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71.教都観光


ナイカブラとの戦いは、今までで最も精神的に疲れる戦いだった。彼は気付いてないのか違う目的があったのかは、定かでは無いが、世界を滅ぼそうと思えば簡単にやってのける実力があった。

もし、あの時逃がせばより知恵を付け、完璧に遂行しただろう。

 攻撃相手が目の前にいる戦いは、それだけに集中すればいいが、何が来るか、どこから来るか、何時来るのか分からないゲリラ戦を挑まれた、そこに大規模殲滅を連発で仕掛けてきたら人類は抗う術などない。

本当に恐ろしい相手で、ある意味では悪魔王より強いとも言える。ただ、悪魔王召喚に固執したのは彼らの存在意義に何か関係するような気がする。

タケオは思った。本当、プライド高くて助かった。もう二度と戦いたくない相手だ。勇者も少しは手ごたえを感じたろうから、ここでバトンタッチで良いだろう。なあユグのオヤジ。


それから、依頼料として勇者から金貨100枚貰ったので50枚を黒狼族に渡した。

また例のごとく、いるいらないをするので、貰わないと敵だと言うと渋々貰っていった。

テンコが、ドス黒紫の根っこを5本渡すと飛び上がって喜んでいた。

ばあちゃん孝行が出来るとか、隣の寝たきり爺さんが何とかかんとか言っていたが、あの根っこは贈り物にすると凄いらしく、結婚したい娘に渡すと一発OKが貰えるらしい。

何故だろう。何となく理由は聞きたくないな。

テンコから押収したのが倉庫一杯分あるんだよな。それにテンコは何処から拾ってくるんだろうまた貯めているようだし。

今度、収納の抜き打ち検査しないとまた何を貯めてるのか分かったもんじゃない。


高密度ミスリルの箱の料金を払うと賢者トウアスが言ってきたが固辞した。だって、こんなの値段にしたら金貨千枚でもお釣りが来ないよ。そしたら教皇が出てきて、偉そうに”払うから別の仕事をしてくれたまえ”と色々仕事を押し付けられるルート見え見えだよ。

 とにかく、貴族や為政者は、大嫌いの絶対NOが言えるタケオであった。(実は、悪魔信徒が置いていった高密度ミスリルの箱を秘密裏に回収していた。質量的にはこちらの方が大分大きかったので得した計算になるのは内緒だ)


俺達は、折角教都近くまで来たので、王家の谷について調べる事と観光を兼ねて教都に滞在することにした。

のだが、またもやオーキを巡って門番とのひと悶着があった。ここはひとつ勇者の威光を借りて押し通ろうとしたが、返って怪しまれ牢屋に入れられそうになった。

本当、勇者は人望ゼロだよ。

そこで、聖女マリアさんの話をしたら即教会の人を呼んでくれてマリアさんが来てくれた。

オーキは、白い修道服(3m以上ある特注貼り合わせ)を着て入門が許可された。

マリアさんにお礼を言って、後で王家の谷のお話が聞きたいと、話したら、大喜びでOKしてくれた。

何で喜んでるんだろうか。お話し好きなのかも知れない。

翌日のアポ取りしてギルド本部に向った

怪しまれたのには、もう一つ理由があって、オークを別々の4台の荷台に乗せ、計40体を牽いてきた事も原因だろう。

(実際牽いてきたのは、教都近く1kmくらいで、後は収納に入れていた)

こちとら滞在費も捻出しないとならないのだ。形振りなど構ってはいられない。


田舎だとオークは、金貨1-2枚だが、教都まで運ぶと金貨4枚になる。これで40体で金貨160枚になるのだ。

税金引かれて120枚になるが、ランド王国に比べれば税金が安い。

不謹慎だが、世界を救って金貨100枚なのにちょっと悲しい。

とにかく、ギルドにオークを卸しお金を受け取る。

何時もはみんな、フラウにご執心なのだが、今日は3mの白い修道女に釘付けだ。

オーキに喋るなと言ってあるのに、「おら、修道女だ」と誰かが通る度に言って回っている。

初めて、みんなが目を背けず見て来るので嬉しいのかも知れない。顔は殆ど見えてないんだけどな。まあ、どうでもいい。

 

 次にお待たせの薬屋である。

ここでは、ウルトラ・スーパー・ギンギンドリンクが売っていた。横紙が貼ってあって、”!25時間戦えますか!”となっていた。

若い俺だって25時間は、、、、、無理だ。いやオーキ戦さえ無ければ、、、、、やっぱり戦えない。これは30過ぎたら一回はチャレンジしたい商品だ。

タケオは、店のドアを開けた。

”キーー”

「すみませーん」

”パタン” 即ドアを締めた。

皆に中を見せない様に体でドアを隠した。

「君たち、ここで待っていてくれたまえ」

「マスターどうしたです?ニアの町では一緒に入ったです」

「店主の面構えが違う。ここでの交渉で値段が倍は変わるだろう。全神経を集中して交渉したい。

ここは、勝ち取らねばならない男の戦いなのだよテンコ君。

そこのカフェで”甘いもの”を食べながら待っていてくれたまえ。」

そう言って金貨2枚(嫁達は皆お金を持っているが敢えて渡す。ここが大事)

皆は頭に?マークを出しながら、でも”甘いもの”の誘惑には勝てないようで、わいわい喋りながら嫁達は去って行った。

「ふーー、失礼しまーーす」

”キーー・カランカラン”

そこには、テーブルに膝をつき、椅子に足を組み座っている褐色の肌のダークエルフが居た。スカートは超ミニで組んだ足の付け根当たりから白い小さな布が見える。

肩肘をついた胸元には褐色の弾丸のような形をしたものが。

「いらっしゃい、何か入用?僕」

「いや、オークの、その何と言いますか二つの球体?を売りに来たのですが、扱ってますか」

「ああ、オークの玉ね。捥ぎたて新鮮じゃないと引き取らないわよ。数時間で鮮度が半減するからね。見せてみて」

俺はいつも通り、袋から出す振りをして1組2個を10組み置いた。

虫眼鏡を取り出しモミモミしながら匂いを嗅ぐ、、、だけでなく玉を舐め始めた。

”ちろちろ・ペロペロン”

これは、近くで見るよりちょっと引きで見ると、はみパン、胸にはロケット大峡谷、モミモミ、ペロンペロン。もう持ってけ泥棒状態だ。

もう褐色の肌に白いはみパンは、超反則技だろ。

今日の運勢は、昇天だな。ついに天に召される時が来たか。


「おい、エロガキ金取るぞ」


く、しまった。チラ見の帝王と呼ばれた俺が気を乱してしまった。(自分だけ思っている。女の子には超バレバレ)

「捥ぎたての鮮度だな。ここまでの上物は、見た事無い」

「倒して速攻持ってきましたから」

「これだけかい、あるだけ置いていきな」

後30組を渡した。

・・・・福眼・福眼・・・・・暫く教都に居ようかな・・

やっぱり、嫁がいたってこの新鮮さはどうしようもない。見るだけなら浮気じゃないし、別腹だし。


チラ見は男の宝くじだ!


「ほい、これが代金だよ。ウルトラは、作った横から売れるから100でも200でも出来るだけ持ってきな。これだけの鮮度なら即買いだよ。色も付けといたから他に卸したら承知しなよ」

そう言って褐色のエルフはワザと足を大きくゆっくり組み直した。

>絶対ここに卸します。毎日卸します。僕も卸しちゃってください。

と心に刻んだ。

金貨50枚入っていた。何だこの稼ぎは。

俺は、この光景を記憶に深く刻み、店を出るのであった。


「マスター遅かったです。」

「ああ、凄腕だった。だが、俺に悔いは無い」

テーブルに金貨50枚を置いた。

「うお、やったでねーか。さすがタケオだ」

皆にお小遣い金貨5枚づつ渡した。宿代食事代などの共通費用はタケオが出しているので、破格のお小遣いである。

翌日、聖女マリアが住む教会に行き、王家の谷について尋ねた。

ナイカブラ戦で話をした時、歴史が好きで、暇なときはいつも図書館にいると言っていたので他を当たるより、いい情報が聞き出せると思ったからだ。

王家の谷は、教都から西に馬車で7日の距離にある。

岩場になっている荒れた土地で、数千年前は、この辺を領土に持つ王国の首都だった。王国は、何度か王族が変わったり、侵略されたり取り返したりを繰り返し、いつの間にか消滅していった。

その混沌の時代を過ぎ、教皇国が樹立したとなっている。

余りに古く、文献も殆ど存在していない。

ただ、この王家の谷となった当時の首都を必死になって我がものにしようとする者が多数現れた。

それは、この地に世界を手に入れられると言われた聖遺物が在ると信じられていたからだとされている。

一体その聖遺物とは何なのか、はっきりした事は分かっていない。

一説では、巨大魔導砲とか巨大飛行艇と御伽噺には出て来るそうだが、知らない人間が後世で書いた子供の為の絵本なので全く分かっていないと言った方がいい。


 とはいえ、数千年前は栄えた文明があった場所なので、土に埋もれた中から色々な出土品が出て来る。


今でも数組の冒険者が、一攫千金狙いで、王家の谷を発掘している。いわゆるトレジャーハンターの冒険者である。

数十年前は、銀食器や宝飾の短剣、長剣などが出てきて一時期ゴールドラッシュになり、数百人の冒険者が集まったが、現在は出土品が殆どなく数組の冒険者が仕事が休みの時に少し掘っていると言った所だ。


 今までいろいろな人が掘って来たので、所々穴だらけで深い処は数十mにも及ぶそうなので気負付けた方が良いと言われた。

発掘許可は、特にないのだが、領主の発掘許可証を持っていれば変な因縁は付けられないとの事で、マリアさんが賢者のトウアスさんのご実家が王家の谷を含んだ領地なので許可証を取って貰う事になった。

御礼に魔ギ酸の甘味の入った小瓶を4つ渡した。

また例のごとくテンコがドス黒紫の根っこをマリアに4つ渡そうとしたので、阻止したら、

何とマリアさんがこの根を知っていた。

”ダイソン木の根”と言い、宇宙でも育つ無限の力を持つ長寿の木の根として認知されているようだ。万病に効き、老衰で死にそうな者でも寿命が5年は伸びると言われる伝説の根っこだそうだ。

但し、健常者は絶対飲んではいけない。

そこまで知っていた。幾つ欲しいのと聞いたら神の思し召しが許す限りと言われてしまった。

・・・・取り合えず、テンコに了解を取り、俺の収納から50本(1割未満程度)ほど進呈する事にした。

マリアは、光り輝く笑み(さすが聖女)を見せた。

「こんなに頂いて宜しんですか。これは、タケオさんからの贈り物ですね。盟約に従って頂きます」

嫁達の目が一瞬光った。頭の毛が一本立ったような。

嫁センサーか?ニュータイプか?


「えへぶ、むんーーんー」

テンコが俺の鳩尾に肘打ちを咬ます。

オーキが後ろから俺の口を塞ぐ。

フラウ「いえ、違います。テンコさんからの贈り物です。単にタケオが預かっていただけですので、何の意味もない根っこです」


マリアは残念そうだ。

「そうですか、これからタケオさんから頂く事は出来ますか」

オーキの締め付ける力が強まる。痛いよー

テンコ足踏むなーー。

タケオ「むーむーー」

フラウ「今日は、これから急ぎの用事があるので無理ですね」

マリア「そうですか、今度二人きりでタケオさんの興味のある歴史のお話を致しましょう」


こうして無理やりタケオは宿に戻る事になった。

「どうしたの、急にテンコもオーキも痛いだろ。フラウもまだ聞きたいことあったのにどうすんだよ」

凄い形相でフラウはタケオを睨みつけた。超怖いよー

「二度とマリアさんに一対一で会う事を禁じます」

「タケオ、おめー、分かって話してだか」

「マスター、ドス黒紫の根っこを異性にあげる意味わかってないです」

「へ?」

「いーいタケオ、あの根っこの意味を知っているという事は、悠久の古の掟を知っているという事なの。

黒狼族の人が話してたでしょ。嫁が一発OKだって。

あの根っこを男性があげて、女性が”盟約に従って頂きます”と言ったら古の宇宙の盟約に従い死んでも番いとなる誓いなのよ。

だから、その気がない人は、同性があげるか、何の意味もない根っこです。って言ってあげるのよ。

この世界の常識でしょ。前から本当下半身が軽いと思ってたけど、お尻に羽でも生えてるの。まったく」

えーーーーー、そんなの知るかよ。だからテンコが矢鱈くれたんだな。

本当にこの世界は、嫁地雷が多すぎるぞ。

「知らなかった。許してくれ」

「既婚者が簡単に女性に物をあげちゃ駄目よ。本当に好きな人だったら・・・・考えなくもないかも・・やっぱりないけど」


奥様井戸端会議が急遽開催された。

「しかし、聖女だから油断したわ。」

「おらもだ。勇者のハーレムパーティーだと思ってただが、まさか、それも聖女がバリ3の婚活中とは、神様でも分かんねーべ」

「僕も油断したです。マスターは、脇が蜂蜜より甘いです。女と話すだけでも気を抜けないです」

3人の結束は、より深く成って行くのであった。


これ以上教都にいると地雷を踏みそうなので、オーク玉を一杯卸して、必要品を買って出て行く事にした。




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