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31 .俺の女神


俺は、才能差別解放軍を殲滅し、町に帰って来た。

殲滅はしたが二度と帰らぬミミちゃんを思い出す。

暫くぶりにギルドに行くと職員に呼び止められた。

「タケオ君ファントムバットの羽の代金が来ているよ。受け取っていくかい」

そう言われ、頷くと個室に連れていかれた。

「はい、これ」

そこには、金貨が沢山積まれていた。

「はあー、これ幾ら有るんですか」

「金貨756枚、受け取り書にサインをお願い」

サインし、すごい大金を受け取ってしまった。

「学術院の人が採取場所を教えて欲しいと言っているけどどうする」

「いえ、街道から外れた場所で偶然拾ったので正確な場所も覚えていないし、胴体は腐ってしまったでしょうから何も教えられません」

ファントムバットの場所を教えるときっと何処かに逃げてしまうだろう。未だ研究したいので惚けておいた。

「そうか、じゃあ無理と話しておくね」

ほくほくの俺は”にへら”と締まりのない顔でギルドを後にした。

宿屋に帰り、孤児院の場所を聞いた。北の端にあり、あまりいい環境ではなかった。

生まれたばかりの子から13才までの子を預かっているそうだ。

皆、麻の袋に穴を開けて着ているようなものだ。

食事情も良くないのかガリガリだ。髪もボロボロ、短髪で男女の区別がつかない。

13才まで預かり、人足の手伝いや鍛冶屋見習い厩の下働き等々に従事する者が多い。

この孤児院を管理するシスターは一人で、年齢は30代後半の女性だ。シスターは、野盗に夫と子供を殺され、それから神職に付き孤児院を始めたそうだ。

中々寄付は集まらず苦労しているようだ。ここで巣立った者が働くようになり、食べ物を持ちより運営しているだけで食うのがやっとである。

 どのくらい運営費が掛かるかと聞いたら月金貨1枚と言ってきたが、嘘だろう。12人が食うだけでも最低金貨3枚はいる。光熱費、教会の修繕など5枚は必要である。


 実は、野盗から奪った金が金貨300枚近くあった。これを教会に寄付しようと思ったのだ。

その方が、死んでいった人達も喜ぶような気がした。全くの自己満足だ。もうこれから盗賊の金は全部孤児院に寄付しようと俺ルールを作った。

 毎月金貨5枚を”針糸商人ミミ”の宛名で郵送寄付することにした。

だってこうすればミミちゃんを忘れないでいられるから。

何年続けられるだろうか。

盗賊よ、しこたま貯めて待っていろ。お前らは孤児院の糧となるのだ。しかし、貴金属どうしよう。換金方法考えないと収納に溜まっていくばかりだ。

・それから暫くして一人の衛兵が行方不明になった。

俺は、収納の魔導回路を作っている。

錬金台の上で拡大鏡を使い、せっせと愛を込めて造った。

オリハルコンの直径2mmの小さなピアスだ。

お久しぶりのエルフの里である。

「タケオ、来てくれたのね。」

「当たり前だろフラウ。会いたかった」

別れて1か月しか経っていないが、もう10年は会っていない気持ちだ。

もう、会ったら最期。1日中家に籠った。

ーーーもはや2匹の猿状態ーーー

「テケオ、未だ起きなくてもいいでしょ。もう離さないから、この前、タケオが出て行ったら、タケオの事しか考えられなくなっちゃって仕事は失敗ばかりなの。タケオ成分を一杯吸収しないと生きていけない」

「俺もだよ、辛くなるとフラウの顔が浮かんで、会いたくて会いたくて仕方なくなって、どうしていいか分からなくなるんだ。」

ーーー 猿 絶好調 ーーー

3日も飯も食わず・・・・

これ以上は、、太陽って黄色かったっけ。しかし、フラウの体力は無限か、無限エネルギーのイデXンか。イXオンなのか。

ーーー 猿、限界を知る ーーー

「フラウ、そろそろ来た理由を説明したいんだが」

「うーん、いいよ」

ぎりぎり、やっとだ。やっとお許しが出た。

ーーー伝説の赤い玉は出なくて良かったーーー

「これを、プレゼントしに来たんだ」

俺は、小さなピアスを見せた。

「まあ、奇麗。この金属は何?」

「これは、オリハルコンだよ。

それより、俺が、空間から物を出している事を知ってるよね。

それをプレゼントしに来たんだ。」

「オリハルコンって、伝説の金属じゃない。

それに、収納魔法は、幻の魔法なのよ。それをプレゼントするなんて意味が分からない。」

「俺は、魔導回路術士だよ。収納魔法は、魔法陣数十枚必要な大魔法だから、まず人間で魔法発動は、再現不可能だけど、魔導回路なら作ることは出来る。微細な高密度回路だから、オリハルコンでないと長くは使えないんだ。

魔力がバカ食いなので、実用化には苦労したけど。」


俺は、フラウを見つめ

「でも、重要なのはそこじゃない。確かにこれで便利になるけど、必ず君の身を守ってくれる。もう俺たちは夫婦だ。出し惜しみなんてない。フラウが死んだら俺は生きていけない。だから遠慮なんて絶対しないで欲しい。俺の願いなんだ」

フラウはじっと俺を見つめ優しくゆっくりキスをして来た。

「ええ、遠慮しない。二人で生き残るの。でもその内増えるでしょうし」


俺17才だけど、何も臆することはない。でもフラウさん、ちょっと気が早いかな。授かりものだしね。


それから、基本の収納を作り、内部収納も中に作った。

 使い方を説明したのだが、フォジック魔法の使い方は俺なんか足元にも及ばない程上手だ。逆にフォジック魔法を教わってしまった。

フラウのMPは、1000を超える。凄い魔力量だ。

 フラウ師匠直伝のフォジック魔法をいつか戦闘でもご披露したいものだ。そして、俺はあまりの魔法の凄さに禁句を言ってしまった。

「フラウ、こんな凄い応用技なんて何年やれば出来るようになったんだ」

「私は、200年かかったわ。そう言えば年齢を言っていなかったわね。私きっと300才くらいだと思う。エルフは短い人でも800才は生きるからまだ若者なの」

 まあ、このさばさばした所が好きではあるんだが、人間にしてみれば300才って何?俺の方が絶対早く死ぬよ。

年の差200才以上って歴史に残りそうな記録だよ。

何も気にしていない振りをしながら、、、ほら、そこには愛があるから、

「魔法は奥が深いな。フラウには追い付けそうにないな」

「そんな事はないわ。練習は自分でしないといけないけど最初に発見した方法やコツは教えられるから、そんなに掛からないわよ。」

ーーー

 物事の発見は、莫大な時間がかかる。初めてそれを発見した人がこれは凄いと認識できるから発見として世に出て来る。凡人が見ても何も感じない事を感じる感性を創造性と呼ぶのだろう。同じことが出来たとしても最初に発見した人がいるから使えるのだ。それを自分が使えるのを当たり前と思っている何も考えない輩がいるが、ばかと利口を定義するならこの辺の聡さだろうか。

偉大だろうが偶然だろうが、最初に見つけたやつは凄い。

ーーー

「師匠お願いします。」

「夜は、お願いね。」

フラウは、300才だが、俺が初めての人だ。俺も初めてだったが、想像性(猿)は、俺が上だった。

もう、発見と応用の毎日だ。

などとやり取りをしつつ、ミスリルの盾の使い方。多重スパイダーシールドの魔導回路の使い方を説明した。

「ミスリルの盾4枚は、仕舞う時に魔力補充忘れないでね」

「収納から出す不可視の魔鉱弾は、練習してね」

不可視の魔攻弾を1000発渡しておいた。

発射する魔導回路の筒に魔石は100発分入っている。

これで、防備は少し上がっただろう。


最期に、針糸セットを渡し、ミミちゃんの話をした。

フラウは、”大切に使う”と言ってくれた。


それと、ハイキュアの魔石も長老に渡しておいた。


名残惜しいが、フラウに「ぜーーったい、危ないことはしないでね」と何度も釘を刺されながら、フラウ成分を満タンにした俺は、トワールの町に戻るのであった。





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