9. ちょっと強いやつ
あれから2か月ゴブリン達を狩りまくった。
初めての戦闘での教訓を生かした戦いだが、これは、狩りだな。
中には、魔法を打つやつが出てきたが、ブツブツ喋っていて20秒ぐらいかかってファイアーボールを打ってきた。
はっきり言って敵ではなく的である。どうも人間と違って詠唱は長いし命中精度は5mくらいじゃないかな。魔防も低いのにレベルが12とおいしい。
弓矢を射るやつは、20-30m先から狙ってくるが、気配察知で判っているし、攻撃力が低いのでシールドに”ぺち”っと当たって落ちる。俊足で近寄りナイフで一撃だ。
どうも矢に毒が塗ってあって段々弱らせるのが作戦のようだ。
毒については、あまり考えていなかったので分析方法、解毒薬などを準備しようと思う。
レベルも12とおいしい。
ホブゴブリンと戦ったが、中々強かった。
レベル21 魔攻84 MP84/84
レベルは、20から26くらいまで
こいつは必ず部下のゴブリンを従えていて、中々隙を見せない。一度だけ討伐に成功したが不意打ちで後ろからナイフで刺した。何度も何度も首を目がけて刺した。
首の急所を初めに刺したときは、切れ味アップを付与しているのにナイフが入って行かないので、ブーツの俊足で後押ししてやっと倒した。中をぐりぐりしたら、後は刺さるようになった。
段々自分が殺人鬼じゃないだろうかと錯覚してくる。
その時の自分の能力は、
レベル11 魔攻22 MP55
不意打ちでも魔耐20くらいの魔力纏をしていた。
不意打ちでこれでは、真正面から戦ったら絶対勝ち目はない。
物理能力ではレベル20になっても勝てない開きがある。
やはり、レベル12から18のオークを狙うのが今は得策だ。
オークでもハイオークやオークナイトなどに当たるとお手上げだが、この辺には見かけたことがない。
普通のオークはレベル22で、
レベル21 魔攻63 MP63位が上限のようだ。
戦闘も不意打ちから真正面での戦闘をわざと行う。
相手から攻められたら逃げていたのでは、真の力には近づけない。
なるべくレベル12程度を見つけ戦闘を繰り返す。
今の俺の戦闘パターンは単純だ。
左指人差し指からウインドウスクレイパーを発動。攻撃力60
これは、扇形の刃を打ち出すものだ。
え、何で火力の高いファイアーボールを使わないかって?
ファイヤーボールでゴブリン無双していたら火の粉が森に移ってもう少しで山火事になりそうだったのよ。
もう消すのに大変でボヤで済んで良かったよ。
まあ、そんなことがあって威力が落ちるところは、魔攻と魔力で補ってMP5消費するんだけど最弱のファイヤーボールの攻撃力の3倍になった。
速度は10倍速いし、射程距離は、50mでもいけるかも知れないが、遠距離用に作った訳ではないので2,30m行ければいい。
扇形にしたのは、着実に狙うためだ。大きな三日月型の刃にするウンドウカッターだと着弾時の威力が落ちる。
攻撃力50にしても刃が軽いと実際のダメージは、20程度で、命中精度が滅法悪いのだ。
扇形の刃がまっすぐ進むと刃の重さと直進性が高いので攻撃60でクリティカル時の威力は100を超える。人型魔物(人間も同じ)の弱点は完全に首である。不可視の刃では、瞬間的に防御力を上げにくい。
扇形にしたのは、重さだけではない。クナイのようなナイフだと動いている相手には、首の中心に当てるのは難しいが、扇の刃は、ある程度のズレは、クナイに比べ幅があるのでカバー出来る点もある。
ウインドウスクレイパーのおかげで殆ど35cmのナイフを使うことはなかったが、実地訓練のため十回位戦闘を行った。
レベル差があっても戦い方法は有る。俊敏性でさえ勝っていれば、まず足を切り付け機動力を無くす。後は、滅多切りだ。(本当惨殺者だよ)
レベルは19 魔攻46 MP95となった。
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いよいよ、ホブゴブ(ホブゴブリン)との決戦だ。
3匹ほど部下を連れたホブコブに会った。
「よう、殺し合いをしようぜ」
「ゴブゴブ、ゴギャー」
3匹が突進してくる。
「ウインドスクレイバー、ウインドスクレイバー、ウインドスクレイバー」
首が3個宙を舞った。
「ゴギャギャ・ギャ・ギャ・ギャ-」
前傾姿勢で首を庇いながらホブゴブが突進してくる。
「こいつやるな!
だがな、パワーウエイトレシオが違うんだよ」
攻撃力が倍あっても重さが俺の3倍ある。スピードは勝っている。
相手が棍棒を振り上げる瞬間、
”ウインドスクレイバー”。
クリティカルヒット!
頭が”コロ”と落ちた。
ホブゴブの誤算は、魔法発動は、10秒掛かると思ってたことだ。
「さっき3匹連続で発動したのに一度に3発発射したと思ったのかな?」
ーホブゴブは、3連射を同時発射と勘違いしたのだ。ー
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