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死神と姫  作者: 御子柴 奉リ
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従魔術の姫

昼休みの学園内は活気付いていた。


白桃魔術学院はお城を模した立派な外観をしている。


学園内には食堂や売店も充実しており

お昼には多くの生徒が利用していた。


「おばさん!フライドシュリンプランチ下さい」


「かなちゃんホント好きだよね!フライドシュリンプ!じゃあ私は・・御赤飯と焼き魚ランチ味噌汁付きで」


「・・し、渋いねりこぽん・・・」


はいよ!っと返事をした食堂のおばさんは

手際よく昼食を用意してくれた。


狐色の衣を纏った大きなシュリンプが三尾

まだジュワジュワと音を立てている。


青々としたキャベツの千切り

箸で掬うと

ズッシリと重さを感じる程のポテトサラダ

コンソメスープとチキンライスが付いて

ポルト銀貨4枚とは

なんともリーズナブルである。


璃子の目の前には

ふっくらと炊き上がった御赤飯。


鮮やかな小豆色は

どこか神聖さすら感じる。


こんがり焼き目のついた雲鯖は

ルポルタ王国トエト湾の天然物


温かいお味噌汁に天狗漬

どれも美味しそうだ


「「いただきまーすっ!!」」


食堂のおばさんの料理はどれも絶品である。


白桃魔術学院に勤める前は王城料理人をしていた。

大人気映画キングコックのモデルである。

伝説の美食家ドリトルの妻。

などの噂が後を絶たない


「そういえば、かなちゃんの特化魔術って従魔術だよね?」


「うん・・まだ勉強中だけどね」


「そっかぁ、今召喚できる使い魔ってどんなのがいるの?」


「んーっと、シャインバードとかヘルハウンド・・ストーンゴーレムにシャドウウルフくらいかな?」


「へぇー!いーなぁ!シャドウウルフって上位魔獣だよね!すごーい!」


璃子に褒められ

照れ臭くなった叶芽は頬をかく。


詩月家は代々魔術に特化した家系で

特に叶芽の祖母は従魔術を得意としていた。


叶芽が小さな頃にこの世を去ってしまったが

優しくていつもニコニコしていた祖母


叶芽もそんな祖母が大好きだった為

祖母の家に遊びに行っては祖母に従魔術を教わっていたのだった。


「りこぽんは強化魔法だっけ?」


「あー・・うん!道場では強化魔法重視で使ってるけど、特化魔術は変化術だよ!属性は自然!」


そう言うと、璃子は手のひらから葉っぱを一枚出し頭へと乗せた。


璃子が目を閉じると身体の周りを緑色の魔力が包み始める、

しかし璃子が魔術を発現する前に

頭の葉っぱを誰かが取り上げた。


「こらこら!こんな所で魔術を使うんじゃないっ!!」


璃子が振り返ると

そこには桃色の髪をした女性が腕を組んで立っていた。


「げっ!桃先生・・ごめんなさい!」


「ったく!絹星!!ここは食堂だぞ!ばかものっ!」


呪術対抗術及び防衛魔術の担当教員

そして叶芽と璃子のクラス担任

柏木桃果かしわぎももかである。


桃果はコツンと璃子の額を小突くと

手に持った葉っぱを机に置いた。


「以後気をつけるように!詩月もだからな!」


「「わかりました!」」


「よろしい!あ!おばちゃん!いつものお願いねー!!」


はいよ!と言うおばさんの声を聞いた桃果は

満足そうな表情で叶芽達と同じテーブルについた。


「お!詩月はフライドシュリンプか!絹星は・・・渋っ!!」


「渋くないですっ!!!」



膨れっ面の璃子を見てカラカラと笑う桃果。


お待たせ!とおばさんが料理を運んで来てくれたが、叶芽と璃子は桃果の注文した料理に驚愕してしまう。


あまり目にしない大きさのどんぶり。


その中に惜しげもなく盛られた

大盛りのご飯。

その上には、

圧倒的な存在感を放つ肉の塊。

綺麗な焼き目のついたステーキが綺麗に切り揃えられていた。


「いやぁ〜やっぱりお昼はドラゴンステーキよねぇ〜!!」


桃果は勢いよくステーキを頬張る

その姿に叶芽も璃子も開いた口が塞がらない


「・・桃先生・・すごいですね・・」


「ん?なんだ?詩月、やらんぞ!」


「・・いえ・・」


「かなちゃん・・私達もたべよ・・」


「う、うん・・」



ーチャイムが鳴る。


昼休みも終わり

叶芽達は戦闘魔術の授業の為

校舎横に隣接している闘技館へと来ていた。


担当教員の九六田蜜吉くろだみつよし

迷彩柄のジャージを着て立っている。


ジャージ越しでもわかるような立派な筋肉

左目に黒い眼帯


そのなんとも近づき難い風貌からか

生徒達から密かに【漆黒のゴリラ先生】と呼ばれている。


「みんな揃ったな!この時間は戦闘術の訓練をするぞー!」


蜜吉が闘技館の壁に埋め込まれた水晶に魔力を込めると闘技館全体に魔力障壁がぼんやりと現れる。


内側からの衝撃や魔法が外に漏れないような仕組だ


魔力障壁が展開したのを確認した蜜吉は

水晶横にあるパネルを操作する。


闘技館の床に幾つかの魔法陣が現れ

その魔法陣から人の形を模したデコイ人形が出現した。


「よぉし、それでは戦闘訓練を開始する!」


蜜吉の指示に従い、生徒達は数人グループに分かれてデコイ人形に攻撃魔法や魔術を放ってゆく

もちろん戦闘スタイルはそれぞれで、体術を得意とする者や、叶芽のように従魔術を使う者。

それに伴い武器や呪具もいろいろあるようだ。


王都白桃魔術学院では入学してすぐに

魔武具の錬成を行う決まりになっている。


魔武具とは魔力の籠った武器であり

魔鉱石と自身の魔力で錬成され、錬成者本人だけの武器である。

持ち主に特化した形で現れ

同時に錬成者はその魔武具の銘を知る。


魔武具は銘を呼ぶことで力を発揮し

また持ち主と共に成長し、形や銘が変わる事が明らかになっている。



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