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36 .ジャイアントスパイダー


「長老、オークキングは、ラスボスですか。」

「タケオ、オークキングまで行ったのか」

「はい、ただ未だ勝てないと思うのですが、戦ってみたくて」

「いや、あれは辞めておいた方がいいぞ。昔からあるダンジョンだが、挑戦したものは何人か確かにおった、だが倒したものを聞いたことはない。ラスボスではないがダンジョンでも負け知らずの魔物は進化し続け化け物クラスになる。

優に100は、超えている。森にいるキングなら100など超えないが。

ただ、あの部屋の扉が閉まるので入ったら倒すまで出れんぞ。」


諦めるしかないか。

その時だった。

「みんな逃げろ、ジャイアントスパイダーが降りて来たぞ」

まずい。これはまずい。

外を見ると体高4m幅8mの巨大蜘蛛がゆっくり歩いている。

「長老、ジャイアントスパイダーは2m位じゃないんですか」

「あいつは、この辺の主じゃ。それより早く逃げなければ、おそらく雄探しに降りて来たんじゃろう。子供たちを守らんと」

俺は、蜘蛛の前を確認して行く、子供たちが遊んでいるのが見える。

「逃げろー、早く逃げるんだー」

親たちが叫んでいる。

子供たちは全く気付いていない。

もう間に合わない。

「ファイアーボール、ファイアーボール」

”ボンッ”・”ボンッ”

蜘蛛に命中しこちらを見ている

「キキ」

「こっちだ、ウスノロ」

俺は、手を振りヘイトを集めた。

”のそのそ”

こちらに向いてきた。

”シャキシャキ”

段々早くなる。

俺もだんだん早く走る。

”シャッキ・シャッ”

早い、俺に策はない。なぜ助けたんだろう。勝手に体が動いてしまった。

俺は、聖人君子ではない。命大事にしたい。でも目の前で子供が死んでいくのを見ていられるほど腐っちゃいない。

俺みたいな馬鹿な奴は、絶対長生きしないよな。

「俊足、直進ブースト」

火山ガスの所まで誘導して逃げようと思ったが、相手が早すぎて直ぐ追いつかれた。

村からは少し離れたのが幸いだ。

「やるしかないか」

「能力探知」

ジャイアントスパイダー レベル180 魔攻1500 MP30000

何だ、こんな桁違いの化け物、誰も倒せんだろ。


レベル差があり過ぎて危機感知が働かない。

「ミスリルの盾」

気配察知で何か飛んでくるのが分かった。

”ザク” ”スポーーン”

俺は空を飛んでいる。ミスリルの盾にくっ付いて飛んでいる。

ミスリルの盾に穴が開いている。きっと貫通する時に軌道がズレたのだろう。俺の腹の前を鋭い黒い足が横切ったよな。

そしたら、盾と一緒に飛ばされたようだ。

ここまで、強さが違うともう何も思わない。

ウサギって獅子魔獣に捕まったらこんな感じなのかな。

何十メートル飛んだんだろう。

落ちたところで、大蜘蛛が糸を吐き出した。確かあれで捕まったらミスリルでも切れないよな。

ああー団子にされて体液吸われるんだ。

「タケオ危ない」

オーキがタケオの前に立ちはだかった。

”シューーー”

オーキは糸団子になった。

「おい、何でお前が」

「おらは、おらは、ただタケオが生きて欲しくて」

俺は。二度彼女に助けられた。

団子にされたら助からないんだぞ。そんなのこの世界の人は皆知ってるのに。

こいつ本当馬鹿だ。俺みたいな男の為に、魔物としか思っていない俺のために。

「この蜘蛛野郎、絶対許さねーぞ」

「8mm魔攻弾(攻撃力200)」 5連発

”ドン”・”ドン”・”ドン”・”ドン”・”ドン”

全く効いている様子もない。

「ウインドスクレイバー」5連

ん?おかしいこいつ何で左の攻撃だけ避けるんだ。

よくよく見ると左足の一本の付け根に傷がある。前に真っ赤な目が6っつあるが左の2つが色が薄い。

ーーー

ジャイアントスパイダーは、年に数回発情期に入る。2週間前、雄が見つからず、100km先の別の奥の森へ探しに行ったのだが、発情のせいか何も気付かずクイーンの縄張りに入ってしまった。10mを超すクイーンが気配も感じられずいきなり目の前に。

左足一本で吹き飛ばされ、命からがら逃げてきたのだ。その時の傷がまだ癒えきっていなかった。

だが、発情期の本能には勝てず、山から雄を探しに出て来た時だった。

ーーー

危機感知を傷に集中して見てみると、向って左の足の一本を庇う流れが見える。全体には働かないが、部分的にも出来る事を知った。

「だったら体を5分割感知して、合体すれば何とか分かるか」

もう、頭から煙が出そうだ。感度は良くないが分かる。

>>>右から来る

頭を下げる。

”フュン”

こいつ動作が先ほどは見えないほど速いと思ったが、遅い。

いや、俺の思考が早くなったんだ。

実感するのは動作する前に来るのが分かっていれば凌げるものだ。

左人差し指のリングを変える。2連結ロングポイント弾用だ。

”カチッ”

>>左側の足が上から刺しに来ると同時に糸を吐き出す。

負傷した左足がカバーできていない。

「12mmミスリル弾(攻撃力1000)発射」

”ズキューン” ・”バキッ”

「キー・キキーー」

傷のある足が吹っ飛んだ。糸を吐こうとしたが吐けず、上げた足を引っ込めて耐える。

動けない大蜘蛛の左側面に回り、至近距離から折れた足の付け根に「12mmミスリル弾(攻撃力1000) 発射」

”ズキューン”・”グチュー”

胴体の中にミスリル弾が入り内臓を抉る。

”ドーン”

足で支えられず胴体が地面に落ちた。

ミスリル弾を使うとは思わなかったので10発の試作弾しか作らなかった。残り8発。

今度は、前に周り、

「12mmミスリル弾(攻撃力1000) 発射」

”ズキューン” ・”バキュ”

左目が潰れ、中にミスリル弾が深々と刺さっている。

「12mmミスリル弾(攻撃力1000) 発射」

”ズキューン” ・”バキュ”

駄目押しの一発。

大蜘蛛は動かなくなった。


俺は急いでオーキに向かった。

「オーキ、なんて無茶なことしたんだ。この糸の事知ってるだろ。一度巻き付いた糸は、その蜘蛛が解かない限り10年経ってもそのままだって」

「タケオ倒しただな。流石おらのタケオだ。良かったタケオが助かって。本当良かった」

「何言ってんだ。本当にお前は馬鹿だな、何で俺なんか助けたんだ。お前を魔獣呼ばわりしてたのに」

「何言ってるだ。おらのムークだ。当たりまえだ。・・・く、糸が締まって・・」

この糸は時間が経つと引き締まる。

考えろ、何か策はないか思い出せ。二度も命を救われた恩人をここで死なせるのか。お前はそんな奴なのか。

「う、う、う」

賢者の隠れ家から持ってきていた魔物図鑑を出しジャイアントスパイダーに限らず蜘蛛系の魔物の項目を穴が開く程見ながら読んだ。


 そこに魔獣の蜘蛛は、糸を出すとき魔力を込め弾力性と強度を糸に込める。

 糸が邪魔になると、魔力を抜き糸を切り落とすとある。

子蜘蛛の作った練習用の巣は、自分の糸をくっ付けて魔力を吸収して切っていると書いてあった。

 推察すると自分の魔力が入った糸を別の糸にくっ付けて魔力吸収すれば外れるのではないか。

正しいかどうかは、やれば分かる。

 俺は、ジャイアントスパイダーを収納に入れた。足を畳んでしまえば2mちょっとだ。お尻から糸になる前の粘性物質をフォジックを使い収納から糸状に1m程出して、オーキに絡みつく糸にくっ付け切り落とし、魔力を送った。次に魔力吸収の魔法回路を自分の魔力で起動し、糸にくっ付けると糸全体の魔力を吸い始めた。

30分ほどで吸いつくしたのか、糸が大きく緩んだ。

俺のMPもゼロ寸前だ。

その中からオーキを取り出し、お姫様抱っこしながら家に向った。


「おらの事初めて抱っこしてくれただな」

「大きいから中々な。俺の方が抱っこされそうだし」

オーキが首に手を回してきた。

オーキは2mもあるのでちょっと不格好だが何とか耐えた。

レベルも上がりこのぐらいは余裕のよっちゃんだ。


周りから先ほど助けた親が来ている。

「オーキの婿さん。本当にありがとう。食料もくれて子供まで助けて貰って、ありがとうございます。子宝に恵まれるよう神様に祈るからね。」

いや、頼むから祈らないでくれ。

オーキが真っ黒な顔なのに真っ赤になってるような気がする。

おい、牙を首筋に当てるな。頸動脈が切れるだろ。

「タケオ、本当に倒してしまったのか」

「長老、あいつは重症な傷を負ってましたので何とか倒せましたが、万全だったら全く歯が立ちませんでしたよ」

「そうか、そうか、それでも助かった。これでこの村も狩りが出来るようになる。良かった。良かった」


なんとか家に着き。優しくオーキをベッドに寝かす。体調が戻ってからはソファーで寝ていたが、今日は特別だ。一緒に添い寝してやろう。

「オーキの腕を見ると糸が食い込んだのかミミズ腫れになっている。肋も痛いのか腹を抱えている。俺は後ろから優しく摩りながら添い寝をした」

はずだった。一生懸命助けてくれたオーキがかわいく見え始めた。夜も暗くなり見えていないせいもあった。

(だいたい見えていないのに、かわいく見えるってどうゆう事)

溜まっていたせいもあったかも知れない。

魔獣のくせに甘いいい香りがする。

ーー俺は、きっと蜘蛛の毒で狂っていたんだろうーー

チュン・チュン

俺は今、頭を抱えている。

シーツには血の跡が・・・・

「タケオ、最初は優しいのが良かったかな」

何言ってんだこの極悪魔獣が。

「ああ、そりゃあな。・・・ごめん」

オーキに背中から抱き付かれた。

「大好き♡」


・・・・どうしよう。・・・・・・


ーーー誰でもOK猿ーーー



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