4.ゴブリンでもわかる
とりあえず洞窟の荷物を家に運び込んだ。
大変ありがたい住処が出来てしまった。
賢者トウースの隠れ家を発見した俺は、まず、この隠れ家の取り扱い説明書を見つけた。
説明書の表題には、
ーーーゴブリンでもわかる隠れ家の秘密ーーーー
となっていた。
「ゴブリンは人の文字読めないから」と独り言ちる。
・・・やっぱり廃棄されたのは、小ばかにした態度が原因だな。
この家の見取り図があった。
執務室の奥に研究場があり、そこには多種多様の魔道具が置いてあった。
庭は、やっぱり果樹園、野菜畑と記されていた。
小川は、地下水を自動的に汲み上げる魔道具で水を供給しているようだ。
天井の天候は、原理はよくわからないが外の光を内部移送する魔導装置?で日が照ったりしているらしい。
温度も一定温度を保つ魔道具らしい。
冷凍庫も含め、これらの魔道具へ大きな魔石から魔力供給している。
この大きな魔石へは、自然界の魔素を魔力に変換する魔導回路から充電している。これにより半永久的に稼働する機関となっている。
森の半径10km以内に魔物が嫌う音がながれているそうだ。
この魔道具は、人間が感知できない音波を発信する装置で魔物だけに反応するらしい。この音を聞いた魔物は、頭痛がするので近づかなくなるそうだ。ただ、低級な魔物は、影響を受けにくい。影響範囲も変えられるらしい。これでこの森に危険な魔物が近づかない理由がわかった。
入口のドアの開閉と認識も行っているが、ドアの登録は、100年で切れて新たに登録するようになっていた。
つまり、100年前に死んだトウースの期限切れで自分が登録したことになる。
タケオは知らず知らずにこの隠れ家の主となった。
難しいことだらけで良くわからないことばかりだ。
今は何となく判るところから始めるしかない。
しかし、食べ物に困ることもなく、年中暖かい中にいると村のジーちゃん達を思い出す。
「無性に梅昆布茶が飲みたいなー」
ーーーほのぼのーーー
「だめだ、だめだ」
もう少しで夕日をみながら孫を撫でたくなった。
俺10才だよね。自信がなくなってきた。
「ここには、俺が強くなる何かがありそうだ。
俺は賢者トウースが残してくれたこの遺産を徹底的に自分のものにして見せるぞ。」
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それから5年間タケオは寝る間を惜しみながら必死に魔導回路について学ぶ事になる。