始まりの村
ここは始まりの村。
最果ての村にして田舎。
一人の少年が冒険者に憧れ、冒険する物語。
彼の名前はチャド。
稼業は農家、次男坊である。
彼は今日も武器屋に入り浸っている。
今、僕は武器屋に来ています。
そして、ドワーフの店主が困惑の顔をしております。
「なぁ~少年
買わないなら
帰ってくれよ」
こぢんまりした店の中には、武器が一杯です。
この店は防具屋も兼任しています。
その中でも僕は剣の枠にいます。
「なぁ~少年
聞いてる?
毎日来るのは
いいけど
いい加減買ってくれよ」
そう、僕は毎日来ています。
なぜならば、僕は武器が死ぬほど好きだから。
じゃあ、何故毎日来るのか?
棍棒か銅の剣で悩んでいます。
僕の武器は木の棒。
冒険者でいう最低の武器。
素手の次に強い武器です。
この村近辺にいる世界で最弱のモンスター、スライムを倒すのに二回もダメージを与えないと倒せないのです。
下手すると三回。
非常に弱い武器です。
「なぁ~少年
そんなに見ても
あげないからな」
そこで僕は武器を買い替えようと思い現在に至るのだが、棍棒にしようか、銅の剣にしようか、迷っています。
棍棒は60金貨、銅の剣は100金貨。
妥協して棍棒を買うか、それとも一段飛ばして銅の剣を買うか、悩みどころです。
「いらっしゃい」
どうやらお客さんが来たみたいだ。
恐らく冒険者。
僕よりも装備がいい。
皮の鎧に皮の盾皮の靴に皮の帽子。
クッソ~、皮シリーズだ。
ちなみに僕は布の服に木の盾素足に兜無し。
武器も僕が木の棒に対し彼は棍棒だ。
明らかに僕よりも上位の冒険者だ。
その冒険者は僕を一瞥すると鼻で笑った。
「なんにします?」
ドワーフの店主が手を擦り彼に言った。
「銅の剣を下さい」
!?
こ、この人次のステップに行こうとしてる・・・悔しいけど王道だ。
「100金貨に
いや
このさい
85金貨でいいや」
ドワーフの店主が僕を一瞥して彼に言った。
!?
な、なにぃー!
まけやがった。
そして彼は
「毎度ありー」
買うんかーい。
そりゃ買うか。
15金貨もオマケしてくれてるし。
銅の剣を腰に差すと彼は僕を一瞥して店を出て行った。
その間、僕は銅の剣に釘付けだった。
ドワーフの店主は、また僕を見て
ニヤリと笑う。
「本気で買う客には大事にしなきゃ」
名台詞かの様に吐き捨てる。
そして僕はまた武器を眺める。
銅の剣はこの村の武器屋では最高の品。
他の村や町には行ったことないけど、この村では銅の剣は冒険者の憧れなのです。
「どうせ
金
持ってねんだろ
少年?」
そのセリフ、カチンときたよ。
「持ってるよ!
5金貨」
「それじゃ
駄目だろ」
グッ、そうなんです。
僕は買えないのに武器屋に入り浸っているのです。
僕は棍棒や銅の剣を買う為にここに来ています。
少しでも意欲を上げようと。
この辺のモンスターは弱く、と言っても僕にとっては強いのだけれども。
対して稼げない。
なかなか倒せないから効率が悪い。
武器を買おう。
武器が高い。
にはまっているのです。
だから、この村で冒険者になる奴はあまり居ません。
イコール、武器が高いのかもしれない。
僕も親に猛烈に反対されました。
僕の父親は農家を営んでいるので稼業を継いで欲しかったらしい。
僕には3つ上の兄がいるのですが、3年前にこの村から出て行きました。
彼も冒険者に憧れ出て行きました。
僕も兄に憧れて冒険者を目指している次第です。
だからこそ猛烈に反対された訳なのです。
それでも僕は冒険者になることを諦める訳にはいかないのです。
そこに冒険が有る限り。
「なぁ~少年
もういいだろ」
「よし
明日にしよう」
「明日は
来なくていいぞ」
「じゃあ
ドワーフのおじさん
また明日」
そう僕は言い店を後にした。
ドワーフの店主が何か言ったが、聞こえない。
村の外柵から出ると草原が広がる。
少し風があり、草が波打っていた。
雲一つない晴れ渡る天気、太陽が照りつけ、これ以上ない狩り日和だ。
今日の目標はスライム30匹だ。
お金に換算すると60銅貨。
スライムを倒すと死骸の一部、スライムの皮が2銅貨で買って貰えるからだ。
使い道は袋がわりだ。
使い捨て袋といったほうがいいか。
わりと用途は広い。
伸びるし。
土を入れて堤防がわりや、水を入れて水筒にしたり、小物入れにしたり、加工して子供の遊具なんかの為に使うとか。
でもいかんせん個体が多いため安い。
じゃあ、他のモンスター、強いから無理です。
スライムですら手こずる僕ですから無理なのも仕方がない。
せめてもう少し防具が強かったらと思います。
もちろん倒せないこともないけど
、薬草が大量にいるので赤字になってしまいます。
ちなみに薬草は5銅貨です。
なんとスライム3匹・・・結構高いのです。
と考えていたら、早速スライムが現れました。
は、はっぴき?効率悪すぎ。
LV 8
HP 33 攻撃力8
MP 5 防御力10
武器 木の棒
頭
盾 木の盾
鎧 布の服
足
道具 薬草×6
僕の攻撃。
木の棒をスライムaに叩きつける。
スライムaに3ダメージ。
スライムaの攻撃。
スライムaは噛みついた。
僕に2ダメージ。
スライムbの攻撃。
スライムbは体当たりした。
僕に1ダメージ。
スライムcの攻撃。
スライムcは噛みついた。
僕に2ダメージ―――――――――――――――――――――――――――
HP 20
MP 5
ヤバい、スライムも徒党を組むと恐ろしい。
あと一回行けるだろうか?
会心の一撃を食らったら死ぬぞこれ。
薬草を使うか?
でもその間に攻撃されるし・・・だから嫌なんだよ8匹は・・・逃げる?無理臭い。
既に囲まれてるし。
よし!こうなったらヤケだ。
僕の攻撃。
木の棒をスライムaに叩きつける。
スライムaに4ダメージ。
スライムaを倒した。
よし!一匹減った。
スライムbの攻撃―――――――――――――――――――――――――――
HP 8
MP 5
おー、なんとかもった。
さすがに薬草を使う。
僕は薬草を使った。
HPが30回復した。
HP 33
薬草×5
スライムbの攻撃――――――――――――
HP 23
反撃開始だ。
僕の攻撃――――――――――――――
や、やっと、た、倒した。
チャララッチャラッチャー♪
チャドのレベルが上がりました。
スライムがスライムの皮を8個落としました。
薬草を一つ落としました。
ナイス。
チャドはファイアーボールを覚えました。
LV 9
HP 33→36 攻撃力 8→10
MP 5→8 防御力 10→12
武器 木の棒
盾 木の盾
頭
鎧 布の服
足
魔法 ファイアーボール
道具 薬草×2
ファイアーボール?
やっべっ、魔法覚えちゃった。
ついに僕も魔導の道に目覚めたぜー。
でも赤字だ。
薬草×5個も使っちゃった。
あの後、会心の一撃二回ももらったし。
でもファイアーボール覚えたし、チャラだな。
一回、村に戻って薬草補充しようかな?
それともファイアーボールの試し打ちしようか?
そんなこと考えていたら、スライムに出くわす。
い、一匹!
試してくれと云わんばかりに。
「ファイアーボール!」
スライムに8ダメージ。
スライムを倒した。
スライムはスライムの皮を一つ落としました。
MP 6
つ、強い。
一撃です。
魔法恐るべし。
しかもMP 2しか減らないし。
これスライム以外も行けるんじゃね~。
ちょっとワクワクが止まりません。
可能性が広がる。
よし!帰って薬草補充するぞ。
サクセスストーリーが好きな人にはピッタリ。
昔流行ったゲームを参考にしました。
是非御賞味あれ。