第十二話『狙う』
『今の所は大丈夫……だと思う』
『それでは本編へどうぞ』
路地裏を歩いた。フードを深く被ってるが……やはり周囲の警戒をしていたら分かる
誰か居る
少女の時の姿の帝王機はしまって、素の状態で使う帝王機を身につけたけど……
「意味無くなってしまう気がするんだよなぁ……」
そうぼやきながら立ち止まる
「さっきから誰だ?つけて来てるのはさ……出て来いよ」
俺がそう言うと
「プレイヤーか……ミスったな……こんな戦争状態の帝国に来ても何も無いぞ?」
教えてくれてるの……か?
「お構いなく。それよりもさ……連続殺人事件知ってるか?」
俺が聞くと目の前の人物は肩を竦めていて
「知らないな」
そう答える
「そうか。死者は全員、帝国の重要役人とその関係者。それも真っ黒に染まった悪人だという……
不思議な事も有るんだな?」
剣を手にした
「まさか、帝国側のプレイヤーとはな」
相手も剣を出していた。見た感じは帝王機は持って無さそうだし……
「なら試させてもらうぞ?」
地面に突き刺して
「『『四柱推命』空亡』!!!」
着ているカレイドスコープの上に羽織るように鎧が装着され
漆黒の鎧にロングコート、腰周りのローブが装着されて、端々にカレイドスコープの装備が露出していた
この帝王機はカレイドスコープでは不足してる部分を補ってる感じで、ほぼ弱点の無い状態になってる。そして最後に二本の角の生えた仮面が装着され、変幻していた
「おいおい……帝王機持ちかよ……やれるだけやってみるか……」
そう言って剣を構えていた。逃げない……て事は革命軍の共通認識で……帝国側は倒す。可能なら帝王機を奪う
無理なら逃げるか戦闘、逃げるの無理なら情報だけでも……か
「流石だな……」
一気に構えて走った。それと同時に目の前の人物は振り返り
「やっぱ無理だわ!!!」
そう言って逃げ出したのを、一気に加速して目の前の人物を蹴り飛ばした
「あがっ……やば……」
ゆっくりと立ち上がろうとするのを俺はそのまま回し蹴りで壁に叩きつけて
「一つ聞きたい。このゲームの事だ……あるんだろ?。帝王機以外に兵器が。これに対抗出来るように作られた兵器が」
男の首に空亡の鍵の剣を突き付けた
「……言うか……帝国のプレイヤーが……!」
さっきから帝国のプレイヤーと何を勘違いしてるんだ……このプレイヤー
そのまま押し付けて
「今言うとさ……俺、別に帝国に味方してる訳じゃないし、革命軍でも無いわけ。ただ……」
一気に引き抜いて
「雇われた主人の移行に従ってるだけだ」
こう言えば、ルーデルさんは納得するだろうしな。まぁ、どっちみち……誰が敵なのかはハッキリさせないと
『お見事です』
彼女……
「何でいるんだ……てか、危ないだろ?」
彼女は消えゆくプレイヤーの粒子を見て
『硬いことは言わないで。貴方がこの世界の人間じゃない事は知ってるし……
何よりも……
そういう帝王機があの宮殿に有りますから』
そう言って指をさしていた。成程……俺達、プレイヤーが存在出来てるのはそう言う帝王機があるという事か……
『『『護国繁帝』アナザー・ワールド』。それが貴方達を呼んだ兵器です
お互い苦労しますね。帝国は戦争の為の不死身の人材を、革命軍はそれに対抗する為に……
きっと、終わった頃がお別れになりますね』
悲しげに言う
「そういう事にもなるのか。まぁ、心底どうでも良いけど……それよりも、本当に味方と思っていいんだな?」
彼女は頷いて
『支援はさせてください。お父さんも気に入ってますし。私に出来るのは私の手元にある情報だけですから』
……
「それで良い。まぁ、仕方が無い。全て壊すと決めた以上……この世界の住人と仲良くなる必要があるからな」
彼女は微笑み
『えぇ。期待してる。私もこの世界は醜くも美しい世界が壊れる様を見たくなりました』
……
「お前もそっち系かよ……」
彼女は俺の前に立つと
『帝国生まれの帝国反逆者だから』
成程……
『私の目的を教えてあげる。お父さんやお母さんにも言ってない私の本当の目的を』
……
こりゃ、飛んでもない思考の住人と協力し合う事になりそうだ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ログアウトすると飛霞姉さんがリビングで飲み物を飲んでいて、俺も飲むことに
「遊飛。革命軍一人やったよね?」
あっ……バレてらァ……てか、早いなぁ……
「革命軍のマトモの方は情報が回るの早いからな……帝国側じゃなくても、やり過ぎたら討伐依頼出るかもしれないて」
成程なぁ……
「それと、飛嘩……突き放したでしょ?」
失敬な……
「頼み事を頼んでる。もし、飛嘩が裏切るならそれはそれで構わない
飛霞姉さんなら分かるだろ?」
飛霞姉さんは目を伏せていて
「だから私に送ったのね。全く……
遊飛は本当に優しいね」
優しく撫でられる
「……んで、飛舞と……俺の主治医の飛霞姉さんはどう思う?」
飛霞姉さんは紙を見てから暫くして
「飛嘩は大丈夫。けど、遊飛は異常ね。こんな数値見た事ない……」
そう言って俺の方を見て
「VRとの適正値が高すぎて現実と理想……仮想の区別すらついてない
そう見えるのよ」
……
「んで、どうなんだ?」
飛霞姉さんは俺を見て深くため息をついて
「分からない。それだけは言える。まぁ、異常なだけで……上手いこと隠してるのが質悪いけど……経過かな」
そう言うもんか……
「まぁ、良いや……寝るわ」
俺はそのまま部屋へと戻った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
飛嘩を守る為と医者になったけど……
「遊飛……」
初めて会った時から感じていた違和感……ようやく理解した
「はぁ……あそこ迄とはね……」
机に顔を打ち付けてから暫く壁を眺めた
分かったのはVRによる異常な適性と……感性の破綻。全て物事に対して場所で決めるか……その場で決めるか……
だから……全てを破壊すると聞いた時は驚いた
止めるべきだろうけど……私は彼が満足するのならそれで良いと……現実で何もしなければ……
「人間として……姉として駄目だなぁ……」
酷く痛感してしまった……私の手に遊飛が届くはずがないのだから
『解説』
『夜は普通に清楚系だけど、少し性格の終わってる遊飛の事が好きだが、表に出さない為に両思いのはずなのに一方的になってる』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』