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第10話:辺境伯家の屋敷にて【リシテア視点】

後半が少しだけ(性的な意味で)意味深です。ご注意ください。

わたしとラスさんが、王女殿下専属の治癒術師や護衛としておじい様(※)の家で暮らし始めた翌日。

※アラスウェルの叔父であるガーランドの事、リシテアやソフィーリア(まな)に対しては好々爺。



「ふにゅ……りしぃたぁん…


「……どうゆう状況ですか、コレ…。」



何故かわたしに宛てがわれた部屋のベッドにソフィーリア王女殿下…もとい…マナちゃん(ってよんで?♡と本人に頼まれました)が寝ていました。

……わたしの事をしっかり抱きしめているので身動きがとれません。たしけてラスしゃぁぁん!?(泣)

と、心で泣きつつまさか本当に逆召喚でラスさんの元へく訳にもかず、わたしはマナちゃんに声を掛けることにしました。



「えっと……マナちゃん…??」


「んぅ…?あっ……りしぃたんらぁ〜♡おはよぅ~♪」


「おはようございます、マナちゃん。」



なるほど、子供というものは可愛いですね?

わたし、ラスさんとの子供が欲しくなってきましたよ??

それはともかく、身動きがとれないのはいただけないので解放してもらいましょう。



「マナちゃん、起きれないので1度離れー

「やだっ♪」

ーて……即答ですか。」



昨日といい、彼女は人の言葉を途中で切るくせでもあるのでしょうか??

コレは教育する必要がありますね………あ、ちなみにわたしには無理ですぅ………マナちゃんは押しが強い方なので………でも苦言くらいは………



「あのですね、マナちゃん?

人の言葉は最後まで聞かなくてはいけませんよ?

それと、あまりワガママが過ぎると人から嫌われてしまいます。」


「じゃありしぃたんはまなのこときらい?」


「ワガママなマナちゃんは嫌いですね。」


「きらいになるのやだっ!!」


「では離してくださいね?」


「んーん!やぁだっ!!」


「そんなワガママなマナちゃんは嫌いです。」



わたしはわざとらしく怒った顔になります。

するとマナちゃんはボロボロと涙を流しはじめました………けど…………



「やぁぁあん!!りしぃたんがいじめぅ〜!!」


「あの、天使族であるわたしに泣き落としは通じませんよ?」


「うあぁぁん!」


「……………たしけてらしゅしゃん。」



わたしにはそれが嘘泣きだと分かっています。

それはそれとして、やはりわたしにはマナちゃんの教育はできないので助けて下さいラスさん!?


こほん…コレは知っている人は知っている、の知識ですが、天使族はヒトの善悪を魂で見られますし、心…感情の色も把握可能です。

なので今のマナちゃんが嘘泣きをしている事も内心楽しんでいる事もハッキリ分かります。


そんなわたしだからこそ、裏表があまり無いラスさんの事が好きになったのですが………

はぁ……ラスさんに会いたくなってきました…………


嘘泣きをするマナちゃんの声にどうすれば分からず、段々とコチラが泣きたい気持ちになってきたわたしは、やはり逆召喚で転移する事にしました。


先程可愛いと思った子供が相手でも直ぐにこうゆう冷めた部分が顔を出すわたしは、やはり欠落品なのでしょうね。



「うぅ……召喚転移〜っ!!」


ーぇぅ?りしぃたん!?」


















ーらしゅしゃぁぁん!!」


「んぐがっ!?は?え??リシテア!?なんだどうした敵襲か!?

早く俺の後ろへ!?」


「ラスさんここベッドですぅ!どうやって寝てるあなたの後ろに回れと!?」


「あぁそうだな!?じゃあ剣は!?」


「いやあの敵じゃないです!!

とりあえず落ち着いてください!!

んっ…

「リーんぐぅっ…!?」

……ちゅぷ…はぁ…落ち着いてくださいラスさん。」


……ぷは……あ、あぁ…すまん?」



どうやら、寝起きでいきなりわたしが来て驚かせてしまったようです。


ひとまず口付けで続く言葉を飲み込み、落ち着かせました。


なんだか申し訳ないですが、そんなラスさんを見てキュンとしつつ癒されたわたしは笑顔で頭を下げました。



「いえ、いきなり来たわたしが悪いので……すみません♪」


「あ、いや、俺は君の主で婚約者だ。頼りにしてくれて嬉しいぞ?」


「うふふ♪」


「ん?なんか急にご機嫌になったな?」


「ラスさんの顔を見たら落ち着きました!」

(あとおはようのちぅも出来ましたし♡)


「何があったか知らんが単純だな君は!?本当に何しに来たんだよこんな朝っぱらから!?」


「あっ!そうでした!!あのぅ…じつは………



わたしは朝起きたらマナちゃんがわたしのベッドで寝ていてワガママを言うのにどうするべきか分からなくなってしまったことを正直に話しました。

すると、ラスさんはゲンナリ、と言った雰囲気で労うようにわたしの頭を撫でてくれます。



…………子供ってモンスターだよな。

朝からおつかれ、リシテア。」


「あはは……魔物より厄介な面があるのはそうですね…?」


「リシテアとの子供、ってのも一瞬頭をよぎったが、あのマナって子を見てると俺達にはまだ早い気がする。」


「あはは……実際、わたしもラスさんもまだまだ子供、と言える年齢ですしね。」


「まぁな。まだ16で子供は………って、リシテアは天使だから見た目と実年齢は合致しないだろ??

実際のところ何歳だよ。」


「ラスさん……それは乙女のヒミツですぅ!!

それに、女性に年齢を尋ねるのは失礼だとよく言いますよね?」


「まぁそうだな、すまん、忘れてくれ。」


「ふふっ…はい♪」



ちなみにわたし、天使としてはまだまだ若輩者で、人間換算では16歳程です。

とだけ。

ふふっ…今のラスさんと同じですね♪



「まぁ、それはそれとして、あのマナを相手にできない様じゃ、子供が出来てもちゃんと育児できるのかって話になるぞ?」


「………なんだか妙に実感がこもってませんか?」


「は?気のせいだろ。」

(前世では子供所か恋人、ましてや嫁さんなんていなかったはずだし、リシテアが前世込みで初恋だしなぁ……。)


「あれ?その様ですね。

と言うか……わ、わたしが…ラスしゃんのはじめて…♡」


「ん?」

「はい…?」



あれ?

なにかおかしーですね??

というか、なんだかおかしな単語があった気もしますぅ。



「もしかして俺、今声に出してたか??」

(そんなはずは……いやでもリシテアだって天使だ。

神格が成長して読心術が生えてきたのか??)


「えっ!?わたしが読心術をですか!?」



そんなまさか、わたしは無能な駄天使リシテア……そんな高等技術が使えるなら飛翔や光魔法だって使えるはずで………



「…あはは、そんなまさかぁ〜♪」


「じゃあさ。」

(今俺が何考えてるか分かるか?リシテア。

『好きだ。今すぐ結婚してくれ。』)


「ラスさん、実験でそんな事()うのは不誠実かと思いますよぅ?」



わたしだってラスさんのおよめしゃん……こほん。

ラスさんのパートナーとして永く共に歩みたい気持ちは強いですよ?それだけに、そんな気軽には言って欲しくないなぁ〜…?

というワガママです。



「やっぱり心の声聞こえてね?」


「あ、はい。………なんだか承服しかねますが。」


「ちなみに言っておくが本心だからな??」


「……………ラスさん?」


「…ん?

あぁ、誠実さが足りないってか?本心なのは嘘じゃないんだがなぁ。」


「嬉しくない訳では無いですけど………


「ごめんな?」


「いえ。」


「好きだよ。リシテア。大好きだ。」


「ららららしゅしゃん!?」


「…………ん゛ん゛ッ!!」

(よし!!!リシテアが可愛すぎて色々ヤバいからこの話は終わりにしよう!!)


「はぃぃぃぃっ!!」



お互いに顔が真っ赤になってるのが分かります!!

わたしはお顔があっついですぅぅ〜!!

それよりっ!!



「そうですぅ〜今はマナちゃんの話ですよぅラスしゃん!!」


「おう!?」

(貴様は俺を萌え殺す気か!?)


「はぁ…?萌え??」


「読心やめれ!?一々拾われたら話が脱線する!!」


「あ、はい!?」



えっと、意識して心の耳を閉ざして………と………はい。コレで相手の心の声が聞こえなくなりました!!



「…読心術、意識してやめました!」


「お、おう。素直でよろしい。」


「えへへ♪ありがとうございますラスさん♡」


「……………で、マナの件だったな?」


「はい。どうしましょう?多分明日からもわたしの部屋に来そうですし、今日は今日でわたしにベッタリかもしれません。」



ラスさんは何かに耐える様に拳を握り、それからいつものラスさんの様子に戻りました。



「まぁ、護衛対象って意味ではその方がやりやすくはあるが。

リシテアは治癒術師だ。

護衛対象に引っ付かれてても都合が良いだけだろ?」


「ですね。何かあっても直ぐに癒せるので、実質的に毒や呪い、物理的な怪我に対しての絶対的な御守り(タリスマン)になれますし。」


「実働的な守りはロイドや俺が担うから、リシテアが動く事は無いしな。」



動くとしたら、逃げたり避けたり、でしょうけど………わたしの場合、多少避け損なっても、例え致命傷を負っても即死さえしなければいくらでも治療出来ますからね……何せ天使族は結構頑丈(タフ)なので。


………だからこそ、無限に供給出来る魔術素材にされた天使、なんて悲しい事件もあったのですが、それはまた別の話ですね。

って、あれ…?何故でしょう、わたしはそんなこと誰かから聞いた覚えが無いですよ??

うーん………?

ともかく。



「とにかく、兄役であるロイドですら制御出来ない暴走王女をどうするか、だよな。」


「ですね。」


「1度アリシアに出てきてもらうか?」


「それ、トラウマになりませんか?」


「…………ロイド含めてトラウマになりそうだな?」


「え?何故ロイドさん??」


「あ、いや、こっちの話だ。」


「ですか。」


「それでもやっぱりアリシアに頼むべきかもな。

あぁいうのは一発、キツーイお仕置が必要だと思うぞ?」


「子供相手に容赦ないですねラスさん。」


「子供相手だからって手を抜くとかえって危険だからな。」


「そうなんですか…?」


「そうだよ。まぁ、実行するならまずアリシアをロイドに会わせとくべきとは思うが。」


「分かりました!」


「……提案した俺が言うのもなんだが、君は少しはためらおうよ……


「え?何故ですか??」



誰よりも信頼しているラスさんが言う事なので疑う必要ないですよね??

うーん………?



「ラスさんの言う事ならわたしは従いますよ??」


「君、そう言うことを軽々しく言うじゃありません。」


「でも、ラスさん相手ですからねぇ〜?

婚約者である以上、未来の旦那様な訳ですし??」



男はオオカミさん?だとジルバート先輩から聞いたことがありますけど……

そんなオオカミさんに襲われたら『子供を授かる様なことをされる』、というのもラスさん相手なら怖くありませんし…?



「………………。」


「ラスさん?」



なんて考えていたら再び何かに耐える様に震えるラスさん。

大丈夫なんでしょうか?もしかして病気ですかね??



「君さぁ……俺の理性に挑戦状叩き付けるのやめていただけませんかね???」


「はい??」



ラスさんはどうしたのでしょうか?

更に顔を真っ赤にして口を手で覆い、わたしから目線を逸らしてしまいました。


なのでわたしはラスさんに目線を合わせる為に逸らした目線の先に回り込みました。

ラスさんはまだベッドに座った状態なので、必然的にわたしは床に膝をつき、下から覗き込むような姿勢になります。



「ラスさーん?」


「……………………君は本当に、無自覚天然小悪魔だね。」


「わたしは天使(族)ですよ?」


「…………。」


「それより………。」


ちゅっ


「は!?」


「そろそろベッドから出ませんか?

朝ごはんの時間が来てしまいますよ♪」


「……………………どうやらここまでのようだな?」


「はい?何をー



この後、わたしの記憶はお昼過ぎまで途絶えてしまいました。

次に気が付いた時には、何故かわたしは身体の1部が痛いし全身が気だるくなっていたのですが、心は妙な満足感に包まれていたのでした。

うーん…?なんだか心だけでなく、お腹も温かいような…?

なんだったのでしょうね??

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