序章:第一話「美悠と約束」
7月8日哉芽side
7月9日明音side
最初は軽い気持ちだった...よくある話だ。
僕達も非現実的な幽霊なんて信じていないし、科学が進んで存在しないとも言われていた。
だけど、美悠と戸間が計画していた来月無くなる廃校舎での【肝試し】
廃校舎には数多の怪談があり、幽霊なんて興味がない僕にすら1つは知っている。
―【夜の廃校舎を歩く甲冑】―
実に馬鹿げた話だ、僕もそう思ってる。
第一人が入っても錆びて動かせば壊れそうな甲冑をどうすれば歩かせられるのか解らない。
更に付け加えると真夜中に廃校舎を歩いてるのを目撃してる...なんて話が解らない。
何故真夜中に正門より遠い場所に未だに撤去されずに放置されてる廃校舎なんて視えるはずがない。
考えてみれば怖く無いし至って単純で分かりやすい話なのに何故か僕は、気になってる話である。
7月8日
―哉芽side―
今日も普段と変わりない日常を送るはずだった...
「ねぇ哉芽話があるんだけど...」
こいつ...待ち伏せしてたのか...
「なんだ美悠僕は早く帰って勉強に励みたいんだ。話は手短に頼むよ」
「君は何時もつれないねぇ。そんなに勉強勉強言ってると禿げるよ?」
「...煩いな、男性は女性より髪の毛が薄くなりやすいって知ってて言ってるのか?」
「まぁ君の事だから大した用事ないだろうし帰ったら私の家に来てくれない?」
はぁ...?訳が分からん...何故急に呼ばれるのだ?僕なんかしたっけか...
「悪いな多分僕が今日無視してたのを怒ってるのだろう?謝るから許してくれ」
「え、無視されてたの私!?...傷つくなぁそんなに嫌われてるとは思わなかったよ...」
違う?なら何故...
「今年で私達卒業しちゃうし【企画】用意したから呼ぼうとしたのに...君だけそんなに冷たいならこれは白紙かな...」
やばい...これは、完全に僕が悪いじゃないか....
「あーあー来ないとは勿体ないなー(棒)」
「分かった!悪かったから何時集まるか教えてくれ...」
くそ....反射的に行くと言ってしまった...
「素直でよろしい!...んで日付だけど今度の土曜日13日の午前0時に私の家で集合だよ」
ちょっと待て午前だと?午後じゃなく?深夜じゃないか普段は寝る時間だぞ...
「は...?ちょっと待て。なんで深夜なんだ?」
「それはねぇ...おっと私がネタばらし嫌いなのを知っているだろう?これ以上は次回持ち越してくれ」
「補導されても知らんぞ...」
7月9日
―明音side―
昨日から兄様が元気ないのです。
何を聞いても「そうだな...」と「そうか...」しか返さないのです。
「あの...兄様?お体が優れないようでしたらお休みになられたら「違うぞ」...え?」
「至って健康的だ明音が作るご飯は美味しいし栄養バランスも採れてる何の落ち度もない」
「兄様...さっきはそうだなーとそうかぁしか返してなかったです。もしかして...あの女ですか?」
「ん?あぁ美悠が昨日「今度の土曜日深夜に家に来るように」って言ってたんだが検討付かなくてな...」
は...?あの女狐そんなこと言ってやがりましたです?
「あの女t...いえ、美悠さんがそんなことを...」
危ない...もう少しで素が出そうでした...
「なぁ明音何か何時もと様子違くないか?熱あるのか?ちょっとおでこ触るぞ?」
あっ...兄様が近くに...って
「に、兄様!だ、ダメです!い、今近づかれたら...」
「うわ、顔赤いじゃないか恐らく38℃あるんじゃないか?」
兄様が鈍感で助かりました...いえよくありませんけど...
「先に学校行きます!兄様の弁当はテーブルに置いてあるので忘れないでくださいです!」
「あ、あぁ分かった?」
―あぁまだドキドキする。