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第6話:教会には天使が居る。

さて、無事に辺境騎士団所属になって数日が経った。

まだ慣れないことも多いが、訓練にはついていけている。


メガネのおかげなのか、ガイウス団長もなにかしてくれたのか、リシテアに関してもそこまで騒がれてはいないみたいだしな。


が、最近になってまことしやかにささやかれている噂がある。

それが


『敷地内の教会には天使が居る』


というものだ。

ってオイ。モロにリシテアの事じゃねぇか!!


と思い、詰所内の寮に与えられた自室にてリシテアに話を聞くと、どうやらそうでも無いらしい。

そもそも、リシテアは治癒術師として活動してる間に、ヘイローや羽を出したり、メガネを外したりはしていないそうだ。

………教会内がリシテアの住処ではあるが。

やはり団長が、従魔とは言え年頃の男女での同室を許してくれなかった故の措置だ。

そもそも、ただでさえ男の巣窟である寮にリシテアを連れ込んだら他の団員に目をつけられるしな。


だからリシテアは部屋に戻ってから召喚した。



「って!やっぱりリシテアの事じゃないのか!?」


「なんでそうなるんですかぁぁっ!?」

※リシテアが防音結界を張ったので叫んでも外には聞こえない


「いや、だって、トラブル防止の為なのか、他のシスターって年嵩のお婆さんばかりだろ?」


「確かに、後教会に住んでいるのは男性の修道士の方や聖騎士様、神父様だけですけど……


「そうなると消去法で、唯一の若いシスターで実際の姿は美少女でしかも本物の天使であるリシテアしか思い付かないんだが?」


「…………人の口に戸は立てれない。でしたっけ??

やはり、どれだけ気を使ってても永遠にバレない、なんて事はないんですよぅきっと………。」


「………。さすがに、風呂ではメガネを外してるからか?」


「はいぃ…メガネをつけたままだと頭を洗えませんし………


「もしや、ついでに羽を洗ってたりするか?」


「よく分かりましたね?たまにお手入れをしていますよ。」


「ああぁああぁ………



だよなぁぁぁ………!?

ただ、聖教会ってのは規律がかなりしっかりしてるのもあって、教会に設置している風呂も男女できっちり別れてるんだ。

たとえ、女性がお婆さんしか居なかったとしても、だ。

さらに女性用の風呂は外部から一切見れない作りになっている。

人間が縦に3人以上並ばないと越えれない程の壁が設置してあるからな。

ハシゴも立てれないように外は底なし沼の堀になっているし。

だから、覗きは空を飛べる奴が居ない限りありえないのだが………



「………もしや、リシテアの他にも天使が?」


「有り得なくは無いですねぇ〜。

修道士の方にも美しい男性は居ますし。」


「………。ちなみに、リシテアの治癒活動中に騎士が群がってきたりとかくだらない怪我でちょくちょく来たりとかは?」


「無いですねぇ。本当に治癒術が必要な方しか来ません。」


「そうか。」



はぁ……やめやめ!

考えても分からん事に悩んでても時間の無駄だ!!



「取り敢えず話が出来てよかった。送還するぞ。」


「はぁい…ではおやすみなさいラスさん。

貴方にも神の御加護があらんことを……


ちゅっ


「………あぁ、おやすみ。」



去り際に頬に天使の口付け(比喩表現ナシ)をしていくなぁぁぁぁぁぁ!!!!

すっかりシスター稼業(?)が板につきやがって!?

※リシテアは、と言うかシスターは普通、信徒や患者にキスをしたりしません。


ダメだ。なんとか送還は出来たけどしばらく眠れそうにないな………

少し外を歩くか。



ちなみに、就寝時間は特に定められていない。

更に、起床時にも誰も声掛けはしない。

(俺の場合はリシテアが逆召喚で枕元に現れて起こしに来る。

朝からあのエンジェルボイスで起こされるのはある意味心臓に悪い。)

全て自己責任であり、遅刻した場合の罰はそれなりに重い。


まぁ、ともかく気持ちが昂って眠れないから散歩に出て夜風に当たる………静かな暗闇だ。


この静寂…響くのは虫の声のみ………

うん、良い感じに頭が冷えるな。


さて、これなら大丈夫そうだし、部屋に戻るか。

そう思った時に俺は出会った。



「…おや?こんな夜更けにどうしたのかな。

迷える子羊さん?」



リシテア以外の、もう1人の天使に。

一瞬、女性と見間違う程の美人だが………



「君は…あぁ、その服装は修道士か。」



声も、男か女か少年か青年かの判断がつかない中性的なもの………


それはそれとして………うん。驚く程に心が微塵も動かないな?

まぁ、服装で男だと判断したのもあるし、多分、美人はリシテアで見慣れてるからなのか……

いや、リシテアに心底惚れてるからか??

ともかく、彼を見ても特にドキドキしたりはしなかった。

まぁ、そもそも論、俺は男好きじゃないしな。



「………ふぅん。」


「ん?俺になにか??」


「いや、キミはボクを見ても特になんの変化もしないから珍しいな、と思ってね。」



………どうやら、そうやって冷静に考えている俺は、彼からしたら珍しいらしい。

確かに、女に飢えてる奴らからしたら、男だとしても彼ならイける、のかも知れないが………』

とか考えてたでショ?」


「は?」


「はははっ!考えはお見通しさぁ!」


「何言ってんだコイツ。」



いくら彼が聖職者だと言っても、神様や、ましてやリシテアみたいな天使じゃあるまいし、心が読めるとでも言いたいのか?』

とか考えてるのも分かるよォ〜?♪

リシテアってさァ…あの、落ちこぼれの駄天使の事でショ〜?」



「…………今、なんて言った。」

(コイツ、まさか本物の天使族か!?だとしたら…!!)



怒りと共に感じた嫌な予感と共に、咄嗟に腰に手をやるが、当然就寝前の散歩、かつ敷地内なので賊に対抗する為の帯剣はしていない。

それを見た修道士はニタニタと嫌な笑みを浮かべた。



「はははっ!

こうゆう時はこう言えばいいんだっけ??

『ないよォ〜www剣無いよォ〜www!!』」


「チッ!!」



俺は即、徒手空拳に切り替え嫌な笑顔をする修道士に殴り掛かる!!

が、相手は余裕を持って避けた…!



「なぁに〜?今のテレフォンパンチィ〜?

りんり〜んwww今から殴りまぁすwww!」


「クソッ!!」



だが手を止める訳にはいかない…!

と、次の拳を出そうとしたその時…!



パァァン!



ーえ?」

ーは?」



聞き覚えのある銃声に、拳を止めて振り向くと、そこにはデリンジャーを構えたリシテア……いや、あの無表情は、アリシアだ…が、立っていた。

そして、撃たれたのは修道士で、腹から血が流れ出ていた………

その修道士は腹に手を当てたあと、血のついた手を見て………



ーなんじゃこりゃぁぁぁっwww!」



と、叫んだ。

そのいきなりの展開かつ意味不明な状況に俺は、

コイツ随分余裕あるな。

とか、

天使族も血は赤いんたな。

とか、

場違いな事を考えてしまった。


と、ここで何時もの無表情のアリシアが銃をしまいながら近付いてきて普通に修道士へ話しかけた。



「それくらいで死ぬ訳が無いですよね、ジルバート先輩。」


「あ、うん!そだねェwけどなぜ撃ったしwww


「我がマスターにちょっかいかけていたので。」


「…………え?マ?」


「はい。」



修道士…ジルバート?の質問にこれまた何時もの冷徹な声で返すリシテア。

それを聞いたジルバートは、ギギギ、とか効果音が付きそうな動きで俺の方に振り向いた。



「………君、この方のマスターさん?」


「え、あ、あぁ、アリシ…いや、リシテア……のマスターをしてるが。」


「「「……。」」」




一時、その場を沈黙が支配する。

そして次の瞬間ー



「すんませんでしたァァァァッ!?」


「まさかの土下座!?」



ージルバートは綺麗なジャンピング土下座をキめた!!

いや、血!!血が出てる!!

しかしジルバートは気にせず土下座のまま声を上げる。



「まさかウチの後輩ちゃんのマスター様とは露知らず!!

大変なご無礼を致しました!!

そりゃリシテアちゃんみたいな美少女天使ちゃんのマスター様をしてたらボクの魅力的な顔が通じる訳無いよねェ!?」


「あの、態度変わり過ぎでは…?」


「あ、すみません。

さっきまでの態度はそのゥ……

ボクに魅了されなくてなんかイラッ☆ときてつい………


「貴方が残念美人なのはそうゆう所ですよ。

ジルバート先輩。」


「うん、戦闘モードの君に言われるとなんか心にグサッ☆と来るねェ………


「なら存分に反省してくださいジルバート先輩。」


「ハイスミマセンデシタ。」



えぇ〜…………………何だこの状況。



「というか、ジルバート…さん?

心が読めるなら俺がリシテアのマスターだと気付けなかったのか?」



なんか、こいつに敬語を使う気になれなくてついタメ口になってしまったが、当の本人は気にした様子もなく立ち上がった…あ、血が止まってるし何の跡も残ってない……マジかよ。

そうゆう所はキッチリ人外(てんし)なんだな。



「いやぁ〜、リシテアちゃんの知り合いなのかな?

程度の予測しかしてなかったんだァ~♪めんご☆」


「もう1発撃っておきますか?先輩。」


「ごめんやめて。天使でも痛いものは痛いの。」


「………。」



本当になんなんだコイツ。

あ、そういえば……



「ジルバート。お前さっきリシテアをバカにしてただろ。」


「あ、それは本当にごめん。

素の方のリシテアちゃんは天界だと駄天使って扱いだったから。」


「じゃあなんで今は後輩としてはやけに丁寧に扱うんだ?」


「え?だって戦闘モードのリシテアちゃん、神格的には熾天使クラスだもの。」


「は?」


「いや、ホントホント。

だから今のリシテアちゃん、実は天界では1目置かれる存在になってるんだ。」


「本当か?アリシア。」


「ええ。

と言っても、表人格(アレ)は知らないでしょうけど。

ついでに、ジルバート先輩が天使(どうぞく)だとも気付いてませんね。

アレは相変わらずポンコツ天使なので。」


「もう1人の自分なのに表人格に対して酷評で草ァwww


「草に草を生やすなジルバート!」


「めんご☆マスターちゃん♪」


「はぁ…………まぁ、君も同族なら、リシテアの事を頼むよ、ジルバート。」


「うん!ドジっ子な方のリシテアちゃんは任せといて!」


「先輩はこの通りの遊び人気質ですが、仕事中は思いの外真面目で頼りになる先輩なのでご心配なく、マスター。」


「まぁボクの戦闘モードがそうゆうのだからねェ☆」


「ちなみにジルバートも自在に切り替えできるのか?」


「出来るよン☆」


「そうか。」


「ありゃ、興味ナッシング?」


「いや、機会があれば仕事中に会いに行くさ。」


「あらやだ☆誘ってるのね♡」


「アホか………はぁ…もう寝るわ。」


「あ、オヤスミン♪マスターちゃん!」


「おやすみなさいませ、マスター。」



なんだろ。

教会にはガチで天使が住み着いているらしい。

リシテア含めて2人も。

凄いなココ。


















side:ジルバート


ふぅん…なるほどね。

アレがリシテアちゃんの………

ありがたいね。

リシテアちゃんは、頑張り屋さんだったのに、報われなかったから…さ………

駄天使、だなんて言ってしまったけれど、ボクは彼女の頑張り物語を知っている。

苦渋を舐めさせられ続けてきたのだって知っている。

だからこそ、リシテアちゃんの為に怒ってくれる彼がマスターで良かった。

婚約者で、良かった。

おめでとう、リシテアちゃん。


ボクはこれから、近くで君達を見届けよう。

()()()()が駄天使と呼ばれた彼女を救う、奇跡の様な物語を。


……………………ロイドなんかに負けるなよ?

アラスウェル・ラッシュエッジ君。


さて、ボクはそろそろ来るであろう、ソフィーちゃんと契約する為に頑張るぞぅ☆

あはははは☆

ちなみに、アリシアさんは逆召喚で転移して直ぐに防音結界を張ってから撃ちました。

そしてその後も防音結界は継続してました。

聞かれたら不味い話をするのは分かっていたので、とは本人談。


アリシア:私はアレと違って優秀ですので。


ジルバート:天使ヒトとしてはどうかと思うけd


パァァン!


ジルバート:カハァッwww


アリシア:撃ちますよ、先輩。


ジルバート:撃ってるwwwもう撃ってるからwww


アリシア:撃ちましたよ、先輩。


ジルバート:そうゆう話じゃないのwww


アリシア:そうですか。


ジルバート:www


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