第十五話『退屈』
『すみません……昨日の分です』
『それでは本編へどうぞ』
ログインすると屋根の上で足をばたつかせる彼女……
「お前……暇なのか?。壊すつもりなのだろ?」
俺が聞くと彼女は目線を合わせずに
『私は生まれ変わったのよ。少しはこの無意味で退屈な世界を見たいのよ』
明らかに変わった。いや……違うな……
「お前食われてるだろ?」
そう聞くと頭を抑えてから再び俺を見て
『かもね。『『寄生百鬼』サウザー』が私を終わらせてくれたから……もう私は別よ』
だろうな……何処からどう見ても……
「『妖危種』だな。お前は」
尻尾の様に生やした二本の触手に無数の目玉が動く白銀の少女……
『混じっちゃったからね。あは。何も感じないや。それよりも……どう?。生まれ変わった私……綺麗?』
……
全く……
「醜い化け物だな。だが……俺は好きだけどな。はぁ……んで、どうするの?」
彼女は微笑み
『もっと帝王機を食らう。私の望む化け物になる為に……だから先ずは帝国の帝王機を奪う』
成程……そう来たか……
「それをどうするかだけど……宛あるのか?」
彼女は頷いて
『任せて……今私……凄くぶっ壊したい程に感情が抑えられ、支配されてるから』
……
「なら任せる」
それだけ伝えると彼女は頷いた
さて……何処から崩れるんだろうな……このゲームは……
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少女の姿で三つの帝王機をわざと見せつけながら王宮の門に立った
飛べば良いが……それだと面白く無いし、彼女の言う通り、待つべきか?
いや、化け物となった彼女を信じる訳にも行かないし……面倒だな
「ぶち破るか」
刀をぬこうとした瞬間に門が開いた。そこから面倒くさそうに歩いてくる男……
確か、この先はプレイヤーすら管轄しないNPCのみの領域……
プレイヤーは雇われた数合わせの兵士だと思うけど……
『お前がそうか?』
成程……帝王機持ちか
「そうだと言ったら?。誰に聞いた?」
俺が聞くと
『死者だな。入れ、面会は出来る』
俺は素直に中へと入った
彼女の宛……それは彼女の父親が残した手紙を利用した推薦状だった
元々は彼女が大きくなった時に使う予定だったのを俺に使う
ただ、手紙の内容が娘になってる為に、俺は少女の姿で居ないと駄目になってしまったが痛いが……仕方が無いか
『君が帝王機……それも最初の帝王機を持つ異世界人か?』
通された広間。その玉座にふんぞり返る子供のようなおっさんの様な人物……
「かもな。あっ、俺……敬語とか無理だし無礼を働くから」
それだけ答えると
『構わん。操作出来る無能は要らんからな』
成程……そうやって掌握するのか
「そうか。なら、俺を帝国の兵士にしてくれ。役立ってみせるぞ?」
少女の姿で目の前の皇帝に俺はハッキリとそう言うとなにか言いたそうな警護隊……
『その姿で俺か、面白いな。だが……見せてもらわないとな』
……
「誰を相手すれば良いんだ?
殺し合いとかなら喜んでするけど……お前は用意出来るのか?」
敢えて挑発して見たけど……どう出るか……見ものだな……
『ほう。余に向かってその態度……感心するな。良かろう……用意してやろう』
そう言って立ち上がる。まぁ、みすみす……同時使用者を殺す訳に行かないか。それも俺みたいなプレイヤーなら尚更……か
指定された場所へと案内され俺は待つ事に。刀を抜いて地面に突き刺してから空亡に手をかけた
『何をしてる?』
俺は皇帝を見てから
「まぁ、見てろ」
そのまま抜いてから出てくるのを待つ。どうせ帝国の事だろうから、不要な人間を始末する為に出すんだろうしな……
ゆっくりと門が開くと人がゾロゾロと出てくる。怯えながらも皇帝を見ていて
『その男を殺せば釈放してやる。罪も全て帳消しだ。それじゃ、始めよ』
その言葉と共に一気に向かってくる。俺は水心子正秀を引き抜くのと同時に蹴りを入れて人の後頭部を突き刺した
それと同時に、羽を展開し周囲へと撒き散らしていく
『なっ!?
化け物だろ!?』
そのまま水心子正秀を振り上げて一気に下ろすのと同時に黒い一筋が空間を割いていて
「悪いな。これも目的の為だ」
黒い一筋が開くと周囲の人間を飲み込んでいき、圧縮するのと同時に、地面へとバラバラに落ちていく
俺は刀を納めた。勿論……少女としての姿の為に少しは抜いておくけど……
「全く……次から次へと」
背後に回っていたのか、気が付くと真上を取られていて
「本当に嫌になるな」
刀光剣影を逆手に持ち、見ずに突き刺して少しだけ捻るのと同時に黒い雫が落ちて一気に破裂し血飛沫が舞っていた
『お見事だな。それじゃ、これはどうだ?』
重い足音が響いてくる。視線を重い足音へと向けると妖危種が口を開けて見開いた目で俺を見る
帝王機で操られてる……
「アレ?」
何でそう思った……?
分からないはずなのに……
「っ!?」
翼を広げて後ろへと下がった。向かってるくる妖危種を刀で弾きながら周囲を旋回した
「まさか……お前?」
水心子正秀を見てそう呟いた
仮にそうだとしても……彼女が最初に帝王機になったのだから見れる訳……
「っ……!?」
フラッシュバックした。それは見た事のない風景。それと赤子の鳴き声と、縛られた少女……
「……そういう事かよ」
フラッシュバックから引き戻されるのと同時に振り下ろされていた手を水心子正秀で振り払いそのまま、首を跳ねたのと同時に黒い空間により圧縮され血飛沫を舞散らせていた
そのまま血を振り払い水心子正秀を納めて
「これで納得しただろ?」
俺が皇帝に聞くと汚らしい笑みを浮かべていた。本当に反吐が出る……
『認めよう。お前はこれから帝国の兵士だ』
そう宣言してこの日は終わった
『解説』
『『百足触手』サウザーワーム』
『妖危種』『触手種』『『無限悪食』サウザントワーム』を素材にした帝王機。脳神経丸ごと寄生されてる為に解除するには殺す他ない。寄生型
・触手を生やし操る事が出来る
奥の手
一定期間立つと分裂可能になり、宿主に寄生していた場合は、本体が破壊された時に、寄生先が本体となる
所有者
ノンプレイヤー・ノア
『実は生きていて、生きたまま帝王機になった珍しいタイプです』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』