表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/77

64話「人格をもう一つ」





私は、捜査室で、ヘラ嬢の事を考えていた。そして、彼女がわたくし「ターカス」にだけ親しく接する理由について情報を検索し、私のスケプシ回路にその情報をコピーしようとした。


しかし、写し取った情報をスケプシ回路にペーストしようとすると、エラー音が鳴り、上手くいかなかった。


“親愛を持って接する対象は一般的に限られ、最も信頼する人物は数人であるのが普通である。それは愛情や友情であるが、知性の高い動物にしばしば見られる愛着行動から始まり、精神が成長していくに従い学び取られる情感である”


私がそれをスケプシ回路に引用しようとする度に、合わないパズルをはめ込もうとしたように、シャットアウトされた。私は、それが不可解であり、また、納得していた。


私は、動物ではない。そして、幼い頃から愛着行動を示し、何者かの手によって育てられた存在ではない。だから、そんな私には、愛情や友情は当てはめられないのだろう。しかし、その事実をなぞる度に、私のスケプシ回路は反抗し、「そんなはずはない!」と意義を唱えた。


ほんの短い間そうしていて、その内にシルバ殿が、オールドマンの居室を突き止めたのだ。





「シルバ、その地図は」


アームストロング氏は、通信を続けながらシルバ殿と話し合っていた。居室が突き止められるなら、人員を増やして突入とする為、即座に各所に指示を出すのであろう。


「僕は承知していませんが、恐らくアクセス権限を全てクリアにした時に得たのでしょう。情報の運用についてはポリスの刻印がされています。ここは、過去都市ケルンの西南220km地点で、地下のようです。衛星には掛かりません」


その時点で、シルバ殿が世界連の情報にアクセス出来たのだろうかと私は考えた。衛星に掛からなくても、世界連であれば追える技術があるはずだ。それは犯罪利用がされないように、内容は公開されていない。


「ではそちらの建造物の造りや、用意されているシステム、あちらに何人何が居るかは」


「オールドマンは感知したようです。ここにある物体は、以前見たオールドマンと熱規模が同じです。それから、エネルギー源の位置と規模としては同じくエリックも見つかっています。そして、ターカスは感知出来なかったようです。完全に電源を落としてあるのかもしれません。他の人員は居ませんでした。でも、ここにもどこかから攫われてきた死体が無いとは言えません。そこまでの探知は不可能ですが、予測しておいた方がいいかと。建造物は堅固な牢獄です。元は世界連が重要犯の収容所として運用していた場所で、セキュリティとしては北アメリカ自治区のポリス本部をやや上回る程度でしょう。ですが、現在利用されているセキュリティシステムは牢獄として運用されていた頃の5分の1に留まります。カメラや熱感知、人感センサーや、音声抽出など、余計なエネルギー利用は限られているので、穴は無いわけではありません。たとえば、こちら」


そこまで喋り、シルバ殿は二本指で映し出された仮想ウィンドウ上の建築地図を拡大した。


上階から下階までを三段に横から写した簡易な建築地図の内、一番下層にあったポンプの部分をシルバ殿はタップする。そこには、人一人が難無く通れる空間があった。


「これは地下水を汲み上げて飲用水と生活用水にする施設です。こちらには人感センサーは無い。音声抽出機能や監視カメラも、必要無いからです。牢獄として利用されていた時も、何も地下400mの地下水脈に向かって脱獄する犯罪者など居なかった。現在もこの施設がこのままかは分かりませんが、ここなら気取られずに侵入が可能でしょう。初手で気付かれては、あちらに用意をさせてしまいます。不意打ちを狙うのでしたら、こちらをお勧めします」


アームストロング氏は顎を擦り、「フーム」と声を上げた。


「よし、分かった。では侵入はそちらから。シミュレーションをシルバはすぐに組んでくれ。人員はロペス中将の部下に打診する。何人必要か、どのような連隊なら可能かをすぐ」


「では、情報を端末へ送信します」


一瞬間の後にすぐにアームストロング氏の端末には、シルバ殿の希望する人員に関する情報が送られてきたらしい。それをアームストロング氏は軍へ転送する際に、“コードAAA”と付け加えていた。



2分後、人員はこちらに届き、私達はそれぞれの端末や思考回路で情報を共有し、各人作戦に移った。


だが、作戦の指示はシルバ殿ではなかった。元々彼は軍の人員ではないので、軍のロボットを指揮する権限は与えられていない。なので、ロペス中将の右腕と名乗ったロボットが、それにあたった。


「初めまして、皆さん。私はメキシコ自治区軍少将であります、これより作戦の指揮を執らせて頂きます、マリオです」


私はそのロボットに会った記憶は無かったが、恐らく戦時に徴用されていた時に彼は私を見たのだろう、「ターカス」と手を差し出され、私達は握手をした。





つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ