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僕に異世界転移は関係ない  作者: 杜槻 二花/三稜


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聖女がひとり(おそらくね)

 陽キャグループ三番手君が行方不明になってから、三ヶ月程経とうとしている。

 あの日の翌日から三番手君が学校を休み、三日後に親が行方不明の届けを出し、そして今に至るまで見つかっていない。

 僕は、自分がちらりと見てしまった円陣と、直後に聞こえた三番手君のセリフは、誰にもしていない。

 一瞬の出来事だったし、自分でも本当にあったことか怪しんでいるくらいなので、他の人に伝えたところで、きっと誰も信じない。

 ヲタクを決めすぎて白昼夢でも見たんじゃないかと馬鹿にされそうだし、なんなら行方不明に関わっていると怪しまれる可能性だってある。

 僕は悩んだ挙げ句、僕が見たかも知れない事象について、誰にも言わないことにした。

 ウキウキした声で円陣を踏んだ彼のことだ。きっと異世界で立派に勇者を務めてくれている、と思うことにした。

 

「あ、ごっめーん!」

 塾が終わり、皆がそれぞれ好き勝手に喋ったり家路を目指している中。

 僕の頭を誰かの鞄がガツンと当たった。

 参考書類が入っているだろうトートバッグはなかなか痛い。


 頭を(さす)りながら声の方を見ると、すでに扉の方へと移動して「ぶつかったの、オタクくんでよかったー」などと笑いながら友達に話しかける、ミニスカ女子がいた。

 ちょっと派手な集団で、文句も言いづらい。当の本人は派手派手グループのリーダー格なので、それはもう、ヲタクな僕が声を掛けるのも萎縮するレベル。

 今日も今日とて周りに取り巻きを引き連れながら帰るらしい。アレでいて、頭も良いから講師の覚えは目出度いんだよなぁ。

 腹は立つけど、関わらない方がいいなと溜息をついていたら、

「あの子ひでーな、お前大丈夫か?」

 と他の受講生が心配してくれた。

 世の中、やな奴もいるけど良い奴もいるんだよなぁ、と傷ついた心を癒やされながら「大丈夫」と返事をした。

 二度と同じ目に合いたくないし、今後彼女と遭遇しない方法、何か考えようかなぁ。例えば塾を変えるとか?


 それにしても、塾帰りの暗い夜道を一人で歩いていると、余計なことを考えてしまう。

 例えば三ヶ月前のあのこと。あれはなんだったのかな、とか。彼はどうなったのかな、とか。

 円陣は僕の真下に浮かんでいた気がするけれど、三番手君が僕の真後ろに居たんだとしたら、彼が本命の勇者だった可能性もある。

 彼が正しく召喚された勇者なら、もう二度とあんなことは起こらないのかな、とか。

 

 色々考えて鬱々としていたら、コンビニの明かりが見えてきて少しホッとする。もうあのことは忘れてしまおう。

 ホッとついでに肉まんでも買おうかな、なんてコンビニをちらりと覗き込んでみたら、店内にさっきの派手派手グループを発見。勿論ミニスカ女子もいる。ついてない。肉まんは残念だけど、コンビニをさっさと通り過ぎてしまうことにした。

 すると、自分の足元にまたあの円陣が光り始める。

 前回のことを思い出し、僕は恐ろしくなってその場を駆け抜けた。


 と。


「ね、ちょっとこれ見て!なんか魔法陣みたいな模様が道」


 にあるんだけど?とでも言いそうな声が、通り過ぎた背後から聞こえた。

 その直後に「え、何?」「嘘!?」「消えた?」、と言う慌てた声の三重奏が聞こえた。

 振り返ってみると、コンビニから丁度出てきたような立ち位置の少女たちがいる。さっき、僕の頭に参考書入りトートバッグをぶち当てたミニスカ女子の友達だ。

 でも、ミニスカ女子が足りない。


 僕は、彼女たちに気づかれないようにそっとその場を離れ、帰り着いて即、別の塾に変わりたい旨を親に伝えた。

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