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「信じられない!」
そう言った後、バートはまたケラケラと笑い出してしまった。
「食事行ったんだ」
「ああ」
「で、その後は?」
「特に・・・ああ、そう言えば最近は誘われなくなったな」
「前は誘われたんだ、しょ・く・じ・に」
ルパートに聞かれるまま笑うバーとを見ながら答えていたら、最後の部分で力を入れられルパートの顔を見た。
とてつもなく、笑いを堪えて、堪えている顔だ。
思わず、ハロルドの顔を見る。
こちらは笑いを耐えている顔ではなく、結構難しい顔をしていた。
「あからさまにアプローチして。もう、伝わっただろうと思った時にそれじゃねぇ」
「心も折れるってもんだよ」
ルパートのしみじみした口調を引き継いでバートが言った。
「俺が見た奴もしばらく凹んでたよ」
「・・・え、奴?奴ってことは男?」
一瞬、考えて俺は聞いた。
「そうだぜ」覚えてないのかと言われ俺は首を振る。
「女の子ならなんとなく心当たりあったけど・・・」
「うわ、ひどっ。女の子にやったの?あれを?・・・ってか、鈍すぎるっ」
「仕事するようになったんだから、もう大丈夫かと思ってたんだけど」
「ハロルド、この鈍さってないと思わない?」
「こういうのにはキッパリ言わなきゃ伝わんないよね」
バートとルパートの会話がハロルドにまで飛び火していくのを半ば聞きながら、『え?誰?』と俺は傷つけたであろう人の記憶を探っていた。




