけられた薄手の布の柔らかさの向こうにスプリングのしっかりさを感じてつっかりと「うへへへぇ」と変な声が出てしまう。伸ばした手に触れた枕を抱え込み、顔をうずめる。頬に当たるふんわり感がたまらない。

こんなにベッドが素敵なものだと思ったのは初めてかもしれない。

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