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63話 「それぞれの秘密兵器」





私の目の前でダグラス・ロペス中将は動かなくなり、彼はエリックの手で実験室へと乱雑に運ばれて行った。オールドマンを罵ったところでロペス中将は帰ってこない。私は失意の中だった。


しかしやはり、こちらを悪事に加担させようとして、オールドマンは汚い手を使ったのだ。


「オールドマン、こんな事で私を思い通りにさせようとお思いなのでしょう」


彼は短く笑って、「ならないのかね?ターカス」と言った。私は決然とこう答える。


「それを望まないから、中将は命を絶ったのです。私は、貴方に降伏などしません」


「でも、儂が命令の句を使えば、逃れられまい。君には元のようにロックが施され、識別番号は儂が書き換えた」


私は項垂れ、自分の限界に打ちひしがれていた…。





俺がもう一度目を覚ました時、幸いにも俺は何にも囚われていなかった。まあそりゃあそうだ。死体をガッチガチに縛り上げるような手間は普通掛けない。だから俺は、奥歯に仕込んであった薬液の入った義歯を吐き捨て、手に仕込んだナイフをまた取り出した。


偽の拳を握って開くと、拳を切り裂き、俺の右手はナイフになる。こんな物で敵さんに対峙出来る訳もないし、武器はすべて取り上げられたらしいが、ないよりはマシだ。それに、ナイフには簡単な磁力装置があり、簡易な磁力錠位なら開けられる。急場凌ぎにはなる。


俺はその部屋の灯りを点けず、なんとか廊下に出て、自分がまだ生きている事をターカスにだけ知らせなきゃいけなかった。


残念な事に、今はターカスの通信コードも変えられているらしく、個人通信を試みるも無駄だった。


「何か…」


俺の居た物々しい実験器具だらけの部屋にはロックが掛かっていなかったので、廊下にはすぐに出られた。しかしそこはどこだか分からず、部屋もいくつあるか分からない。それに、人感センサーに引っかかればアウトだ。いいや、もう掛かっているだろう。


もしや俺がエリックとやらに殺される前にターカスに出会えれば。その可能性に賭け、俺は慎重に、重要そうな部屋を探して廊下を歩いた。





「シルバ、オールドマンの居室は」


「可能性があるとすればメキシコの別の場所か、新事業の行われるアフリカですが、アフリカにそれらしき物はなく、メキシコシティ自治区内には手配が済んでいるので居ないでしょう」


シルバは端末に頻りに何かを入力し続けている。私には早過ぎて読めなかったが、彼なら処理可能なのだろう。


「ねえ、そろそろメルバが戻る頃だわ。私たちも動けるわよ」


アルバはいくらか責任を感じているらしく、しかし彼女もこの事態を重く受け止め、しっかり解決しようと思っているらしい。そこへ、シルバは腰掛けていたリクライニングシートごと私を振り向いた。


「アームストロングさん、この件に関して僕は、バチスタ博士からコードAAAを発せられています。僕は最高位のロックまで外して構いませんか」


私はゴタゴタに巻き込まれていたのでコードAAAの事はそのままだった。だが、それを発した以上、シルバは変わる。


「ああ」


私がそう言うと、シルバの周りには銀色に発光するシールドが現れ、彼の姿は見えなくなった。


その時にシルバが何をしているのかは、我々は永遠に知る事はない。


高度なプログラミングと、全ての情報へのアクセス権限を恐らく得ているのだと思うが、その後シルバに尋ねても、情報はワンタイムに抹消されており、彼がどんな手段で情報を得たのかは、永遠に外部に漏れないようになっている。



やがて彼の周りのシールドが、雨が払われるように降りていくと、シルバは私を振り返り、一つだけ出されていた仮想ウィンドウをこちらに向けた。そこには、点滅するポインターが、過去都市ケルンの脇200km地点を指していた。





つづく

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