第三十三話『期待』
『寝落ちです……』
『それでは本編へどうぞ』
俺が手に取ると皇帝は
『今言ったのが……国を作り、動かせるだけの力を秘めてる帝王機
お前には強くなってもらわないとな』
何を言い出すんかと……
「んで、渡した所で、損失は無いと?」
皇帝は笑みを浮かべ
『無論。一つはお前、一つはお前の知り合い、そしてもう一つはお前の手元
期待を裏切るんじゃないぞ?。余はお前を……その最初の帝王機に認められたお前を高く評価してるんだ』
……
「んで、俺は何をすれば良い?」
『『熾神光輪』セラメタロ・ザフラキエル【失楽園】』を手にして皇帝に聞いた
『お前の好きにしろ。余はそれに合わせるだけだ』
……
「お前……やっぱり面倒だわ」
立ち上がろうとしたら
『まぁ、待て。それの説明しておくぞ?』
……
『自身の領域内の範囲に存在する生物を無制限に支配する事が出来る
ただし、死んだら生き返ることは無い。本当に支配するだけの帝王機だ』
意味無くない気がする……
『問題は奥の手だ。対象者を一人に絞った場合に発動し、その対象者にありとやらゆる命令を実行させる事が出来る
が……
条件として命令は一つまでと命令した対象者は帝王機の支配には置かれない』
なるほどな……
「見返りは何だ?」
皇帝は俺を見てから
『見返りか?。そんなもんは無い。それとお前に……お前だから頼む事がある』
気持ち悪いな……
こんな皇帝……
『いや、良い。これはお前が余を殺した時にでも分かるだろう』
そう言って俺を見て
『見つかる前に消えるが良い』
俺は水心子正秀を抜いて
「……」
そのまま翼を広げて、帝王機を手に皇帝が開けた窓から飛び出してそのまま飛んでいく
今回の皇帝……様子がおかしかった……
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イスラムに話をすると
「確かに何かおかしいな……」
帝王機を見ながらそう言う
「俺が相手にした奴と関係あるのか?」
イスラムは映像を見ながら
「彼女は……アウス。前に話した帝王機使い
問題は……
帝国よりも軍事力が高い軍帝国イギニリアス。多分……俺が知ってる帝王機の数個はこっちが保有してると思う」
なるほど……
「彼女は帝国側のその国のプレイヤーになる」
ん?
「このゲーム……帝国と革命軍の戦争だよな?。何故、その国が?」
彼は映像を見せながら
「起源自体は帝国。ただ、帝国を滅ぼさんとする国は存在するからな
ようは帝国を潰して、我が国が支配するとか何とか?」
こりゃまた面倒な事を……
「多分だが、皇帝の様子が変なのはこれが原因だろうな」
なるほどな……
「これを利用して帝国をどうにか出来ないか?」
イスラムが突然そんな事を聞いてきて
「どうもこうも……やってみるが、俺、皇帝殺す気で居るんだぞ?。説得もどうもねぇだろ?」
イスラムは俺を見てから
「こういうのはどうだ?」
と、話し始めて、俺は渋々と水心子正秀を少しだけ抜いて飛んで向かった
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窓を突き破って再び皇帝の前に。皇帝は呆れた顔をして
『話は終えたばかりなのにまた来るのか?』
そう言って指を鳴らそうとしたのを
「軍帝国イギニリアス」
そう言うと手が止まり
『何が言いたい?』
そう聞いてきて
「あの話の続きだ。皇帝……」
水心子正秀を抜いて、皇帝の首を掴み、水心子正秀を頭に向けて押し倒していた
紙は散らばり周囲が乱雑に崩れていき
『どう言うつもりだ?』
俺は思いっきり水心子正秀を突き刺した……
『殺す気は無いのか?』
水心子正秀は床に突き刺さっていて
「お前を殺すのは後だ。教えてくれ……お前、偽善のつもりか?。それとも……全てを騙してるのか?」
皇帝は指を鳴らすのと同時に、上からギロチンが落ちてきて、それを躱すのと同時に、皇帝も避けていて
『こういうつまらない事に気付く奴は嫌いだ』
そう言って椅子に腰かけて
「んで、聞いていいか?」
皇帝は外を見て
『イギニリアスは軍事国家。帝王機、この国にある性能が良いが劣化してる兵器がある
が、イギニリアスは帝王機と同等の兵器を開発した。性能こそ、劣るが……それでも帝王機と比べるまでもないくらいに強力な兵器を
何故作れたかは分かるだろ?。余の国から漏れ出た帝王機を解析した
要は分解し解体した結果だからな。仕組みこそ理解出来ないが、それを現代……つまりは今の時代の可能な限りの人材と素材で作り上げた兵器
それがイギニリアス曰く、軍王機と呼ばれる兵器だ
余はこの国を守る為に、敢えて最強の帝王機を手放したり、国が国民を苦しめこの国から離れるように仕向けたり
革命軍と戦争したりして、この帝国に未来が無い事を演じた
全てはイギニリアスを崩壊させ、この兵器を二度と生み出さない為にな
無論……帝王機は余の国の最高戦力。残すが……他の紛い物の兵器をな』
……
「帝国として暴れてる組織はお前の仕業か?」
皇帝は笑みだけを浮かぶが……表情は笑ってない
『利用してるに過ぎない。この帝国を……国民を守る為なら余が悪人となり制裁を受ければ良い
それで他が助かるのならな』
そういう事か……
「皇帝。俺は正直お前が嫌いだ。だがな、お前のその考えは更に嫌いだ。だから……俺を使う気は無いか?」
皇帝の考えを聞いて俺はそう提案した
『全く……お前は。これが嘘だとしたらどうする気だ?』
そんなの決まってる
「殺すぞ?」
そう言うと皇帝は笑いだし
『全く……余もお前が嫌いだ』
そう言って俺を見て
『今は枷として衰退していくのを待つしかないがな。それが終われば……次は身内、国、革命軍……それこそ、イギニリアスを潰す為なら全てをも壊すつもりだが?』
同じ……全く同じじゃねぇか……
「なら決まりだな」
俺は紙を破いてばら撒き
「皇帝。ここで、俺はお前に本当の意味で忠誠を誓ってもいいぜ?。だからな……殺させろ」
皇帝は笑みを浮かべ
『戯けが。余を殺すにはお前ではまだ力が足りない。期待してるぞ?。余の期待の裏切りだけはするなよ?』
それこそ俺のセリフだ。仕方が無い……殺るか……
『解説』
『『熾神光輪』セラメタロ・ザフラキエル【失楽園】』
三番目に作られた、『支配と安寧』帝王機。王冠型
・周囲の生物を支配する事が出来、命令に関する全てを実行する事が出来る。死亡時に解除され、復活など生物の許容を超えるような命令は不可能
奥の手
対象者一人に対して洗脳支配し意のままに操る事が出来る。ただし、解除されれば二度と支配下に置けなくなり、耐性がつく
『脆い帝王機です』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』