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「そろそろ寝ろよ」
ルパートから声がかかる。
休み休みだが強い陽射しの下で移動していると一日の終わりにはかなり疲れがたまっている。
まして、ルパートやバート、ハロルドは昨夜、夜番もしていた。
「わかった」
言われて寝る準備をしようとして、「あ」と気付いた。
「どうした?」
ハロルドが聞いてくるのに、首を振りながら「センセイに聞くのを忘れてた」
「また・・・」
「ちょっと聞いてくる!」
三人の『邪魔するんじゃないよ』という冷たい視線を背中に感じつつ、俺はテントの入り口へと向かった。
──いいじゃん、センセイに聞いたって!
テントの外に出れば小さな炎が目に入った。
テントとテントの間に、小さな折り畳みの椅子に座るシルエットが二つある。
「センセイ」
声をかけると、そのうちの一つが振り返る。
「どうした?」
苦笑いを含んだ声に聞かれ「あの・・・」と言いながら近づく。
「お前はどうしても邪魔したいようだな」
博士もあきれたような声で言う。怒ってはいないようだ。
「ごめんなさい」
俺は素直に謝った。
「センセイ、寝るときってどうするんですか?」
「寝るとき!?」
何でそんなことを聞くのか?という感じでセンセイが聞き返してくる。
「・・・昨日の夜、ハロルドに明け方冷え込むからって言われてたくさん着込んだのに寒くて」
「ああ」
納得したようにセンセイは頷いた。
「クスコスの下に下着だけで大丈夫だ」
「え?寒くありません?」
「昔からずっとあるのは何でだと思う?」
俺の疑問にセンセイは質問で答える。言われてみればそうだ。この地域の生活の知恵が詰まった生地なのだ。
「わかりました。やってみます」
ありがとうございますと付け足し俺は頭を下げた。
「寝ますね。おやすみなさい」と言ってテントへと足を向ける。
「カイン、それでも寒いときは、愛だよ。愛」
「え?」
──愛って?
俺は振り返った。
もっと詳しく聞かせてもらおうとしたが、「そうだな、愛だな」と博士がこちらを見てにやりと笑う。
その顔を見て、教えてもらえそうもないと諦めた。




