第九十四話『変幻』
『修正中』
『それでは本編へどうぞ』
腰に巻いてるベルト……まぁ、見た目は完全に変身ヒーローの様なベルトだけど……
ただ……CD型のディスクで2枚を挿入した
その2枚が……『楽劇王』と『神童』。その中心を止めるようにナイフで『精神病院』を突き刺すと、私の背から無数の帯状の物体が吹き出し、包み込んでいく
やがて、全てが弾け飛ぶと、腰周りから帯が垂れ下がり、髪が伸び切り、鉄の仮面を被り、異質な存在へと変幻していた
そのまま地面に降り立つと周囲が一気に侵食し、侵食された帝王機全ての機能が発動可能に
「侵食は最近実装されたのに……帝王機でも無い軍王機が侵食機能持つとか反則よね……?」
未来先輩がそう呟きながら私を見ていた
「不味いの?」
ローブの様に伸びてる帯を引きずりながら、弦の様な剣を手にして構えて
「いいえ。今はそんなによ」
そう言って向かってくるのを躱し、帯ですれ違いざまを突き刺そうとしたが……
躱されて、そのまま顔に蹴りを入れられ吹き飛ばされ木々に叩きつけられながら岩に叩きつけられる
「いつつ……先輩……手加減して欲しいけど?」
ゆっくりと立ち上がろうとしたのを、刀を向けられ
「するとでも?。本番だからね」
細く微笑むのと同時に、刀を弦で弾きお腹辺りに蹴りを入れて距離を無理矢理取らせた
「……それは何かな?」
ナイフを手に
「『旋律楽聖偽王』」
『精神病院』を抜き、本来の姿として突き刺すと黒い翼に黒い尻尾が生えて、黒い髪の先になるにつれて白くなり伸びていき、鎧の軽装ドレスを身に纏い仮面が龍のような造形となった
周囲の侵食が一気に姿を変えて、大きな劇場へと姿を変えていた
「……それは見た事ないけど……?」
私の手にはバイオリンと弦が合わさった武器の様なモノ
「まぁ……ほぼアドリブですからね……」
苦笑いしながらバイオリンを引く構えをして弾き始めた
「……第九?。バイオリンで?」
頭のおかしくなりそうな引きだけど……
「時期分かるよ」
そう言うのと同時に向かってくるが、黒い木々が私を守るようにして生えて防ぐ
「かった……」
そのまま弾き、私はゆっくりと目を開けて……ナイフを手に挿入した
「『宮廷楽長』」
展開すると更に侵食が広がり全てを飲み込もうとした時に……
「そこまでよ。流石にそれ以上やったら……やばいと思うから」
未来さんに言われて、先輩と私はギリギリで止まった
「面白くなってきたのに……なんで止めるの?」
刀を納めるのを見て私は変幻を解除して先輩達を見る
「気づかなかったの?。このまま行けば……運営に止められるか……居られなくなるよ?」
私は目を伏せていて
「ログアウトする」
先輩達が何か言おうとする前に私はログアウトした
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アリスがログアウトした未夢の方を見ていて
「止めてくれてありがとう。確かにこのゲーム……運営が配信したくない訳」
納得してくれたのか
「まぁ、運営側としては別側面で売れれば良いかもしれないけど……流石にね。それに……いや、これは話すべきじゃないかな」
あの子の為にも……
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思わずログアウトしてしまった日から次の日にclosedLiveの会社に
限界という訳じゃないけど……やりたいことも無く、ただ入って有名になるだけなって……
他の人から見れば……羨ましい現状……けど、私にとってはただの業務のようなもの……
「未来さん……?」
仕事の為に来ていたけど……たまたま未来さんと会って
「本当につまらない顔してるね。まぁ、それがいい所だけど……」
褒められて……る?
「用事?」
聞いてきて
「まぁ、する事ないし……昨日の件で呼び出しかな」
そう答えると未来さんは微笑み
「ならもう大丈夫よ。少し揉めてきたけど、解決してきたから」
首を傾げると未来さんに会議室に案内されて隣同士座り
「簡単に言うと社長に昨日の件で、好きにやらせてもいいかの言質と録音しておいたから。もう大丈夫よ?」
……
「未来先輩……良く言えますね」
流石に引くけど……
「まぁね。社長……良く言えば、加減を知りすぎて引き際を見えてるけど……
悪く言えば……それ止まりなのよね。人の良さを潰しかねないからね
だから、交渉として……私とアリスが責任を持つから好き勝手にさせてもいい許可を取ってきた
勿論……好き勝手と言っても加減はあるけど、ある程度は私とアリスでフォローするから……少し……本気でやってみない?
業務じゃなく、未夢ちゃんの本音を」
……
「辞めるとか思われてます……?」
聞くと微笑み
「思ってないよ。ただ、昨日の未夢ちゃんを見て、私も後輩の為に頑張ってみただけよ
もし仮に辞めるなら私は止めないし協力はするつもりだしね」
……
「やりたい事無かったけど……昨日は楽しかった。だから止めてくれた時は少し安堵したと……思います」
未来さんは微笑み
「そっか。じゃ、頑張ってみる?」
私は頷いた
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事務所の一室にVRゲーム部屋があり、そこでログインすると未来さんが座って待っていて
「でもどうして突然……?」
未来さんに聞くと苦笑いしながら
「見てきたからね……私の力が足りないばかりにね。大規模になるとその分も暗くなる
私は少しでも力になれるように頑張るのと同時に……やりたい事をやるだけだから」
やりたい事をやる……
「社長は私と古い付き合いだし、内部情報を把握した上で……どうにもならない事に目を瞑ってきたのを見てきたから
私に出来るのは……ほんの少しだけ手を貸すだけ
そして……」
メールを送ってくると……
「2回目の珍しくイベントよ。タッグを組んでやるサバイバルゲームらしい
実績を作って見返そかと考えていた。私に出された条件で……やれるだけの最大限。そして……社長に広い視野を見て何がダメなのかを見てもらう
やりたい事を制限するよりもやりたい様にやるのが私の目指したいclosedLiveよ」
何か……嫌な予感しかない……
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社長室に来て
「来ると思った。未来」
社長は私を見てそう言うと
「昨日の件なら私が止めたから良いけど……普通にしてもダメなの?」
私が聞くと
「限度があるからな……」
……
「だから、卒業する子達が多くなるのよ。昔よりも……今は生きづらいし……何よりも、私も楽しくないもの。案件や仕事はやらないといけないけど……
好きな事を制限されて案件や仕事ばかりで楽しいのも楽しくない。ようやくあのゲームが解禁されたのに……これも制限したら、いよいよじゃないかしら?」
社長は目を伏せていて
「大きくなった。だから責任も大きくなる。それに……」
何かを言いかけた時に
「新しい子を入れても同じ繰り返よ。今は保っていても……何れは無くなるわよ
私と貴方が目指した目標さえね」
社長は私を見て
「……未来はこの先に未来が無いと?。私が、未来に付けた名前の様になる事は無いと?」
……
「えぇ。あの子だって楽しくなさそうにしてる。私は色んな子を見て感じて……そして、見送った。今は大丈夫でも何れは壊れる
社長……もしこれ以上変わらないのなら、私は……
卒業した子達に声を掛けて支援するつもり。そして、その子達の為の居場所を作るつもりよ
これは……
0期生全員の意思よ」
社長は深くため息を着いて
「仕方が無い。それは分かって欲しい
だが、私でもどうにもならない事だってある。だから……あのゲームのイベントで一位を取って会社全体を黙らせる程の功績を作って欲しい」
……
「支離滅裂ね
ただ、確かに社長は私は分かる……けど、他の役員は駄目ね。ねぇ、これを預ける
私が勝とうが負けようが……卒業する
もう、土台は出来る。準備も終わってる。社長……
理解しておいて、私は社長の友人だからこそ、このclosedLiveに見限りをつけた事をね」
社長は黙って受け取って
「分かってる」
私は踵を返して
「方向性の違いのせいで全てを失うから。役員さんも気づくよ。異常事態と物凄い負担をメンバー全員に掛けて、気づかなかった……
友人の社長が責任を取る事も……私は少なくとも気づいてくれると信じてるから」
社長を見ずに社長室から出た。そして電話を掛けて少し話をし、終えると……未夢ちゃんが歩いてくるのを見て
「少しだけ試してみるかね
この異常を治さない役員さん達に……」
そのまま彼女の元へと向かった
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未来さんに言われた通りに変幻したけど……
「さて、ここから重要な話だけど……」
そう言って画面を操作してからメールが私の所に届き
「配信してるからリスナーの皆は黙っててね。これは厳密には秘密で……そして、バラしたら私はそれを実行するからね」
メールを見て目を見開いて未来さんを見ると微笑み
「さて……じゃ、少し頑張ってみよっか」
困惑しながら頷いた
『解説』
『今回は特に無し』
『それでは今回はここまで。次の話まで……またね!』