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護衛2人と騎士を連れて街に出る。
実力だけなら人造人間→私→護衛騎士となるけれど平民のルールなどには疎いので詳しい護衛騎士達に任せる。
認識阻害の眼鏡を掛けて魔法で髪を染めているので仮面を外している。
こちらをちらちら見られるがどう見てもお貴族様だならなのか。
話には聞いていたけれど、自分の目で見るのはとても面白い。食べ歩きをすると騎士達が青ざめるがこの場だけだと見逃してもらう。
黒烏の拠点にいくには路地裏から向かう必要がある。隠蔽魔術が施されている。ヴェロニカが解除しようとしたが、アンジュがあっさり解除をした。
「姫様、以前と場所は同じなのですか?」
「違うけれど、魔力を追えばなんとかなる。それに直接用事があるわけでもない。ただ見にきただけ。」
路地裏には危ない人たち、人目につかないからと犯罪の温床になりやすい。酔っ払いもいてアンジュが絡まれるが、護衛騎士たちは温情を持ち合わせていないので、殴って黙らせている。
「お怪我はございませんか?」
「怪我をさせてもほどほどにね。」
一応嗜めておく。スラム街や貧民街ではないが、治安はよろしくない。裏路地から出ようとしたら何か踏んだ。足を退けると布を被った人だ。思いっきり踏んだわけではないけれど、踏んだ。
「死体???」
「一応生きていますね。」
「……どうしたものか。」
「どうもしなくても良いのでは?姫様が気にすることでもないですよ。」
「……そうなんだけれど、魔力量や属性が多そうだから拾ってもいいかなって思って……よし、持ち帰ろう。帰る場所があるなら返してもいいし、踏んじゃったからね。」
ラファエルを拾った前科があるので護衛騎士たちは馬車を手配したりして切り上げて屋敷に戻る。痩せているから食べ物を与えれば元気になるしそれなりに教養があるなら今度作る店の雇われ店長でもいい気がする。使い道もある。屋敷での仕事も沢山ある。魔力の量、質が多いから研究者の手伝いでもいけるだろう。
「お嬢様、人を拾うことに抵抗がないのですね。」
「お金、権力どちらもあるから。使えるものは死体でも使う。それだけだよ。」
メイドに拾ったから食事とお風呂を与えるように指示をする。メイドたちも慣れているから頷いて世話をしてくれるだろう。お給金もたんまり出しているし、色々手当もたくさん出している。屋敷に戻り仮面をつけてメイドから報告を受ける。イクス様は相変わらず図書館にいる。アーク・シュヴァリエから始まる怨嗟がこもった日記の模写に忙しいようだ。辞書も残っているので紙を大量に持ってきて側近を連れてずっと一緒に篭りきりらしい。
昼食をともにすることになった。
「シュヴァリエ公女、何から何まで感謝しかありません。」
「お役に立てているのであればよかったでっす。我が国にわざわざ来て頂いたのに恥部を見られて終わりというのはあまりにも悲しいことですから。」
「あぁ……それはそれ。これはコレです。この件に関しては別件ですから。公爵家の方はこの国の中に居続けるのですか??」
「……えぇ、アーク・シュヴァリエはこの国の民の為に。と、言っていましたから。この国に残るだけの覚悟はあるのでしょう。」
仮面を外して認識阻害を施した眼鏡に変える。目の色、髪の色を誤魔化すだけで顔は見せる。イクスは仮面を外すとも思わなかったのか凄く驚いていた。
「仮面だと食べにくいですからね。」
「……とてもお美しいですね。」
「はい。ありがとうございます。」
ニッコリと微笑んで食事を終わらせる。
「姫様、目を覚ましました。」
「じゃあ様子見しないと。」
客室の1つで休ませているが意識ないことをいい事に勝手に服を剥ぎ取ってお風呂に放り込んで丸洗いされている。明るい赤銅色の髪…メッシュのように金色の髪がチラホラ混ざっているが白髪に見えかねない。
「姫様、少しスープを口にしたら眠ってしまいました。」
「そう……外傷とかの報告は?」
「こちらに。」
報告書には傷がある。この国には刺青が身分証のように使うことがある。特に罪人、奴隷には目立つように施す。王族がその身分から離れたことを示す特殊な彫り物が背中に施されている。
「お父様に報告を。なるべく早く帰ってくるようにって付けて。」
「承知致しました。」
さてと……王族は沢山生まれて、沢山放り出された。金髪金目でなければ早くに。名家の産まれなら分かるけれど……自信が無い。平民の子供から男爵、騎士の娘の子供がいる。
「喋れるようになったら教えて。」
「畏まりました。鎖に繋ぎますか?」
「暴れない限り指定はしない。」
自分の部屋に行く。大量に子供を作って金髪金目を残してほかは外に出す……そこまでしないと維持できない血筋。
バカバカしい。