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1.序章

 ここは、地球で言えば中世ヨーロッパ初期の頃で、一般民衆は、麻の服を着ているのが普通で、識字率も低く、貴族が支配する世界だ。


 最も違いがある点は、魔素が存在し、魔獣,悪魔族などが人の暮らしを脅かすところだろうか、人間もそれに対抗するためなのか神の加護なのか魔法が使える。


 今回の主人公タケオが住む村は、「廃棄賢者の村」と呼ばれている。

村の周りは「廃棄賢者の森」に囲まれている。この森はどいう訳か弱い魔物しか存在しない。

弱い魔物といってもホーンラビット・ゴブリン・オークなどで農民が簡単に倒せる相手ではないが、他の森と比較した場合危険度は非常に小さいと言われている。


 なぜ、廃棄賢者の森と呼ばれているのかだが、この村が出来る100年ほど前に大賢者「トウース」は、国の金を魔導回路の研究と称して散財しつくし、激怒した当時の国王によりこの森に廃棄されたことから廃棄賢者の森と呼ばれるようになったそうだ。

この世界では、斬首に値する罪だが、よく追放で済んだのか不思議だ。


 村には50人程が住んでいるが、山村で農作物の育ちは良くなく、経済状態は最悪である。

殆どの場合、長男若しくは長男の嫁候補以外は、森から5日程行った所にある町「トワール」に出稼ぎに行ってしまう。

 貧すれば鈍するとはよく言ったもので、近所づきあいは殆どない。

そんな中で、タケオは、優しい父母の元、すくすくと育ち10歳となった。

父母は、タケオが物心がつく前の3才ころ、ロレンツ侯爵領都からこの村に越してきた。

父は、若いころ冒険者をしていたそうだ。その後ロレンツ侯爵の配下として騎士になったが、帝国との戦争で利き腕(右)を失くし、ここへ移り住んだ。

母も魔術士として参戦したが、視力を失った。

 

 物心がつくころには、既に農業を手伝い、山へ山菜や薬草を取りに行っていた。

父からは、イノシシの解体、獣狩りの罠づくりなどを教わり、母からは、読み書き算術、魔法の基本を教わった。


 年が近い子供は4人程いる。


ーどんどんー

ドアをノックするものがいる。

「タケオあそーぼ」


隣に住む娘ロレンである。隣といっても田舎なので50mは離れているが。

一応ロレンの父親は、この村の警備隊長となっているが、ほぼ門番として他所から訪問者をチェックするぐらいの仕事だ。

ドアを開けると中を舐めるように覗き込むロレンを押し出し、タケオは外に出た。


「家の中は見ないでよ。ロレンだって自分の家の中は見せないでしょ」


「別にいいじゃない。」


母さんから家の中を決して見せてはいけないといつも言われている。家には、特に大したものはないのだけれど風習的な?かな。


 ロレンとは、土手で花を摘んだり散歩している。

必ずロレンは、塩はどのくらいあるのかとか、小麦は床下に置いているのかとか聞いてくる。俺は、知らないといつも返す。

この繰り返しを30分するとロレンは帰っていく。

その時、「痛て」・・・石が肩に当たった。


「何するんだ!」

村長の息子グレンと取り巻き2人だった。


「はっはーー、めくらと腕なしの役立たずの息子が偉そうに歩いてんじゃねーよ。目障りだこのクロが!」


「僕のことはいいが、父さん母さんの悪口を言うな!」

となって、いつもボコボコにされるのが日課となっている。

「けっ、二度と逆らうな。このクロが。お前ん家は、”候補”になってんだよ。今すぐ殺してやろうか」


 ロレンがグレンの腕を引っ張った。

「グレン、それは終わるまで言っちゃダメって言われてるでしょ」

「ちっ!、行くぞお前ら」


 いつものことなので、手で埃を払い立ち上がる。

「痛てー」思いっきり蹴られたが、非力な子供の蹴りなので折れたりはしていないようだ。

母さんから魔力循環を教わり、魔力1しかないけどほんの少し身体強化が使えるので耐えられたといったところだろう。

父さん母さんを馬鹿にするやつは絶対に許せないが、非力の僕では全く歯が立たない。父さん母さんに心配をかけないよう汚れを払い、家へ帰るのであった


”候補”って何だろ?後で母さんに聞いてみよう。


◇◇◇◇事情説明◇◇◇

 

 先ほどグレンが言っていたクロとは、魔力の才能レベルのことである。

この世界は、魔力が強さの全てといっても過言ではない。

測定には、3つの才能測定玉と呼ばれる才能の宝珠を使う。

1.魔攻:魔法の攻撃力と防御力(一度に出せる出力)

2.MP:魔力貯蓄量(魔力タンク総量)

3.魔回:MPの回復速度

  (自然界からの魔素を自魔力に変換し貯蔵する能力)


測定玉は、

黒0:灰色1:茶2:緑3:黄緑4:紫5:赤6:青7:オレンジ8:黄9:白10

魔力無しが黒だ、人間は最低でも1つまり灰色なのだが侮蔑を込めてクロと呼ぶ。アナログなのできっちり色分けできないが目視で判断している。


魔攻は、レベルを上げると上がる。

魔物を倒した経験値量でレベルが上がるが、当然レベルが上がるにつれ自分と同等以上のレベルの魔物でないとだんだん上がりにくくなる。

灰色1では、レベル30で攻撃力30,白10では、攻撃力が300になる。

レベルを上げる理由は、魔力の攻撃力が上がるからだ。攻撃力は一度に魔力を放出できる量になる。

つまり、灰色1では、レベル30を超えるには同じ灰色の魔物であれば攻撃力が対等なのだが殆どいないと言うか殺されてしまう。つまりレベル30以上になれない。

この世界での記録される最高レベルは、91である。

白10で攻撃力910が最高だ。

ここにミスリル剣に攻撃力アップ910を乗せてヒットさせれば1820の攻撃力になる。

実際には、攻撃と耐久を同時にそれに同等量で行わなければ、自分の振った力が骨と筋肉の耐久力が無ければ骨が折れてしまう。

つまり、攻撃力は、455しか出せないので、攻撃力アップ910を足して1365になる。

魔法は、全攻撃力をエンチャントとして載せられるが、簡単ではない。

魔攻は、決して才能の数字分上がるわけではない。格上の魔物を倒すとか、鍛錬次第では加算されたり減算される。


魔回も同じように回復する。

灰色1:レベル1では、6分に1回復する。

白10:レベル1では、36秒に1回復する。

MPポーションなど他にも回復にはドーピング方法はある。

MPは、魔攻と同じ倍率だが、使用すればするほど大きくなるため、過去最高の魔術士は、8000と言われている。


つまり最高の才能は、トリプル白であり、最低がトリプル灰色となる。タケオはトリプル灰色であり最低の才能の持ち主である。

世間一般の標準は、茶2、緑3が殆どで、4-6は1割、7-9は1%、トリプル白は1年に数人いる。

魔攻だけが高いものは、剣士を目指す。

魔力循環から身体強化を使い、剣・槍・弓などに魔力を載せて戦う。

防御も魔力纏と防具の併用で防御力を上げていく。

近接戦闘の一対一が得意となる。(弓は別)

 

 MPと魔回が高いものは、魔術師関連に進むものが多い。

魔術師は、魔力循環から魔法の鍛錬を行う。身体強化に魔力を使うと魔法回路を体内生成できにくくなる。より強力に早い発動をするためには身体強化できないのだ。

そのため防御には、魔法のシールドを使い対抗する。

遠距離攻撃、広域攻撃が得意となる。

ただ、戦闘ではなく錬金術や治癒士など幅広い選択肢がある。


 この世界では、魔力を上手く使い熟すことで超人的な行動を可能にするのだ。

これがこの世界の一般的なセオリーだ。


しかし、トリプル白であっても日々の鍛錬を怠れば必ず強いと言う訳ではないし、レベルが上がると教える人がいなくなると同時に経験も少なく高位の魔物との戦闘になれば命を落とすものが多くなるため上位の才能のものが死亡する確率は高い。

あくまで才能であって絶対ではないのだが、どう見てもトリプル灰色では勝ち目は一生無い。


冒険者の半数は、引退前に死んでいる。生き残った殆どのものは25才前に引退する。

この世界の命は軽い。しかし、コネのない若者の仕事は冒険者か盗賊しかないのが現実なので25才くらいまでにコネ造りが重要ともいえる。


そして10才の秋、事態は急変していく・・・・・

この世界の才能に関する記述と実際の能力は、努力していくと増えるようにしていきたいです。

矛盾が出てくるかもしれませんが、その時ごとに修正していきたいと思います。

読みづらいかもしれませんが、不慣れなためご容赦ください。


誤字脱字を修正しました。


この小説を書こうとしたきっかけは、30年近く前に遡ります。

当時、勤めていた会社で、あの有名なビル・ゲXツさんの手持ち会社と合弁会社を作る事になり、システムエンジニアだった私は、シアトルと東京をVPNで繋ぐことになりました。

その時、当時最先端の接続設定に来たのが、何と20歳の若者でした。

彼は、高校を飛び級して17才で卒業したそうです。

大学は?と聞いたら無駄だから行かない。会社で目的の事は学べると言われてしまいました。

その時の知識は、凄まじく、質問に答えるだけでなく、応用して見せたのです。

この子は、相当の才能を持っている事は間違いありません。

話を聞いていると、5歳からコンピュータに興味があり、家で組み立てたり、10才ではプログラムのコンテストに出ていたそうです。

しかし、この子にとって才能なんて関係ない事がヒシヒシと感じたのです。

普通の平凡な出で立ちで、かっこいいところなんて何もない彼に、

私は当時30も半ばになりかけの年で大きな衝撃を受けました。

私は、コンピュータに関するいい大学を出ないと最先端の仕事には就けない。と勝手に思い込んでいたのです。

彼が嬉しそうにコンピュータの話をするのが眩しくて、最先端何て彼にとってはどうでもいいのかも知れません。

きっと彼は自分の前に壁があっても興味があったら何も気にせず、よじ登っていくのだろうと考えた時、いつの間にか形に拘り、努力を蔑ろにした自分を恥じたのを思い出したのです。

その事を少しでも織り交ぜながら、彼が主人公だったらどうするだろうと思って書きたいと思っております。

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