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ぺたりと張り付く布をはぐようにして、間に空気を入れる。
浮いたところを狙って、ここぞとばかりに腕を引き抜く。
ズボンも同じように最後は捨てるように脱いで、下半身だけ下着をつけたまた俺は達成感で腰に手を当てて大きく息をついた。
さてと、たらいへと座り込む。
──あ、足で踏んだほうが早いか
ふと思って立ち上がると「その格好で洗濯するのか?」とバートからびっくりしたような声がかかる。
「ああ。張り付いてるの、無理」
キッパリと答えれば「えええー」とさらに驚かれた。
「ダメか」
踏みながら聞けば「ダメって訳じゃないけど・・・ねぇ」とバートはルパートへと視線を送る。
「まあ、なぁ」
ルパートもはっきりとは言わないが、明らかに賛成しかねるという声だ。
「センセイだって同じ格好してるじゃん」
俺はあごをしゃくり、示す。
その先には一足先に洗濯物を干し終えた、センセイと博士が二人とも俺と同じ格好をしている。
「うう~ん」
バートは困ったように眉を下げた。
「・・・ってか、バート、腹、出てきてない?」
「ええ!?」
濡れて張り付いた服の上からちらりと見たままを問えば、バートが声をあげて腹の辺りをパタパタと触った。
「ほら、このあたり」
「こ、こらっ」
手を伸ばして腹のあたりを撫でたら、ペシリと手を叩かれた。
「だってさ~」
調子になってもう一度手を伸ばすのを、にゅっと出てきた手に止められた。
手の主の顔を見れば、目が笑ってない。
「ハロルド・・・」
『ここはちゃんと洗濯をするべきだ』とちらりと思ったのだが、ふとわいてきた好奇心が押さえられなくなった。
「ね、ハロルドは胸毛とかあるのか?」
「・・・」
「ちょっと、カイン!」
無言になるハロルドに慌ててバートが俺の口を押さえる。
「ハロルド、ごめんっ。子どもだから~」
バートの言うのが面白くなくて、手をどける。
「1歳しか違わないじゃん」
「そこじゃないでしょ、そういうことは聞くもんじゃないって。・・・ってか、嫌でも着替えるときに見えるだろう」
「・・・バートはコッソリ見る派なんだ?」
「そうじゃなくてっ」
「・・・二人とも脱線しているぞ」
途中からは二人でこそこそと小声で話していたのだが、もちろんそばにいたハロルドにはしっかりと聞こえていたらしい。
二人でハロルドの顔を見て「あはははは」と笑ってごまかす。
「ま、俺は洗濯が終わったから脱ぐっていえば脱ぐが」
そう言って、ハロルドがシャツの裾へと手をかけた。




