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第1話:落ちこぼれの天使リシテア

11/29

アラスウェルの立ち位置がおかしかったので修正。

×次男

○嫡男

アラスウェルは公爵家の長男です。



12/3、17

挿絵を追加。

(カスタムキャストにて作成)



翌日、考えがまとまった俺は。

丁度今日から騎士団の新人教育が始まるので早速上官に掛け合ってみることにした。



「教官!!」


「ん?なんだねラッシュエッジ君。」


「入団初日に恐縮ですが!私は辺境騎士団入を志願いたします!!」


「(!?)正気かねラッシュエッジ君!?君の家は次男が居るとは言え公爵家の嫡男!!

爵位的には近いとは言え、次期公爵の君が辺境の地を所望するとは!?」


「だからこそです!

辺境領は国防の要!であればこそ私の様な者も必要かと!!」


「いや、確かに君は騎士学校を優秀な成績で卒業したが!

あそこは新人がいきなり行く様な場所では無い!!

せめて1年!いや、出来れば3年はここ!王都の王宮騎士団で研鑽を積みなさい!!」


「…!」



確かにその通りか…辺境騎士団が屈強なのは、ひとえに魔物や隣国からの侵攻に耐えているからな訳だしな……

まぁ、だからこそそっちのが楽しそうだし、大抵のラノベでまさに騎士って感じで描写されてるのもあって昔から憧れてた辺境騎士団に入りたかったんだが……まだ早かったか。



「ハッ!ご忠告感謝いたします!!

ではその様に致します!!

差し出がましい事を申しました!!」


「そ、そうか…!」

(ふぅ………彼が素直な青年で良かった…公爵家の者をいきなり辺境騎士団へ()()など、ラッシュエッジ卿に申し訳が立たないからな………。)



とりあえず、いきなり辺境騎士団入り、は先送りだな………しかし、3年、か。

確か、原作だと王女と婚約するのは来年…俺もソフィーリア王女も16歳の時だから逃げる事は出来ない………のか…?

その前に、もうすぐ相棒たる従魔を召喚する召喚の儀、だしな。

さて、中身は別人になった俺だが、果たしてナニが召喚されるのやら…………




それから数日後。

元々の素養は高かったから特に問題なく騎士団の訓練についていけた俺は、問題なく日々を過ごし遂に相棒を召喚する日が来た。



そう言えば、6歳は年上であるロイドくんは既に相棒であるドラゴンを召喚してるんだろうなぁ……

時期的には既に6年は苦楽を共にした相棒、なんだよな。

………原作だと、10年近く共に居た相棒を殺されたんだ、恨みは相当だっただろう。

そもそも、ソフィーリア王女の事も20年近く想ってたって事になるんだよな……うわ、そう考えたらソフィーリア王女との婚約なんか絶対にしたく無くなってきた…………


いくらソフィーリア王女が可愛くても、ロイドくんに恨まれて殺されるんじゃあ………


うわぁ……断罪回避を意識しない様にしようとは思ってたけど、やっぱり回避してぇ………


てかロイドくんさぁ、そんなに好きならさっさとソフィーリア王女を拐って何処かに行くとか、今すぐ正妃を告発するとか、自分が婚約者になるとか、すりゃあ良いじゃんか……もう、今21歳だろ?

確かこの時点で近衛騎士隊に所属してて、副隊長にくらいはなってなかったか??

物語上の都合ってか??

嫌だぞそんな奴の想い人の間男になるとか。


てか俺、クズ男から寝盗る話は好きだが相思相愛カップルから寝盗るのは地雷なんだが。


いや、この時点ではソフィーリア王女とロイドくんに接点は無いから、ロイドくんの一方通行かもしれんが。



とか考えていたら自分の番が来たようだ。

まぁ、何かしら召喚は出来るだろう。

気楽に行こう。




「では、召喚陣の前に立ち、相棒となる従魔を喚びたまえ。」


「はい!!」



やり方は分かっている。

騎士学校でも習うしな。

なら何で在学中に召喚しないのかと言えば、何でも、昔に従魔が暴走したり、私闘で従魔を使って相手を殺してしまったりと事件があったとかで在学中に従魔を召喚する風習は無くなったそうだ。


ともかく、召喚陣の前に立った俺は、自らの手を少し切って血を垂らし、祝詞を紡いだ。



『我、新たなる縁を望む者。

異界から訪れし我が盟友。

我の声に答えるならば。

汝その姿を見せたもう。』


厨二かな?とも思うが、ここは作中では語られなかった範囲だから作者の趣味では無い、はず。


ともかく、光の柱が上がり()()が現れた。

………人影?

やがて、光が収まるとそこには1人の少女が立っていた。

騒然となる召還場。



挿絵(By みてみん)



「っ!?人間!?」


「ばかな!従魔召喚で人間なぞ…!!」



その少女は、ベージュブラウンのゆるふわパーマで、薄い空色の優しげな瞳、全体的に温和そうで癒し系な雰囲気の漂うーーー




「あ、あのぅ……ごめん………なさい………わたし、一応天使族………ですぅ…………ごめんなさい…………わたしなんかで、ごめんなさい…………………。」


挿絵(By みてみん)



天界でもずっと下位天使のままで自尊心を無くし、悲壮感たっぷりになってしまった天使少女、リシテアちゃんだった。

…………そこは原作通り、か。

けど、残念。

この現実世界での君の主はな??



「………可愛い。」


「…ふぇ?」


「あ、すまない。俺が君を召喚した者だ。

名前はアラスウェル。

君の名前は?」


「えっ…あっ……りしぃ…リシテアでしひゅっ!?きゃんだぁ………


「お前最高かよ!?今すぐ契約だ!!」


「はひっ!?にゃんで!?」



本物のリシテアちゃんと出逢ったら断罪回避を意識しない様に生きようなんて考え、全部吹っ飛びました。まる。

いや、やっぱりリシテアちゃん一択だろ!!

リシテアちゃん遺して死ぬ訳には行かねぇぞオイ!!

ロイドに奪われてたまるか!!


と、決めて笑顔でリシテアちゃんに握手をした。



「これからよろしくな!リシテア!!」


「はふぇ〜……?か…かっこいい……あにゃっ!?

じゃなくて……は、はい…よろしくです…?」


挿絵(By みてみん)


どうやら、リシテアちゃんはかなり混乱しているらしい。

なんかあわあわしてる様が可愛くて今すぐ撫でくりまわしたい。

いや撫でくりまわしてやる。



「よぉ〜しよしよし!

リシテアちゃんは可愛いなぁぁぁぁ〜♪」


「!?!?!?」


「あ~…えっと、ラッシュエッジ君?」


「あ、すみません教官。後がつかえてますよね?

直ぐに退出します。」


「いや違うのだよラッシュエッジ君!?

公爵家の君の従魔が見た目が人間の少女にしか見えないのは問題がー


「では教官!これにて失礼しますっ!

さぁ行こうかリシテアちゃん?」


「はぃ〜…ごっ…ご主人…様…?」


「いや聞けよ人の話!?ラッシュエッジ君!?」


「いや、ご主人様なんて呼ばずに、ラスでも良いんだぞ?」


「えっ…?ではラス様…?」


「……まあ今はそれで良しとしようか。」


「おぉい!?ラッシュエッジ君!?!?」



なんか教官が騒がしいが、リシテアちゃんの可愛さにメロメロだった俺は気にせずに召還場を後にした。



外に出ると他の団員達は早速自身の従魔と触れ合い、色々と試していたから俺は近くのベンチに座り、おろおろしてるリシテアちゃんも隣に座らせた。



「さて、それじゃあリシテアちゃん?」


「はい、ラス様。」


「君は何ができるんだい?」


「あぅ……



なんだか言いたくなさそうな雰囲気だな?

まぁ原作通りであれば、彼女が出来る事と言えば、人間の治癒術師より多少は効果が高いだけの治癒術だけのはずだが。



「あのぅ……そのぅ……



原作のアラスウェルはこうやってウジウジおどおどモジモジとしている様子も気に食わなくてリシテアちゃんを冷遇していくんだよな。

まぁ、いくら美少女でも嫌いな人は嫌いだろうしな、こうゆうタイプの人って。


だが生憎、俺は嫌いじゃないからな。

いくら俺でも嫌だったらもう少しリシテアちゃんの扱いは雑だったかもしれないし。


だからか、ちゃんと話始めるまで待つ態度に安心したのか、ポツリポツリと語ってくれた。



「簡単な…治癒術……です。」


「そうか、なら多少怪我をしても大丈夫だな?

俺が怪我をした時は頼むぞリシテアちゃん!!」


「へっ………?」


「ん?どうした??」


「あの…怒らない……のですか…??」


「なんで?」


「いえ…その、わたし、それ以外だと天使の証である羽とヘイローを出せるだけで、大した特技もありませんし…人間さんでも使える治癒術をすこぉしだけ強力に使えるだけなのですよ…?」


「え?良いじゃないか治癒術。

君は俺の従魔なんだから、俺が怪我しても何時でも直ぐに治してもらえるんだろう?

怪我の多い騎士をしてる俺にはピッタリな従魔じゃないか!!」


「えっ…?」


「なぁリシテアちゃん。試しに治癒術を使ってみてよ!」


「あの…そのぅ……はい、分かりました………〖ヒール〗。」



リシテアちゃんがそう言いながら俺の腕に触れると、その手から光が溢れて俺の腕を暖かく包んでくれた…



「無詠唱で発動か!凄いじゃないか!!

効果の方は怪我をしてないから分からないが、戦場ではちまちま詠唱なんかしてられないからかなり有能だぞ君は!!」


「えっ…?そんな……天使族であれば治癒術の無詠唱なんて、出来て当たり前の技能ですよ…?」


「そんなことは無いぞ?君が来てくれて嬉しいよ。」


「ふぁ…ぁ…?」



そう言いつつも照れくさそうにするリシテアちゃんが可愛すぎたから、俺はそんなリシテアちゃんの頭を優しく撫でた。

すると、気の抜けるような可愛い声を漏らしたリシテアちゃんが蕩ける様な表情を見せてくれる……って!!

だめだ!!



「…………リシテアちゃん。」


「ふぁぃ……?」


「可愛過ぎるからそんな顔しないで?

ここは男の巣窟だ、襲われるぞ?」


「はぅ…あぅ……そぉですか…?

わたしなんかに、そんな価値も魅力も無いですよぅ。」


「いやいやいや、君は可愛い!!

あぁ………ダメだ、表に出さない方がいいかもしれない!!

君の身が危険だ!!俺が君を守るよ!リシテアちゃん!!」


「ふぁい!?逆!!逆ですよご主人様!?わたしがご主人様を守るんです!!」


「ご主人様、じゃなくて【ラス】、な?」


「ら、ラス様はわたしが守るんです!!」


「じゃあお互いに守り合おう!」


「はい!!……じゃなくて!!従魔を守るご主人様が何処にいるのですか!?」


「俺だな!」


「ダメですぅ!!わたしが!ラス様を守るのです!!」


「いいや、君は天使で従魔とは言え可愛い女の子だ!!

女性を守るのは騎士の勤め!ぜひ君を守らせてくれ!!」


「かわっ…!?あぅぅ………



うわぁ……真っ赤になっちゃって、可愛い………

なんて、リシテアちゃんの可愛さに浸っていたら、周りの同期達の視線が、いつの間にか俺達に集まっていて………?



「『イチャつくなら他所でやれ!?』」



なんかスマン。



見た目は女の子とは言え従魔には違いない。

という訳で寮の自室に移動した俺達は、早速今後について話し合う事にした。



ーという訳で、コレからは君にも訓練に参加してもう事になるんだが。

大丈夫か??」


「はい!わたしはこう見えても天使族です。

落ちこぼれであるわたしでも、人間の皆様より基礎身体能力は高いかと。」


「そうか………でも辛かったら無理はするなよ?

君の身体が第1優先だ。」


「あ…ありがとう…ございます…♪」



やる気満々なリシテアちゃんが微笑ましくて、思わず頭を撫でたらはにかんだ笑顔になった……破壊力ぅ………



「………好きだ。」


「ふぇっ!?」


「君のその笑顔、すごく好きだなぁ……


「あっ……そっち…ですか………


「ん?あ、ごめん。」



俺は鈍感系主人公じゃないしな。

女性向けライトノベルもよく読んでた分、テンプレは分かってはいたのにやってしまった………

おかしいな、俺は悪役令息のはず。

息を吐く様に甘いセリフ、なんて柄じゃないはずなんだが…?

けどまぁ、俺としてはリシテアちゃんは好きだからな。


もし、ソフィーリア王女との婚約の可能性が無ければ、何も気にせずにリシテアちゃんに心から好きだって言えるんだが………

本当に、地雷すぎるからソフィーリア王女とはかかわり合いになりたくなくなってきた。

見た目も性格も好みだとしても、付いてくる地雷が特大過ぎるからな。

もし仮に、ソフィーリア王女と婚約した時点で俺がリシテアちゃんと本気で好き合ってたら…………


うん、ロイドくんに殺されるな?

原作と違って、リシテアちゃんまで。


だから、リシテアちゃん自体も地雷なんだよな、現状では。


くそぅ………なんだこの生殺しみたいな状態!?

名実共に天使ちゃんである好きな娘が俺の従魔で何時でも一緒に居られるし、原作と違って最初から受け入れてる俺の事をリシテアちゃんも悪くは思ってないはず、それなのに、一緒に居る事それ自体が不利に働くってなに!?


はぁ………気が重いなぁ…………



「…?ラス様?」


「君は癒しだなぁ…………


「あ、はい!!癒しはお任せ下さいっ!!」



そうゆう意味じゃないんだけどなぁ…?

早速必死な顔をして俺に治癒術をかけ始めたリシテアちゃんを微笑ましく思いながら、俺はこの先の事を考えて気が重いため息をつくのだった。



あ、リシテアちゃんはしっかり止めた。

流石に天使族でも治癒術使いっぱなしは疲れるだろうし、勘違いさせたままは申し訳ないからな。

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[良い点] テンプレの悪役令嬢ではなく、悪役令息ですね。これはなんか新鮮です。 リシテアちゃんドジっ子天使可愛いです。
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