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僕に異世界転移は関係ない  作者: 杜槻 二花/三稜


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勇者がひとり(たぶんね)

「なぁなぁオタクくんたち、なに話してんのー?」

 教室の端で、最近定番ジャンルになってきた異世界転移勇者の話を仲間内でしていると、ひとりのクラスメイトがうざ絡みしてきた。

 なに話してんのー?と聞いてきた割には、しっかりと内容を把握してたらしい。

「異世界転移したいの?ココじゃぱっとしないからって、異世界に行って勇者になりたいわけー?」

 そう言いながらゲラゲラ笑って僕の肩をバンバンと叩いてきた。


 彼はクラスの陽キャグループのひとりだ。

 グループ内で三番手くらいの立ち位置をキープしていて、勉強は微妙だけど運動は得意で顔も良いほう。だから女子からもそこそこ人気がある。

 けど、たまーに僕らをからかいに来るのがうんざりするところ。絡んで来て何がしたいのかわからない。僕ら相手にマウントとったところで意味なくない?

 酷い時は他のクラスメイトたちもドン引きしてて、三番手君がひとり浮いてたりする。でも、本人は気がついてないんだよなー。

 そういう時は、陽キャグループのトップがそっと引き離してくれたりする。勉強も運動も顔も良い名実トップな彼は、そういうマウント行為を好まないようで有り難い。

 今日も今日とて陽キャトップ君がフォローしてくれて事なきを得た。うんうん、陽キャにも良い人はちゃんといるんだよ。

 でもまぁ、三番手君はうざいんだよなーと言うのが、ヲタクグループの総意だ。正直、二度と絡んでこないで欲しい。


 放課後。

 いつも通り帰宅ラッシュをずらして学校を出る。部活勢は未だ学校で活動している中、部活終了までの隙間にある、人気の少ない時間帯を歩くのは、ちょっとした優越感がある。

 頭の中では、今日友人たちと会話していた異世界転移勇者のテンプレートなるものを思い返していた。定番は足元に魔法陣が浮かび上がるんだよねー、なんて考えていたら。

 

 自分の足元が何故か円陣模様に光り始めた。


 え、なんでこんなものが?


 自分の勘がヤバいマズいと告げるので、円陣から逃げるように走り抜ける。


 と。


「お、なんだこれー?漫画に出てくる異世界転移魔法陣みた」


 いじゃね?という言葉を言うつもりだったんじゃないかな、と思われる三番手君の声が後ろの方から聞こえた。

 思わず振り向くと、彼の姿が、円陣と同時にすっと消えた……気がした。


「……気の所為、かな」


 円陣があったところをじっと見るも、なんの変哲もないアスファルトが広がっている。

 少しの光も残っていなければ、三番手君の姿もない。だからきっと気の所為、だけど。

 

 僕は怖くなってそのまま駅まで走り出した。


 もしも彼が僕の代わりに異世界召喚されたのだとしたら。

 ……いや、まさかね。

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