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托卵された公爵  作者: 干物
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 敷地内にある別邸の準備が整ったころに父がイクス・ヴェリタスとその一行を屋敷に案内してきた。

屋敷は広いし、必要な家具を運び入れるなら今のうちにした方がいい。

当初の予定では王宮で全て用意していたが、当人たちが必需品として持ってきたものを入れ替えなどもあるだろうし、好みがあるならそれに合わせる必要もある。


「素敵な屋敷ですね。」

「こちらは別邸です。厨房などもありますので利用してください。」

「心遣い感謝いたします。公爵。」


 父とイクスで話をしているようで私は自分の執務室で邸の維持管理、公爵領から送られてくる資料に目を通していく。人造人間は父と私に付いている4人だけだ。公爵領に行けば一族が1人を護衛としてつけている程度。違和感に気づかれることもないだろう。一族単位でその貴族に仕えることはよくあること。




「ヴェロニカ様は屋敷内でも仮面なのですね。」

「成人するまで家人以外にはみせるな。という伝統です。」

「そうでしたか。調度品などが懐かしい感じがします。よろしくお願いいたします」


 イクスの側近や護衛も警戒しているが屋敷内を見渡していた。貴族の家よりは無防備かもしれない。家の騎士団たちが選りすぐりの精鋭ばかりで魔術師たちの感知させないための結界など色々隠しているが、それを説明する必要もない。


「食材は大体のものをとり揃えております。」

「ありがとうございます。王都の料理が気になるので夕食はヴェロニカ様とご一緒でもよろしいでしょうか?」

「……私でよろしければ。」


 仕事で常に一緒ではないだろうけれど。

 この国の苦情を聞くためにもなるべく同席すべきだろうか。ラファエルに調整をしてもらおう。見上げて目線で頼んでおく。学園まで季節を2つほど超える必要がある。それまでに準備を整えて交友関係を深めておくのも公爵家にとって利益があるだろう。




 イクスは案内された別邸を見て回る。王宮では露骨に繋がりを作っておきたい。

などの下心が露骨で4侯爵家の人間の権力闘争も垣間見得て堅苦しいと思っていた。

 同期になるだろう王子たちの評判は国ではあまり聞いてなかったが、王宮に入って気付いた。

 外に出さないように情報統制しているのではなく、出せるような功績がない。むしろ甘やかされまくっているような危うさを感じた。

 だから他人と言っても問題ない騎士団長をしているシュヴァリエ公爵に引っ越しは可能だろうか?と、相談をしたら娘の許可を得られたらと言われた。

 公爵ではなくご息女?と、思ったがシュヴァリエは聖王国王家のように女性が家督、爵位を継ぐ予定で公爵は入婿で繋ぎだからあまり決定権を持っているわけではない。と、丁寧に教えてもらった。


 そして引っ越した公爵邸の庭や別邸を見たら聖王国にあるようなセンスを感じた。懐かしいような、王家の貴賓室のような雰囲気であった。


「イクス様、お部屋を担当させて頂きますアンジュと申します。姫様に用事がある場合は私に。」


 ヴェロニカ専属のメイドは人形のような美しい立ち姿をしていた。護衛と髪色や雰囲気も似ていたから一族で仕えているのかもしれない。


「わかったよ。ヴェロニカ様は忙しいのかな?」

「学業の準備もありますが、爵位を継承するための勉学に勤しんでおります。旦那様も騎士団の仕事でお忙しいので家のことは姫様が引き受けていますので……ですが、事前にご連絡を頂いていれば対応は可能かと思われます。」

「……分かった。公爵家の図書室の閲覧は可能かな?」

「はい。本邸にございますのでご自由にお入りください。図書室ではなく図書館となっており中には専属の司書がいますのでそちらの指示に従って下されば。」


本邸から図書館に繋がっているということらしい。図書館????


「一室とかでは無いのか?」

「???詳しくは存じ上げませんがアーク・シュヴァリエ公爵の時代からの史料も現存していますので必然と図書館となったようです。」

「明日から図書館を使いたいので許可を得ておいて欲しい。」


アンジュに伝えると快諾してくれた。我が国には伝わっていないアーク・シュヴァリエと聖女様の記録があるかもしれない。




アンジュはヴェロニカにかに図書館を利用希望だと報告する。


「図書館???良いけど、見られて困るものは特になかったというか、そういうのは領地に運んでるだろうから……魔術師と錬金術師達に他所様に見られて困る研究資料や記録があるなら自己責任で隠すように伝えておいて。隠蔽魔法でどうにかなるでしょ。」


「姫様、多分少し猶予を与えた方が……」

「誰も来ないとタカを括って私物化しつつあることを怒ってる訳じゃないのよ?」


研究資料を散らかしている訳でもないが、いつまでたっても研究室に持ち出したままであったり片付けを司書に押し付けていることを知っているが悪い訳でもないが他所様に見せていい訳でもない。

ラファエルは直ぐに対処させます。と、メイド達と部屋から出た。見られて困るものを各人で隠す必要があるのに徹夜はしないだろう。

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