一章:十二話「逃げ惑う物と追いかける者」
明音+京樹side
―明音side―
あの男がどっか行って帰って来たと思ったら変な事言いやがりました。
「君の兄は甲冑に追いかけられていた、もしかしたら捕まってしまったかもしれない。」
「は?兄様があんな足が遅い甲冑に捕まるわけ無いですよ。」
そうだ、あの甲冑は私より遅かったなら簡単に逃げられる筈だ。なのに、胸騒ぎが納まりません。
「おい、てめぇまさか・・・」
「ん?何の事かな?私は、偶然見かけただけだよ?」
こいつまさか―
「おい、てめぇとはここでお別れだ。明音は、てめぇに任せると碌な事になりそうにねぇな。」
「は?何言ってるんだ。君は、私より上手く立ち回れるとそう言いたいのか?」
「ちげぇよ、普通にてめぇが腐った人間だから信用出来ねぇんだよ。」
「―殺す」
―この後の事はよく覚えてません。京樹さんが、あいつに背中を向けたら何かで頭を叩いてそれから―
「何処に逃げても無駄だよ、絶対に捕まえてみせるからね。―私の未来妻よ」
―京樹side―
痛ってぇな、おい。あいつバールなんて隠し持ってたのかよ。なんでぶっ叩かれた俺は、生きてるんだ?
「ッ!?・・・まだ走れそうにねぇな。」
俺は、あれから何分?何時間?倒れてたんだ?そうだ―
「不味い...明音見つけねぇと。」
俺はふらふらしながらも探した。いつの間にか2階に行ける様になってたみたいだ。もしかしたら、司は、既に2階にいるかも知れねぇが他の連中も遭遇しかねない。
「見つけたら言わねぇとな...」