第十六話 拭えない不安
凄く短いですし、半分は前と同じです
「鎮圧完了との報告が入りました」
「……捕まえた数は?」
「112です。そしてその中にヤルデア公爵家当主のバルハンがいましたので、厳重に護送しております。」
「ご苦労様、何かあればまた報告を」
「はっ」
遠距離での会話が可能な魔導具が切れる。ルイラインは1つの大きな溜息をつくとこちらに振り向いた。
「ヤルデア家は元々ルーヘントの暗部……つまりルイトにおける私の家だと思われてきました。取り敢えず今からバルハンを使ってルーヘントの国王を引っ張り出します。話はそこからです。」
「ほんと、ギリギリだったわね」
予想であるが、あと数日以内には戦争が始まれていたのではないかと思っている。
「そうですね……そこのところは本人に聞きましょう」
ルイラインの予想通り、あれから半日後にある貴族が自宅の裏部屋で通信用の魔道具を取り出した。通信を切った所を取り押さえ、位置を特定。地図と照らし合わせるにあの施設からは馬で二日程かかるらしい
すぐに集団戦が得意な人達による少数精鋭の部隊が組まれ、鎮圧に向かった。4日経った今、完了したとの報告が入り、そこにいた112人を捕まえてこちらに戻ってきている。
(本当にこれだければ終わればいいんだけどね......)
施設に向かっていた時から感じていた不安感が未だに拭えなかった
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〈バルハンside〉
何もかもあっという間であった。全てこちらの情報が筒抜けであったかのように、集団戦に特化した者達が急に殴り込んできた。暗殺なら得意である私達もなすすべも無くやられた
(内通者か?いや、それだけは失敗しないためにあれだけ幾重にも場所を分けていたんだぞ?)
暗い馬車で揺られながら思考を巡らす。馬車の紋章は見れなかったが、ここまでやれるのはどうせルイトのやつらだけだ。だからこそルイトだけには細心の注意を払っていたというのに。しかし、どんなに考えても結果は変わらず、自分は捕まっており逃げられないという事実があるだけ
(陛下、後はお任せしました.......)
捕まる寸前、彼の放った伝書鳩。今、実行に移せる中で最善の策を携えたその伝書鳩は悠々と空を飛んでいた