一章:第二話「廃迷宮廊と傀儡の甲冑」
哉芽+司+咲side
?月?日
―哉芽side―
贄だって?なんだこのふざけた演出は...
「兄様、廊下の様子が変なのです...」
「廊下が?...は?何処だここ」
どういう事だ?俺と明音は確かに保健室の前に居た筈だぞ
廊下が伸びた?それとも気付かないうちに歩いて迷った?解らない。解らない事が起き過ぎてる。
「兄様、私本当に恐いです...これは本当に肝試しなんですよね?」
「多分演出か何かだ、焦るな余計に恐くなるぞ」
そうだ、大分手の込んだ演出だと思えば恐くは無い。
―司side―
贄?まさか僕達が贄なのか?
落ち着け...恐らく演出な筈だ、更に恐がらせる演出だろうが...
「おい、何だありゃあれが【甲冑】なのか?随分デカいな...」
「待て、何であの甲冑が動いてるんだ?もう少し様子を視るぞ」
奇々怪々とはこの事か...あの放送が本当ならあれは【怪異】だ、正面から出たら多分...
「悠長な事してられねぇぞ、あいつ美悠の所に行きやがったぞ!」
運が良い事に美悠君達に気付いてそっちに行ったようだ。
「残念ながら私にもあれぐらい正面からでたら不味い事ぐらい解る。だから落ち着きたまえ。」
「あ?てめぇー嫌に冷静じゃねぇか。...まさかてめぇーの差し金じゃねだろうな?」
痛いな...胸ぐら掴まないでくれよ汚い
「君には関係無い...が彼女を助ければこっちが狙われて、僕達がやられる可能性がある。」
「...要するになんだよ。」
「暫く様子を視て危なかったら注意を引き付けてこっちも逃げよう」
―咲side―
な、なにあの甲冑生気を感じないのに殺意だけを感じる...あれは危険だって私のセンサーが反応してる。
「み、美悠ちゃん、あれこっちに気付いて来るよ!?」
「な、なんだあれは...甲冑が動いてる?中に人が?いやでも、明らかに腕が変な方向に...」
不味い、不味い、不味い、不味い
距離を詰められてる美悠ちゃんが混乱して反応してくれないっ!
「美悠ちゃん!逃げるの!早く!」
―その時司君の声が聴こえた