33
──まるでセンサーがついているみたいだ
日除け説が頭に浮かんで、しばらくして『そんなことない。思い過ごし』と否定したのだが、その翌日も翌々日も午前中はハロルドの後ろ、午後は前に座らせられている。
『これってやっぱり?』と思わずにはいられない。
本人に確認するのは自惚れているようで、さすがの俺でも聞けなかった。
というか、気付いた段階でさらっと聞けばよかったのだ。日数が経てば経つほど聞き辛い。第一、訊ねて「そうだ」とあっさり肯定されても、「今まで気付かなかったのか?」と言われても「違う」と否定されたって、結局は変な反応をしてしまいそうだ。 それに、相変わらず毎朝目を覚ますと抱え込まれている。
からかい混じりの言動の中から自分に都合のいいものを拾い上げては、『俺ってもしかして好かれてる?』と思っては『いや、仕事だから、仕事!』と自分に言い聞かせ、ほわわ~~~んとなってしまいそうな気持ちをずりずりと戻す日々となっていた。
「大丈夫か?」
「なにが・・です?」
不意にセンセイに聞かれて俺はぽや~っとしたまま聞き返した。
「お前、自覚なかったの?」
「え?」
いつも通り、朝の洗濯を終え水気を絞ったものをロープへとかけながら、俺はもう一度聞き返した。
「今、でっかいため息ついただろう」
センセイが呆れた目を向けてくる。
「ため息?」
「盛大なのをな」
あまりにも俺の反応が鈍すぎて、諦めたようにセンセイは言う。
「自覚がないのがすごいな。・・・一度、家に連絡してみたらどうだ?」
「え?家?」
「がつーんと喝を入れてもらえ。私用の通信機持ってきてるんだろ」
俺が喝を入れられているのを想像したのだろう、センセイがうしししと笑う。通信機といわれて完全に私用にプログラミングしたクリスタルの存在を思い出す。確かに、オアシスへと到着したら一度連絡を入れることになっている。それプラス、念の為の連絡用に3個余分に持ってきている。が、今使うのは・・・。場合によっては俺自身が回収されてしまう危険がある。まだ旅程の半分も進んでいないこの段階で抜けるのは絶対嫌だ。
「そりゃ、持って来ましたけど。必要ないですよ」
俺は慌てて否定した。




