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第4話:悪役令息の婚約者がマジで天使な件について。

今回の話は短いです。

そこからの旅路は順調だった。

…とも言えないか。

逃避(メンタル)(コン)手段(トロール)を手に入れてからのリシテアは問題無く盗賊の処理をこなせる様になった……が、決して正解の方法では無い。



ーコレでとどめだ。」


「消えろ。」


「よし、火の粉は振り払えたな。」


「…粛清完了。」(無表情)


「……………とにかく、死体を処理するか。」


「では私は火をおこしておきます、マスター。」


「任せた。」






~処理完了~





「…リシテア?」


「……あっ。はいぃ〜?なんですかラスさん♡」(にぱっ)


「…精神の切り替え方が最早二重人格だな!?」


「……えぇ。

実際、今のわたしには戦闘中の記憶が残らないのでそれで合っているかと?」



そう、大きな精神的なショックと、極度のストレスにより(あと多分天使族なのも関係してる)、リシテアは第二人格が芽生えてしまったらしい。


なんつーか、戦闘中は冷酷になる様になってしまった。

いや、戦闘前に指輪を見つめるようになったし、それで意図して切り替えてる、と言った所か?

ただ、そんなやり方では戦闘人格の方がすぐにダメになるぞ?

なんなら、殺人鬼になる危険性や、堕天の危険性もだ。



「………戦闘人格のケアが課題だな。」


「ラスさん?」


「…先を急ぐぞ。」


「はい♪」



リシテアが二重人格になるなんて展開、原作には無かったぞ!?

やはり原作に抗ったしわ寄せか……?

いや、違うと思いたいが………

ともかく、戦闘人格にばかり負担がかかるこの方法は、決して正しくは無いと頭の中で警鐘が鳴っている。

だから、俺は………




その日の夜、首尾よく宿屋に泊まれたのでリシテアと相談する事にした。



「リシテア。」


「はい?なんでしょうかラスさん。」


「……単刀直入に言う。

お前の戦闘人格と話がしたい。」


「えっ…?何故ですか??」


「…意識して人格の切り替えが、出来るんだろう?」


「出来ます…けど…理由は?」


「戦後ケアだ。今のままじゃ、君自身が早々に潰れるぞ。」



二重人格に関しては、聞きかじった知識しか無い。

それに、天使族であるリシテアに、人間の常識が当てはまるかも分からない。

が、俺は、どうしてもリシテアの戦闘人格と話をしなければならない気がしている。

この、焦燥感を無視出来ない。


何かを感じとったのか、リシテアは納得してくれたようだ。



「…分かりました。

………………。

お呼びですか?マスター。」


「今は戦闘人格のリシテア、か?」


「はい、マスター。」



冷たい声、満面の無表情。

これを演技でやれるならリシテアは大したやつだが……



「君は、辛くは無いか?」


「…?

何が、でしょうか。

私は辛くなどありませんよ。

ただ、敵対者を粛清するのみ。

それが天使の本懐ですので。」


「君もリシテアなのにか?」


「いいえ、私は【天使】です。

一個人の前に、天使です。

天使は兵士。天使は兵器。

我々天使は、“天”界より“使”わされた心を持たぬ執行者。

故に私は【天使】なのです。

従って、貴方達人間や、()()とは根本的に存在が違います。」


「……表のリシテアに影響は?」


「無いですね。

何故なら()()は出来損ないなので。

…粛清すら、マトモにこなせないとは。」


「…?

その言い方、“お前”はリシテアじゃないのか?」


「マスター、意味が分かりません。」


「なら言い方を変えよう。

“お前は、誰だ?”」


「私は天界の執行者、【天使】です。

それ以上でも以下でもありません。

()()はこの指輪をマスターから頂いて浮かれていた様ですが。

私は、マスターに特別な感情はありません。

ただ、私が現界をするのに必要なので手を貸しているに過ぎません。

貴方やアレが死んでも、別のマスター、別の素体を探すだけです。」


「…………そうか。」



なるほど………創作でよく見られる、()()()()()()()天使(しっこうしゃ)】か。

人類の敵対者、世界の均衡の為なら人類皆殺しもいとわない。


なら、コイツには人格も心も端から存在しなかったんだろうな。

だったら………


「なら、君は今日からアリシアだ。」


「は?」


「俺は君を……そうだな、君に合わせた言い方なら、()()()を【アリシア】と呼ぶ。

天使、とかだと周りからもおかしな目で見られるかもしれんし、“アリシア”呼びで“俺の嫁(リシテア)”が反応するかで俺にも区別がつくしな。」


(なんだか、アレの呼び方におかしな響があったのは気になりますね。)

「ハァ……人間とは、そんなクダラナイ事を気にするのですか。

私にはよく分かりません。」


「今はそれでいい。

とにかく、今日から君はアリシアだ。

よろしくな、アリシア。」


「はい。マスター。」




ははは……本当に機械みたいだな、コイツ。

リシテアの顔で、リシテアの声で、よくもそんな冷徹に出来るもんだと感心するぞ?

取り敢えず、リシテアの意志を奪おうって腹じゃないなら俺は構わない。

コイツの言う【粛清】ってのは恐らく聖教会の教義に反する者に処罰()を与える事だろうしな。


【聖教会】、か。

………どの国にも属さず、どの国にも従わず、自分達の教義にのみ従う聖職者の集まり。

それだけ聞くと無法者の集まりみたいだが、その実どの国よりも清廉潔白。

善なる弱者が居れば手を差し伸べ、悪辣な強者が居ればそれをくじく。

そんな()()()()()


そんな物語の中にしか居なさそうな聖職者ってのは、流石、ラノベの世界って感じだがな。

ちなみに、今の教皇は元聖女だとか……

ふむ、1度リシテアを連れて行ってみるのも手かもしれないな。

天使は、聖教会にとっては偶像(アイドル)そのもの。

諸手を挙げて歓迎されるしな。



「では、用は済みましたね?私は休みます。

おやすみなさい、マスター。」


「ああ、おやすみ。アリシア。」


「…………。

ふぁ…?

んぅ〜……お話は終わりましたか?ラスさん。」


「違和感がすごい。

おかえり、リシテア。」


「ふぇっ!?あわわっ!?ラスさん!?!?」



あー……やっぱりリシテアの顔と声はこう、ふわふわしてなきゃなぁ〜!!

何か、知らずに心が疲れていたのかすごく癒される。


「よしよし……リシテアは可愛いなぁ……!」

「ふぁぁあ〜ぅ♡」


いきなりの抱擁と撫で回しに目を白黒させていたリシテアは、やがて何時ものふにゃふにゃの顔と声になったのだった……



《バカップルですか、アレとマスターは。》

はい、アリシア=サンはガチ天使です。

執行者なので。


ドーモ、悪人=サン。

粛清ノ時death。


アリシア:私はそんな喋り方しません。

消しますよ?


ハイスミマセン。

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