12. だいぶ強いやつ③
いよいよ、待ちに待った、オークナイト・オークソルジャー・オークマジシャンを打倒する時が来た。
(レベル30になったから無理して挑戦しないよ。俺戦闘狂じゃないから。準備だけだよ)
森も魔物の嫌う高周波を周囲1kmにしたので、だいぶ近くまで上位種が来るようになった。
まずオークナイト・オークソルジャー・オークマジシャンなどの上位種が複数いるグループは避けよう。
オークナイト1匹のグループを発見。
速攻で、雑魚はウインドスクレイバーで瞬殺。
オークナイトが俊足で近寄てくる。
「魔攻弾発射!」
頭を貫通して後ろで爆発した。
オークナイトは、そのまま前に倒れた。
全く認識できていなかったようだ。
「あれ、レベル見なかったけどちょっと威力あり過ぎか」
だけど、威力を落として突っ込んで来られたら殺されるんだから、ちょっとオーバーキルぎみでもしょうがない。
命は一個しかない。
2週間ほど数十体倒したらレベルは30になった。
目標達成である。
LV30 魔攻89 MP150になった。
「ん?近くに未だ居たのか」
そこには、オークナイト・オークソルジャー・オークマジシャンの3体が立っていた。
オークナイト LV35 魔攻210 MP210/210
オークソルジャー LV40 魔攻280 MP270/270
オークマジシャン LV40 魔攻160 MP320/320
―強い、今までで最強ー
逃げるか?いや逃げる手段は確保してある。
やって見よう。この頃戦闘狂になってきたな。
先制攻撃
「魔攻弾発射!」
”シュン”
”ジョッ” ・照準がづれたか?
「アギャ・ギャググ、ブブヒ」
何かコミュニケーションをとっている。
頭を少しずらし直撃を避けた。左耳は千切れ血がだらだら流れている。
「感で避けたか?」
やはり百戦錬磨の戦士だ。
彼の眼が赤くなった。
ー「魔攻弾発射」”シュン”
(実際の戦闘では叫んだりしません。)
今度は完全に避けた!
オークマジシャンが詠唱が終わりファイアーボールを撃ってきた。そのファイアーボールの真ん中に魔攻弾を発射した。
死角になったのか、マジシャンは一撃で仕留めた。
斜め後ろに下がりながら、魔攻弾をナイトとソルジャーに発射。”シュン”・”シュン”
”ガキン”
ナイトも避けた!、ソルジャーは、剣を斜めにして弾を弾いたではないか。
ナイトも見ると目が赤い。
”まずい”額から汗が出てくる。
二人とも10mに迫ってきた。これ以上の戦闘は無理だ。
「魔煙弾発射」
”ボン”・”ボン”・”ボン” ー”キィーーーーン”ー
2匹は、その場から後ろにステップアウトし、30m程下がった。
俺は何とか後方へ脱出し、俊足で逃げ出した。
魔煙弾は、逃走用に作ったボールである。
中には、オークなどが嫌う”ニンニク・唐辛子”が入っている。
もう一つは、木に書いた魔法陣で、魔物が嫌う高周波の音が鳴る。これは、隠れ家で使っているものを小木に書いて入れた。また、粉にした魔鉱石と普通の石の粉を混ぜたものを煙幕にしたのだ。
後は投げる時に魔力を込めれば発動する。
さすがのソルジャーも耳は痛い、目に涙、鼻はぐちょぐちょだし煙幕で目でも見れない。魔鉱石の粉に魔力が入って分散されたら魔力感知も魔眼ですら役に立たない。
これでは、追えば不利と見るのは自明の理だろう。
少し問題なのは、自分で撒いといて鼻と口抑えるのを忘れた。・・・唐辛子はちょっとつらい。
しかし、あのソルジャーは、一回目の発射で指が自分を向いているのを見て何かが来ると予感して指の軌道上から外れたのではないか。
目が赤くなるのは、魔眼と思われる。
人間は、魔力感知で見ているが、魔物は、上位種になると魔力が見える様になると書いてあったことを思い出した。
3発目は、剣で斜め上に軌道をずらしていたのは、弾が発射される時の魔法回路陣が光るのを見てタイミングを測った。
軌道は、直線に来るので、その上に剣を斜めに構えて置いて強度を測っていたのではないか。
恐ろしい剣客である。
・
・やっぱり、レベル30になったしここは終了にしようかな。
何て何度も思ったが、また戦う事になったら確実に遣られる。1回殺されたら終わりだし、考えるしかないか。
・
隠れ家で、弾を作りながら数日考えた。
勝つためには、いくつかの方法を思いついた。
1.遠距離から狙撃する。
2.魔法回路陣の魔力を感知させないようにする。
3.別方向から射撃する。
4.同時複数発射する。
さてどれを選ぼうか。・・・そんなの決まってる。
「全部だ。」
1.遠距離射撃
弾を12mm、長さ24mmのロングポイント弾
弾を14mm、長さ32mmの超ロングポイント弾
弾を30mm、長さ32mmのポイント爆裂弾
を作った。
内蔵する回路の出力も3倍、5倍にした。
リング(指輪)にもう一個連結出来るようにした。
加速特化リングは、2つの加速魔法回路陣が追加され超加速する。
着脱可能だ。
額当てに望遠回路に照準を付けた。
爆裂弾は、ちょっと雑魚相手の範囲殲滅用である。
短距離では、散弾する弾丸も装備した。
テストしたが、長距離は、300mから500mがいいところで、1km以上になると風の影響だけでなく、湿度、星の自転も影響しているような気がする。届くのだが相当ずれる。
「あーあ、見えないところから一撃なんて、かっこいいんだけどな」
ー・・・だいたい見えないところからどうやって撃つのだろうかー
誘導ミサイルでもなければ不可能だと思うが
2.魔法回路陣の魔力を感知させないようにする。
いくつかの方法を考えたが、一つしか実用的な方法は思い浮かばなかった。
魔力吸収シールドである。
魔力を見るためには、相手に対して薄い魔力を放出し、魔力があると反射し自分に返ってくるのでそれをみているのだ。
つまり、相手からくる魔力を吸収してしまえば反射しないので見えなくなってしまうと言う訳である。(これって、魔力感知にも引っ掛からなくなるから気配遮断回路にプラスしようとタケオは思った)
魔法回路陣の相手から見た時の最終の陣に吸収シールドの薄く柔らかい幕を張る回路を追加した。これで、相手からは、魔力感知系の魔法を使ってもわからない。指は見えるのだが、それまで見えないと不自然になり警戒されてしまう。
3.別方向から射撃する。
4.同時複数発射する。
これには苦労した。
試行錯誤しながら、収納が使えるのではないかと考えた。
収納から取り出すとき、20m位まで遠くに出現させることが出来ることを利用した。
まず最初に発射寸前まで魔力を貯めて収納に入れれば時間が止まっているので即発射するかと思ったが、発動中の魔法はキャンセルされてしまう事が分かった。
(今回は失敗だが、考えようによっては、暴発している魔導回路を止めたり、呪いの壺を入れればキャンセルされるから便利かも)
今回、オーク上位種の魔石が数十個持っていた。、
MP100は出せるので、筒の底に魔導版で発射と弾丸への魔力供給、魔力吸収膜、認識阻害も発動を行うようにしてある。
一瞬の微妙な違和感があるが、その部分に注目していないと判らない。(この違和感に気づくモンスターがいないことを祈るばかりだ)
収納から出した瞬間不可視から弾丸が発射される。
2個取り出せば2個同時に発射される。発射と同時に収納へ戻す。
この出し入れを訓練したら4個同時に別の場所に出すことが出来た。
これで、憂いは無い。
また同じ上位種に会えるかは判らないので準備だけは怠らない事が大事だと思う。
レベルも30になったし、いよいよ冒険者になろう。