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白菊の応援歌

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。

でも珍しくオチが着いた気が。



人生何が起こるか分からない。日々の平和な日常が続くと思っていても、青天の霹靂、ある日突然荒波に放り込まれる事だって無いわけじゃない。

――君、近々異動ね。

――え、あ、はい。

そうして今、私は荒波に放り込まれたばかりである。数ヶ月先の未来が不安で堪らなくなった。人間関係は? 新しい仕事内容は? そもそもやり切れるのか? そんな気持ちを悶々と抱えながら、願掛けとして神社を訪れた。

最近顔を出しても留守にする事が多かった梅の麗人は、本日、たおやかな笑顔を浮かべて出迎えて下さった。思わず腰周りに抱き着きたくなるのを堪え、務めて冷静に深呼吸を行う。

「梅香の君、折り入って御相談があるのです。実は近々異動する事になりまして……」

真っ青な顔の私とは裏腹に、全てを理解した顔で静かに頷いた。それでもあえて何も素知らぬ様なお顔をなさって、私の手を掴む。

「あぁ、そうなの? じゃあ、はい」

開くと達筆な字で和歌が書いてあった。私でも分かる用語は『白菊』くらい。何を持って、これをお渡しになったのだろうか?

怪訝な顔をして凝視するも、にこにこの笑顔で返されるばかりだった。


「という事が先日あったんですわ」

「あら〜」

梅香の君とは私以上に長い付き合いの彼女は、私から受け取った和歌を読みながら、これまた梅香の君と同様の笑顔を浮かべた。つまり動機はあるが、それを教えるかはまた別の話。困った私の反応を見て、人知れず楽しんでいる。

彼女は私から受け取った和歌を元通りに畳み直すと、私の掌に戻した。それからただ一言。

「大事にされているのね」

「そう思うと天狗になるから、謙虚な気持ちで受け取ろうかと」

「じゃあ、そんな謙虚な貴方に私なりの考察を述べましょう。

そう言うと細めた目を僅かに見開いた。


この詩を物凄く要約すると『並んだ白菊が波のようだ』という現代語訳なの。けれども梅香の君がお伝えしたいのはそこじゃない。注目して欲しいのはこの歌が読まれた場面。

貴方、『菊合わせ』という言葉はご存知? あら、ご存知ない? では手短に。菊合わせというのは、互いに菊を出して優劣を競う遊戯なの。まぁその時に歌を付けるのが多いのだけど、その時に読まれた歌がこの和歌なの。

そう、つまり自軍の菊への応援歌がこの歌。遠回しながらも貴方に『頑張れ』とお伝えしたかったのではないかしら?


「大事にされているのね」

「お礼、言いに行ってきます……」



気が付いた気が付いたで良かった。気が付かないなら、気が付かないで良かった。でもきっと気が付くのでは無いかと思っていた。

そんな事を考えていたら、比較的長い付き合いの彼女が顔を出しに来た。

「直接、仰っれば宜しいのに」

「つまらないじゃないか」

彼女は隣に腰掛けて、私の横顔に視線を注ぐ。

身も蓋もない、というのは粋じゃない。少し考えてこそ深みが増す。それを共有出来る立場の人間であろうか? 私は此方側の人間だと思って君と接して来たのだけど。

「えぇ。でもお伝えしたかったのは、きっと異動の応援だけでは御座いません。『同じ趣を味わいたい』、『同じ視線でものを話したい』という知識の応援でもあると思うのですよ。それは同時に期待の応援でもあると思うのです。大事、なのですね。あの子が」

「君は此方側のようだね」

この子の様に、何れ話が出来ることを祈っているよ。

粋で頭の良い方がお茶目さ出すと、こんな感じかと。

行動原理が全く分からない相手の困った顔を見て楽しむ様な。


二重の意味での応援です。

今回は含みを持たせず全て登場人物が話してます。

皮肉が……。


異動先でも頑張れ!!

きちんと根回しもしておくよ!!

だから暫く留守にしてたんですよね。きっと。


この意味が直ぐに分かるレベルまで追い上げて来なさい。

君なら出来ると信じてるよ。

故、長い付き合いの子は全て理解した上で、見解を述べてます。


分かっても分からなくても今は構わないけども、追い付こうとする向上心が大事だよ。という意味かと。


※作者は向上心全くないので、梅香の君が仰る事で必死に説得力持たせてます。


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