27.ユグドシアル(世界樹)と共に
迷いの森の結界らしきものを抜け、里に入ったのだろう。
だが、二人とも真っ赤な顔のまま手を繋いだまま離さない。
突然、エルフが現れた。
「フラウその只人は何だ。里に入れるとは、掟破りだぞ」
フラウは、手を放し
「彼は、里の大恩人だ。今から族長に合わせる」
そのまま族長に合う事になった。
町のエルフの話をし、町でも殺人をしていた事を話し天弓を渡した。
それから、フラウにあげたキュアストーンの他に2つ族長に渡した。
族長は、大変感謝し何か欲しいものはないか聞いてきたが、別に欲しいものは無かったので辞退した
観光と言うことで、暫く留まることになったのだが、フラウの家に泊まることになった。
ベットが一つしかないので居間のソファーに寝ようとした。
「何してんの。五日も一緒に寝てたでしょ。早く寝よ」
手を引かれ同じベットで寝ることになった。
「だ、だけど一緒に寝たら・・・」
「大丈夫、タケオを信じてるから」
ええー、それって手を出すなって事。蛇だって生で殺しちゃだめだよ。
これじゃ、泊ってる間一睡もできないよ。
フラウの寝息が聞こえる。
いい匂いだ。
寝返りをこちらに側に、・・・
ー堪えるしかない。初めては好きな人と決めていた。
でも好きな人には嫌われたくない。
俺は、俺は、どうしたらいいんだあああーー
それから、毎日寝不足の俺はフラウに里の案内をして貰った。
フラウは天弓士だ。弓矢の練習などを見ていると、500m先から的を破壊していた。
「未だ、動く的だと100%当てられないの」
「凄いな、達人までもう少しだな」
・・・そう、フラウは天弓士。この里から出る事は無い。
それから、奇麗な湖、奇麗な花を見るが、頭に入らない。
俺は、フラウの顔をずーと見ている。
「奇麗だ・・・・」
「ね、奇麗な花でしょ」
「ああ、奇麗だ。連れて帰りたいほど」
タケオは、寝不足で目にクマが狸の様になっている顔で言っている。ホラーだ。
「え?、それって」
フラウは、下を向いて真っ赤になった。フラウにはそれでもOKなようだ。恋は盲目、あばたもえくぼ。
タケオがこんなプレイボーイのようなことはきっとフラウにしか言えない。”恋は、人を詩人にする。”かも
最後に大木ユグドシアルを見に行った。
直径100mもある巨木だ。世界の魔素を調整しているともいわれ、世界に8本あるという。
この木の杖は、魔力を3~10倍にする。
その葉は、煎じて飲めば万病に効くという。
せっかくなので、長老に落ちてるものを貰っていいか聞いたらユグドシアルが認めれば持って帰れるそうだ。
「認めるってどうするのかな」
「それに触って光り輝けば持って行っていいの。輝かなければ何の効果も現れないから持って行っても只の木ね」
葉っぱが100枚拾ったら光ったので収納に仕舞った。
木のすぐ横に何千本も枝が積み重なり、山になっていた。
近づくと勝手に光りだした。
崩れて粉々になりながら固まっているが、繊維のように細い糸状になっている。
”これ、図鑑で見たユグドシアルの糸だ”
ユグドシアルの糸は、数千年の間、枯れた枝が繊維を作り出すと書いてあった。世界樹の近くから離れると魔力を補充しないと枯れてしまう。ただその繊維は強靭でオリハルコンの剣でも切り裂けない。と書いてあった。
思わず収納ニ個分を貰った。それでもほんの一部だ。
どう使えるか分からないので試験が必要だ。
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そろそろ帰らないと、このままいたら帰れなくなる。
当然フラウが居るから。
そしたらフラウの紐だな。
その日の夜にフラウは何かを感じたのか寝ながら急に
「好きな人いる?」
「い、いないよ。」
「本当?」
俺は、意を決した。
「いるよ、目の前に」
フラウに抱き付いた。
ぎこちないキスをした。
そして夜は更けていった。
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朝になり
「俺は、そろそろ「言わなくても分かる」」
フラウは、ユグドシアルのブローチを取り出し、二人で握った。
「私は、天弓士ここを離れられない。
私は、あなたが死ぬまで貴方以外と番いになることは無い。
そのうち他に奥さんが出来るでしょう。
だから、1年に一度でいいから必ずここに帰ってきて
一年帰って来なかったら地の底まで探しに行くわ
これは、ユグドシアルの絶対の誓い。」
「約束する。必ずここに帰って来る」
ユグドシアルのブローチが青く光った。
また、二人は抱き合った。時間を惜しむように只ひたすら・・
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「では、族長、お世話になりました。又来る事をお許しください」
「これを持っていきなさい。」
それは、迷いの森を抜けるためのユグドシアルで出来た小さなブローチだった。
こうして、俺は大事な人が出来た。ただ、年に1回しか会えないなんて考えられない。フラウ何回も来てやるぞ。
夜は、寝かせないからな。
ーー覚えたての猿ーー