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もちろん、ハロルドの声だ。
「お前適当にやってるだろう」
「・・・え、いや、その」
ごもごもと口ごもって、そのままうやむやにしたいところを「立て」と言われる。
「え?」
「立て」
言われてしぶしぶと立ち上がる。
「塗ってやるから」
「いやいや、いいから」
ハロルドがそばにしゃがみこむのを、俺はばたばたと足をさせて逃れようとする。
「ダメだ」
「いや、いいから」
「カイン!」
「う」
ぴしゃりと名前を呼ばれて、俺は大人しくなった。
「ムゥロに乗るときに大変だぞ」
「あ・・・」
言われてみれば、太ももの辺りはこすれそうだ。
「・・・いいな?」
「・・・お願いします」
動く気配がしたと思ったらぴりりと痛みが走った。
「・・・」
声を出さないようについつい体に力が入った。また痛みが走る。眉間にしわがよるのが自分でもわかる。
次々と痛みが走るのに、我慢ができなくなった。
「~~~狙ってるだろう~っ」
我ながら恨めしげな声が出たとは思うが、その声を聞いてハロルドがくすりと笑った。
「そりゃ、わかるさ。・・・赤くなってる」
「え?そんなに?」
俺は慌てて、体をよじりながらハロルドにぶつからないよう足をあげて確認する。
確かに赤くなっている。
「うーーわーー本当だ」
思わず感心して、声をあげる。
「ほら、残りも。多めに塗れば、大丈夫だろう」
言われて俺は足を下ろした。




