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──旅っていう特殊な状況だし
──そうだよハロルド以外はみんな知っている人だから
──第一男だろ
──俺一人があぶれているから、ちょっかいかけやすいんだろうし
──あくまでも、仕事で誰にでもやっていることだろ
──もてそうだし。第一帰れば恋人がいるかもしれない
──ちょっとやさしくされただけで、なに勘違いしてんだろう
──俺が旅に不慣れだから、つい世話を焼いちゃうんだよ
何度も自分に言い聞かせる。
時々、胸がきゅっと痛くなるけどそんなのは無視した。
それでも。
一緒にいる時間が長くて、ふとした瞬間に感じる優しさに、からかいに、俺は一喜一憂するしかできない。
自分でもてあましている感情をすっぱり切り取ってしまいたい。
『こんなの俺らしくない』そう思う。
『・・・旅が終わるまでの我慢だ』
そう、目的の遺跡に到着したらハロルドの仕事は終了だ。帰りはシップで帰ることになっている。
俺たちの滞在期間中ずっといるとは思えない。一足先に帰るのだろう。
──あと半月ほどの付き合いじゃないか
また、胸がきしきしとした。
井戸のシルエットとは明らかに違う、横に長い大きな塊が地平線から頭を覗かせた。
「明日はオアシスに着く」
そう聞かされていたから『ああ、あれがオアシスか』なんて冷静に思う。
今日で旅程のほぼ半分が終わることになるのだ。




