第八十一話『侵食された兵器』
『休み休み……』
『それでは本編へどうぞ』
打ち合いが続く
『全く……本当に化け物だな君は』
そう言われて、弾かれて手を離してしまう。今、手元には……アレが無い……だからこそ
「嫌になるよね。騎士も忠義に反してれば報われるのに……」
座り込み剣先を向けられる。こんなになるのは久しぶりで昂るのと同時に……少し残念な気持ちになる
『……そんなのは叶わない。君が一番分かってるだろ?』
振り下ろされる剣が目の前に迫ってくるのを……
「えぇ。それは痛いほど。だから……私はユウを一番尊敬し……そして、ユウを超える為に頑張ったから」
金属音が響く。漆黒に染まり波打つ波形が鮮やかな色合いをした刀身
「自分の思いを殺してまで……忠義は尽くしたくないからね」
そのまま押し返し、立ち上がり構える
『何だそれは……一体何時隠し持っていた!』
しっくりくる。いや……遊飛の体だからこそ本来の帝王機として感覚があったから
「これだよ」
私は『『約束勝利』エクスカリバー【剣勝】【侵食】』が消えていく場所を指差した
『まさか……あの時か!』
武器を切りかえた時に同時に呼び出し、エアの大気圧で隠した
常に私の傍に待機させていた帝王機を
『だが、それには……』
そう。効果は侵食時に侵食場所範囲のみに斬撃を飛ばす能力
だけど……それはエアの大気圧も対象になっていた
だからあの時に……
『そうか……あの時の斬撃はそれを解除する為の……してやられた……』
そう言って構えていた
『だが、有り得ない……それは星龍すら飲み込むブラックホールとダークマターの異質な帝王機
何故侵食されてる……』
初めは分からなかったけど……
「……紙一重。未来を見ているから分かる。これは……この子は未来の水心子正秀が未来へと帰らなかったから残り続け……
やがて、適応した。だから本来の軸と特異点によってもう一つのパラドックスが起きた
それが……」
騎士が鬱陶しそうに……そして嫌そうに
『現在か……全く……何処まで変えれば気が済む……』
……
「本音を言うともう少し生きたかった。けど叶わなかった。代わりに……私はユウを生かし続けた
今度はユウでは無く……
私として行くぞ……」
一気に踏み込み斬りつける
『無駄……っ!?』
その瞬間に鎧が砕け黒いモヤが発生すると周囲を抉るようにして跡形もなく消えていた
『侵食は無いぞ!』
当たり前だ……
「この子はこの子自身の侵食のみで発動するのだから」
更に横へと薙ぎ払うが騎士により伏せがれる……が、黒いモヤが飲み込むと一気に消滅させていて
『何だそれは……異質過ぎる……異端だ』
そうね。だからこそ……
「楽しいじゃないかい
異端だろうと……強くなれる。それが……例え、手を出しては行けない禁忌だとしてもね」
侵食が深まると一気に周囲が黒く染まる
『……』
強く握られる剣が一気に迫ってくるのを、片腕だけで逸らしてから蹴りで頭を狙うが……
吹き飛ばされる足……が、情報が全て書き変わり蹴られたという結果だけが残って、騎士は吹き飛ばされていた
『それが出来るのなら何故わざわざ逸らした』
立ち上がる騎士は聞いてきて
「可能性の高い方を選ぶだけよ」
私は持ち直して更に踏み込み攻撃を仕掛ける。騎士もそれを理解してるのか受け止める構えから、迎え撃つ構えへと替えて振り上げていた
刀を再度握りしめて思いっきり振り下げて剣と刀同士の音が響いていた
それが周囲……誰かに手出されることなくずっと鳴り響く
いや、誰か居るのは分かっていた。けど……騎士の部下だろう星龍と、援護しようにも援護の出来ない人達が見てる事しか出来ないだろうと……
「貴方の部下……結構マトモじゃない」
彼は私を真っ直ぐと見て
『卑怯な手は使わない。例え能力をしようしてもそれが手なら我は喜んで受け入れる
それが……騎士だ』
なるほど……
「最高にぶっ壊れてるね」
走って飛び上がり、蹴りで頭を狙うが……騎士は片腕を上げるのと同時に無数の弾丸と斬撃が飛んできて
「まぁ、推測済みだしね」
そのまま……直撃はせずに、全てを弾き落としたが……
片足が吹き飛び、地面に叩きつけられる
『どうした……書き換えしないのか?』
私は笑みを浮かべ
「必要ないからよ」
そのまま、2本の腕が宙を舞って……更に無数の斬撃を至近距離で飛ばし
蹴りで周囲を騎士をバラバラへと吹き飛ばした
ゆっくりと立ち上がり『『約束勝利』エクスカリバー【剣勝】【侵食】』の方へと歩き引き抜く
「これも卑怯とは思わないでね」
操作すると侵食が全て消えて『『約束勝利』エクスカリバー【剣勝】【侵食】』は消えていった
これに斬撃なんぞ無い。全てこれの為だけにしたのだから
「本当に消える演出とか全て……しんどかった……」
鞘に納めて歩いて向かう
────
『『希絶望心』水心子正秀【侵食】』
……侵食外にのみ、触れた場所を消滅させる
……侵食外にのみ、情報を書き換えて望む結果にする
────
『解説』
『今回は特に無し』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』