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51.ランド王国の陰謀


◇ランド王国 某会議室

ランド王「カリスよ。仕掛けの準備は進んでいるか」

将軍カリスは、バルド将軍を追い出した王のYESマンだ。

「陛下、現在ファイアアントによるニアの町強襲の準備中であります。」

「ファイアアントは、大河の中の小島に閉じ込められていると聞いたが」

「はい、そこから大繩で橋を作りそこを渡らせて連れて来る運びになっております。既に10匹程のファイアアントを吊り出すことに成功しております」

「大丈夫なのか、ファイアアントを世に放つと全ての生き物を食い尽くし、大地を不毛の地にしてしまうと言われているぞ。そんな土地貰っても何の役にも立たんし、うちの国も危ないだろ」

「そこは、問題ありません。ファイアアントは、爆発的な繁殖力を持ち蹂躙していきますが、全ては、クイーンもしくはクイーン候補と呼ばれる数体の個体しか繁殖いたしません。クイーン達は大型で縄を渡ることが出来ない様になっております」

「そうか、しかしな脱出したファイアアントが町を襲うのは何時になるか分からんではないか」

「それも、黒魔導士を連れて、魔誘香を使い、町に誘導するよう10匹のアントで行っております。

これで、先兵隊が臭い付けしてありますので、脱出した全てのファイアアントは、ニアの町に向う手筈になっております」

「おお、では全体的な戦略手順を説明せよ」

「は、皇帝崩御の知らせと共に国境近くに待機させている先遣隊1000人を森の中を侵攻させます。これを合図にファイアーアント百~2百をミアに向かわせます。

 どちらが勝っても塀はボロボロ、敵とアントもボロボロですから、頃合いを見て占拠となります。ボロボロと判断した時点で伝令が各地に飛んでいきます。

各地に分散し隠している5万の兵が2日で森の国境を目指します。

国境は、内側からの攻撃には弱いので帝国の内側の千の兵と5万の大軍で奪取します。

そして5万の兵が国境を渡り、ニアを拠点に帝国を食い破ります。王都からのクライド王太子率いる援軍5万と合流し10万の兵で帝国ケニス領を奪取すると言う計画です」

「先遣隊千では、心もとないのう」

「先遣隊は、相手に悟られないための少数精鋭でありますが、先遣隊員は、才能黄色または白の王都で最高の訓練を施したわが軍最高能力部隊です。相手5千の兵でも余裕で勝てる部隊です。」

「まあ、良かろう。宰相、そちらの仕掛けはどうだ」

「はい、準備万端でございます。帝国では、皇帝死去の後、侯爵以上の座談会があり、その後全貴族出席で皇帝決定式が行われます。そこに皇太子派の男爵と次男皇子派の子爵が喧騒を繰り広げる手筈です。帝都では、さくらを100人動員して両派閥を煽る運びとなっており、大混乱が予想されます。」

「これでは、皇都から遠いケニス領は手が回らないであろうな

はっ、はっ、はっ、はっ、は」

「「御意」」


「クライドよ。ニアは果物が旨いと聞く、くれぐれも果樹園は焼くでは無いぞ」

「父上、もう果樹園の心配ですか。気が早いですな。気を付けますが、皆殺ししてから整理致しましょう」

「余り、遊ぶでないぞ。女子供の殺した数を競うような事をするとその兵士が帰って来た時、切り裂き魔か殺人鬼になっては溜まらんからな」

「それはご勘弁を、兵士も鬱憤が溜まりますと餌を巻かないと働きが鈍ります故」

「もっともじゃな。はっ、はっ、は」

本当にゲスな親子である。


◇その頃のファイアーアント近くのランド王国隠密隊

「もう無理です。これ以上幻影の魔法は持ちませんよ」

3か月前、ファイアーアントを閉じ込めている大河を渡れる様に一本の大きな縄を張った。100mの大河に縄を張るだけで10日かかった。

 まず、今居る一番大河の幅が狭い場所から細い縄を巻きつけて飛び込み対岸に行く。濁流の中を泳ぐのは命懸けだ。魔法のこの世界でも対岸まで行けたのは6人目で5人は濁流にのみ込まれた。

段々太い縄にしていき、5人が縄を渡る。

崖をよじ登り見つからない様杭を打つ。縄を固定して終了だ。

 そこの縄にファイアーアントが渡って来ない様に黒魔術士が幻影を施し、縄が無いように見せている。

皇帝死去迄3か月はかからないという予測から、3か月を持たせるよう貯蓄魔石を使い、魔法を継続させている。

大きな魔石を10個持って来たが、いよいよ限界が来たようだ。

「もう少しだ。もう少し何とかならんのか」

「もう最後の魔石が今日明日でゼロになります。3か月はかからないって仰るからこんな山奥まで3か月分の大きな魔石を持って来たんですよ。もう3か月が過ぎてしまってます限界です。

あの縄を切りましょう。そうしないと大変なことが起こりますよ」

「いや、駄目だ。ここで切ったら最初から始めるのにまた何日かかるか、何人死ぬか分からんのだぞ。この作戦を失敗したら、ここに居る50人は一族郎党火炙りになる。」

「隊長、噓の報告したでしょ。クイーンは出てこれないって、なぜあのような嘘をついたんです。このまま放っておけば、クイーンが出てきてこの世界が滅びるかも知れないんですよ」

「・・・一度そう送ったら、将軍からクイーンは出て来れないと書けと命令があった」

夜寝静まると、黒魔術士は、縄の所にいた。

巡回の兵士がそれを見つけた。

「お前何してんだ。」

黒魔術士は、大縄をナイフで切っていた。

「みんなが切れないなら俺が切るしかないだろ。」

「貴様ー!」

”ザシュッ”

「ぐあー、ここでクイーンを出せば人類は滅亡するかもしれないんだぞ。」

”ズブッ”

「兵士は、命令が全てだ。」

「俺たちが逃げればいいだ・け・だ・ろ。何と愚・か・な・・」

黒魔術士は、息絶えた。

寝ていた上官が駆けつけた。

「どうした!説明せよ」

「は、黒魔導士が縄を切ろうとしていたので、阻止及び殺害しました」

「よし、夜警に戻れ」

「ハッ」

朝、隊長から号令がかかった。

「皆、良く聞け、この橋の幻影は、もうすぐ消える。伝令が来るまでファイアーアントを阻止し、ここを死守せねばならん。全員死ぬ気でかかれ」

それから、数時間後幻影は消えた。

ファイアーアントは、縄の上を数珠繋ぎに渡ってくる。

その攻防は、わずか1時間で終わった。




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