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半ば無意識に、それでも体を維持するためにぽろりと言葉が出た。
「・・・寒い」
奥歯がガタガタ言って、体も震えているのがわかる。
本来ならば、こうやっている間に起きて何かかけるものを増やした方が良い。
それもわかっているのに、反面、今の眠りにしがみつきたい自分がいるのも事実だった。
ぶるるる
体がまた震える。
さすがに今のままでいることは無理だろうとぼうっとしながら考える。
──風邪をひいたらそれこそ大変だ。
それでも・・・往生際悪くもう一度「寒い・・・」と口にした。
「ああ、もう。だから言ったんだ」
苛立った声がして、俺が言葉の意味を理解する前に、背中にぐいと力がかかり体を動かされる。
まわされた腕でぐいっと引き寄せられ抱き込まれた。
ぼんやりとした頭でそうわかる頃には、体も温まってきて俺はもう一度眠りに落ちた。
テントをたたむのを手伝っていると頭から声が降ってきた。
「ひとでなし」
カチンとして振り返れば、想像通りの男がこちらを見下ろしている。
「ひとでなしって何だよ」
「ひとでなしだろう、寒い寒いって言うのをあっためてやれば、頭突きされるんだから」
「それは謝っただろう!」
朝になり、抱き込まれているのに気付いた俺は慌てた結果、そいつの顎におもいっきり頭突きをしてしまったのだ。
平謝りをしたのだが、初めて顔を合わせてからこの男──ハロルド──とは相性が合わないらしく、ぶつぶつと小言をくらっていた。
「だいたい」
「カイン!」
謝ったのにしつこいんだよと言葉を続けたかったが、別のところから声がかかる。
はっとすれば、テントのもうひとつの端を持ったルパートがこちらをちょっと怖い目で見ていた。
「ごめんなさい!」
テントをたたむ途中だったと思い出し、端を持ってルパートへと駆け寄った。




