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托卵された公爵  作者: 干物
5/27

05

 武術大会当日。


シュヴァリエ公爵家から子供が出ていると注目の的でしかも仮面で顔を隠している。公爵の従僕として見たことがあるとヒソヒソと話が広がるも本人にそういう声が届かないように周りにいる公爵家の騎士たちが固めていた。

ヴェロニカは仮面をつけた少年風なんて悪目立ちするだろう。父は別席で近衛騎士団長という仕事をしているのだが…貴婦人の方々だろうか、着飾った女性たちに言い寄られて首を横に振り続けている。

顔良いからね。年齢の割に???それにしても本当に勝っても良いのだろうか。いや、勝った方がいいのかもわからないが、父は全力を出せということと、王子たちとぶつかったら容赦なく叩きのめせというのが約束だ。

仕事として王家に仕えているが、内心はそういうことなのだろう。あのお茶会で人の顔を見るなり不義の子だと言っていた王子も参加しているらしい。それならば私もぶちのめす必要があるだろう。あの失礼な王子は必ず顔と股間は狙う。


 武術大会は王国騎士とも手を合わせるが我が家の騎士よりも弱い。ただ、圧勝は体裁が良くない。だから苦労したように見せて勝つ。体力的にまだ余裕がある。出て来たのは王子の側近なのか護衛の騎士。ヴェロニカは仮面を付けたままどうしたものか。少し考えた。


「シュヴァリエがこんな子供を寄越すとは人手不足か?」

「……そうですか。」


弱かった。とりあえず面目潰して勝つ。男は股間を潰せば簡単だ。




「ヴェロニカ、途中棄権で良かったのか?」


父からそう言われた。やりたいことをやってさっさと帰宅した。お風呂に入って自分の部屋で1人で過ごそうと思っていた。汗を流して全身をピカピカに磨かれる。目的だった王族の人間に一泡吹かせた。

ゆっくり出来るのは母が自死してからだ。部屋で読書をしていると音もなく人が姿を見せた。騎士ではなく軽装でフードも目深に被ったこの家には合わない出で立ちだ。


「ヴェロニカ様、お忙しい所申し訳ございません。」

「いえ、定期報告を断るつもりもありませんから。」


王都の情報屋「黒烏」表向きは冒険者や貴族にお金で情報を集めて売る健全な情報屋。

ただの情報屋ではなくシュヴァリエ公爵家が冤罪で裁かれることになった罪人を殺した事にして私兵として抱えている。

元貴族の令息やゴロツキが犯罪行為を犯す私兵として生き延びている。

ちゃんと理由はある。正当ではないけれど武芸を覚えた時に私が実力試しというか、自力でどうにか出来ないものかと色々過信してこの情報屋を叩きのめして頭目になってしまったので、逃げ道として?言い逃れとして彼らを私兵としてシュヴァリエ公爵家が召し上げることになってしまった。

召抱えることにしたから給金は弾む分父からの命令に従うようになっている。


「ラファエル何でこんなに……多くない??」


誰がどんな依頼をしてきたのか赤裸々に定期報告させているがいつもより多い。名を呼ばれた男性はフードを外す。整った顔立ちで眼鏡をかけている。立ち姿も整っており優秀な文官にも見える。


「そうですね、増えました。量もですが内容量も濃くなったのでお許しいただけるなら私から公爵に報告した方が良いかと思いまして。」

「分かったから取り敢えず身だしなみを整えて。」


衣装は揃えているし、設備も使えるようにしている。ラファエルは1度頭を下げて隣接している彼らの為に用意している部屋に向かった。私は使用人を呼び、父に報告があるから時間をつけて欲しいと命じておく。


情報屋、暗殺組織黒烏。対象は貴族も可能だが法外な金額が必要。彼らが運んできた情報に目を通すがきな臭い。何時の時代も人間は汚い。執事の装いに着替えたラファエルが魔法で髪を乾かしながら色を変えて入ってきた。


「父は夕食後なら空いているようなので従僕として傍にいてください。」

「畏まりました。お勉強の進捗は如何ですか?我が主。」

「問題ないよ。」


ごろーん。と、ソファーに横になるとラファエルは資料を纏めているが最後に漏れがないか確認をしていた。


「私から申し上げることは主の事を嗅ぎ回る人間も増えたということです。」

「そう……」

「これは公爵に伝えるべきと判断したので私が。」

「疲れたから……」


子供の体力は尽きるのも早い。欠伸をしてクッションに埋もれる。ラファエルは傍に座りウトウトとしている少女の頭を撫でる。その姿を見ればどのような血が入ってしまったのか分かるものには分かってしまう。髪が乱れるので少女を抱き上げて膝に乗せる。


「ラファエル……」

「御髪が乱れます。」

「お父様、は気にしないわ。」

「ダメですよ。このままなら休めるかと。」


欠伸をしてふぁぁと、大口を開ける。それよりも眠い。腕の中でスヤスヤと眠ることにした。

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