一章:第一話「肝試しと怪異譚一説」
7月14日
【深夜】
哉芽+明音+美悠+司+咲side
7月14日
―哉芽side―
「...はぁ?君の顔の方がこの場所の物々しさより怖いよ」
司が先ほどの真面目な雰囲気から通常運転に戻ったようだ。
「あ?てめぇー、もう一回言ってみろ鼻っぱし折るぞ。」
「あーはいはい争わないでくれたまえ順番くじ引き決めるよー」
絶対に司だけは一緒に組みたくないが...。
「ほら、次は君の番だ哉芽君」
何時の間に引いたんだあいつら...
どうせ残り一枚だしさっさと―ん?
「なぁ一応確認するが、人数分のくじだよな?」
「当たり前だろう?態々余分に作るなんて面倒な事せんよ。」
「だよな...」
ならこの二枚あるのは一体....
―明音side―
くじだとあいつと当たってしまう心配がありましたが、まさか兄様と組めるなんて夢のようです。
こ、こういう時は手を繋いで肝試しするのが良いって聴きました。
「あ、あの兄様?手を繋いでも宜しいでしょうか?」
「ん、怖いのか?なら手を繋いでも良いが...」
夢のようです!何時ぞやに逃してしまったチャンスを今回収しました!やったです。
「なぁ美悠が持ってた地図は、確かこっちの方で遭ってたよな?」
「その筈ですが...廃校舎になる以前からこんなに同じ部屋があるでしょうか...」
―何だか同じ場所を回ってるみたいに感じるです。
―美悠side―
さて、最初の一組が行ったし次は―
「京樹&司次は君達だ」
まさか、最初に引いてこの二人が当たるとは予想外だが...面白い組み合わせだな。
「チッなんでこの気持ち悪い奴とペア組まないとダメなんだよ...」
「はっ気持ち悪いのは君だろ?哉芽と組めなくて残念...って顔してるぞ君。男色なのかい?気持ち悪いな吐き気がする。」
「あ?てめぇー俺の事は良いが【あいつ】も入れんじゃねぇよ折るぞ。」
「そうやって暴力に出るのかい?野蛮人だねぇ君は。」
「チッ」
焼け石に水とはこの事か...
「言い争いする暇あるならさっさと行って戻ってこい。」
はぁ...私も哉芽君と組みたかったなぁ...
―司side―
なんでこの野蛮な雑多とペアを組まないといけないのか...
どうせなら明音君と組みたかった。
「...なぁお前ちゃんとルート通りに歩いてるのか?」
「はっ!低能の君に言われなくたって頭に入ってるよ。」
「ちげぇよ。さっきから同じ道歩いてるぞ。」
何を言ってるんだ?私が間違えたとでも?
「君の嘘に付き合ってる暇ないよ。それとも構って欲しいのかい?気持ち悪い。」
「気のせい...なのか?」
―咲side―
さっきから変な感じする...この廃校舎が生きてるみたいでぐわんぐわんって感じするの...。
「ね、ね美悠ちゃん、本当にただの廃校舎だよね?」
「ただのって普通の廃校舎だろぅ?お茶目さんめ」
こんな時でも変わらない美悠ちゃんが少し羨ましい...
「よし、そろそろ私達も行くぞ先に行ったペアは多分途中で遭う頃だ。」
「と、途中で私達も哉芽君と遭うんだよね?へ、変に思われないかな...」
私怖いの苦手だしこういう雰囲気も苦手...顔に出て笑われないかな...
―美悠side―
変だな...地図の通りに進んでるのに全く進んでる気配がしない。
それにもう既にタッチしてるであろう先行組にも遭う筈だ、なのに。
「変だ、同じ場所を回ってるぞ」
「へ、どういう事?」
「私にも解らない...だが嫌な予感が強まるばかりか変な汗が出そうだよ。」
解らない...彼ならこういう時なんて声を掛けてくれるのだろう。
「み、美悠ちゃんあれ、なに?」
―そこには183cmの錆びてた甲冑が歩いていた。
無機質な音声が校内放送で響く
―≪怪異譚一説【歩く甲冑】が起動しました。クリア条件:【甲冑に触れる事】失敗条件:【贄の全滅】良き混沌をお送りいたします。≫
―なんだって?