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6. 5年間の成果①

1か月間、必死に自分に役に立つ本はないか蔵書から探していた。

大まかに分けると、薬草学、魔法、魔法陣、魔導回路、鉱石・宝珠、医療と治療が殆どで、あと雑学本だった。


そこで見つけたのが、”トリプル灰色の育成”の本だった。

内容で重要な部分を一生懸命考えた。(だって僕10才だよ。難しくて)


1.魔力循環

 とにかく頭のてっぺんから足の先まで魔力を動かす。

これを出来る限り早く全身にぐるぐる回す感覚で動かす。

才能がトリプル灰色(今後クロと称す)の場合、魔力の才能が少ないので魔力自体が少なく薄くなる。

当然魔力が濃いものより簡単に循環スピードが上がっていく。

魔力の才能があるほど循環スピードは早くならない。

体温が上がり過ぎる手前が限界と書かれていたが、くるくる体内を回るのが面白かったので必死になってスピードを上げていった。

半年ぐらい挑戦していると、熱が上がるのは、腕の付け根、首、足首だとわかった。そこを通るとき広く押し広げるように循環させたら、またスピードが上がり熱が出なくなった。

 (自分にとっては新しい発見が出来て嬉しかった)

体が青く光りだし、”キーーン”と音が聞こえる。

なんかこれ以上やると”ボン”と爆発するような気がして怖くて少しづつスピードを上げていった。

2年後には、光もせず、音も出ない。感覚は全くの無で何も感じない。

3年後には、走っても剣を振っても何していても自然にこの状態が保てるようになった。

本では、ここまですることは書いてなかったが、凝り性の自分は、納得するまでやって、だいたいやり過ぎて失敗する。

でもバカだし、劣等感なのかもしれないが、人より頑張ると何か嬉しい気持ちになる。いわゆる自己満だ。


2.身体強化

 魔法にも興味があったが、魔力の少ない自分が魔法使いになれるイメージがないので、身体強化を訓練した。

最初は、循環する魔力を筋肉縮緩と同じ動きで魔力を動かした。段々無意識に同調するようになり強弱も繊細に変える事ができるようになった。

ここで、魔力循環の速度に意味があるのが判った。24時間魔力が常に循環している中で部分的に魔力を使っても即補充されると疲れる事がなく動く事ができる。


3.魔力操作

 身体強化が出来るようになったとき、魔力操作の訓練に入った。

トウースの研究室に魔力が見えるメガネがあったのでそれで見ながら行うのだが、指先に魔力でハートマークを作ったり、光線のように針のような細さで1mまで伸ばすのだが、凝りすぎて30mまで伸ばせるようになった。(きっと何の役にも立たない)一番難しいのが魔力で犬の形を作り、歩かせるように動かすのだ。本には書いてなかったが娯楽もないので一人遊びしていた。

ボン・キュ・ボンの女性をフリフリ躍らせることも出来るようになった。胸の先のポッチも再現し凝りに凝った。

タケオが凄いのは、魔力は見ても白くしか見えないはずなのに、肌色で、紙は金髪、ボッチはピンクの色が微妙に本物っぽい。

この色付け方法は、極秘だ。

ー10代前半の健康な少年である。寛容な心で許してやってほしい。ー


ーーーー補足せねばなるまい。ーーーー


ここまでの鍛錬で、タケオはとんでもない能力を身に着けたことに気づいていない。

 魔力の高速循環は、思考スピード、思考力、動体視力、五感の鋭敏な感覚については、この世界でタケオに敵うものはいないだろう。


この世界での才能の基準は、脳筋基準である。

高出力の魔力を複数回ぶっ放して、相手を粉砕するには、魔攻、MP,魔回に優れていれば強いという発想である。

この世界を作った神様は、体育会系のそれも根性重視派だ。


ーーーーーーーーーーーーーー


4.魔法のお勉強


 母さんが魔術師だったこともあり、ある程度は学んだが、ここには相当な量の魔術書があるので読まないのはもったいない。


最初、魔法理論を読んでいたが、全く理解できなかったが、籠って3年経った頃から多くの本を高速で読める様になったら理解出来るようになった。


ファイアーボールを習得するだけで、魔術教師に師事して3年、才能のある者で1年と言われているようだ。

実際には、習得に手順があるからだ。


 まず、フォジックと呼ばれる基本魔術の習得から始まる。

これは、物理的な物体だけでなく、魔力なども含め、移動、圧縮、分散、射出、加速、付与、回転、包含、操作等をする補助系魔術である。指先だけで出来るので繊細に動かせれば魔力の消費を最小限に抑えられる。

 積み木などを使い練習するのだが、細かい操作でもあり、習得に2,3年かかる。


 次にシールドの魔術だが、ファイアーボールなど目の前に出現させれば大火傷である。たまたま集中できなくて暴発すれば簡単に腕が吹っ飛ぶ、下手すれば即死だ。人間が行うことは、体調、緊張その場の環境によって変化する。いつも100%同じにはどんな魔術師もできない。

そのため、魔術師は最低でも暴発に耐えられるシールドを体の前面に展開する。

シールドの魔法は、体内魔力を外に放出する時、固い透明な膜に変換する。

また、魔術を発動中は、相手に大きな隙ともなり、このシールドは防衛にも必要なのだ。


 最後にやっと炎の作成だ。

ここが、先生がいないと理解できない所かもしれない。

まず、炎をイメージして変換してしまうと相手に炎が当たっても弾けるだけで、「熱ちっ」くらいのダメージしか与えられない。まあ当然と言えば当然だが。

そこで、教える先生によって変換イメージが変わるのだ。一般的には、燃える気体(ガス)に火が付いた状態をイメージ変換する。それをフォジックで圧縮して圧縮して、発射すると相手に当たって爆発する。圧縮すればするほど威力は上がるが、暴発の危険が高まる。

フォジックと魔力変換を同時に行うのでここが腕の見せ所であり、ここで威力が全く変わってしまう。

もう一つの圧縮する物に燃える油をイメージする者もいる。戦争を生業とする魔術師はこちらにする者が多い。これは、油なので圧縮度合いを少なくできるのと相手に当たった場合、火だるまになり、まず助からない。周りにも飛び火するので結構やっかいな魔法である。

フレンドリーファイアーなども起きやすい魔法だ。


 これでファイヤーボールの魔法が発動するのだが、魔攻の出力が大きかろうとファイヤーボールは、ファイヤーボールだ。

一度に出力を上げれば威力は増すが、危険極まりない。

フォジックの圧縮操作で常に高魔力を封じ込めるのは、不可能に等しい。つまり、魔攻が高くても使いきれないのだ。


まあ、中級、上級魔法は、ある程度の魔攻がないと発動できないがせいぜい30~100くらいだ。

一度に300もMPをぶち込むのには勇気がいる。暴発すればシールドなんて役に立たないので即死一直線だ。その為、出力を落として何段階かに分けて塩梅を見ながら圧縮するのだ。

火系の上級魔術はファイヤーボムだが、ファイヤーボールの高圧縮版と言ってもいい。


ゴブリン・オークをクリティカル一撃で倒せるファイヤーボールは、MPが30かかる。その内訳は、フォジック12,シールド17、炎への変換1以下である。

準備、制御の方が魔力を使うのだ。


 魔術師は、魔術を唱える時、指を組んだり回したり、天に手を上げたりするが、それが制御や変換の回路を動かす態勢なのである。

それらの動作と呪文でいつも同じ動作を何千回と練習することでいつも一定の魔術が発動出来るようになる。

言ってしまえば、詠唱や指で呪印のように組むのは癖であって本来厳密には必要はない。

よって、魔法使いは、身体強化で内部魔力を移動してしまうとやっとの思いで安定した火に変換する体内回路を生成しても一から作り直し鍛錬しなければならず、現実に両方は習得できないのだ。この世界で魔法戦士のような両刀使いは存在しない。


 それから、なぜ、魔力が他の物質に変換できるかは謎だが、ひょっとすると全てのものは魔素から出来ているのかも知れない。



誤字脱字を修正しました。

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