総合魔闘大会
数秒の時間が空きメルト先生は答える
「ゔーん、1つ条件がある」
「何ですか」
アルは無表情で聞く
「それは総合魔闘大会で優勝する事だ」
「何ですかそれ?」
「それはな‥‥」
普通は生徒から上位に挑戦をしたいと言われれば先生は実力の開きがない限り受理しなければならない。
それにもし自分の担当するクラスにランキング10位の生徒がいれば評価が上がり給料も上がる。だから先生は自分の生徒がランキングを上げたいと言えば協力もする。
だがメルト先生には夢がある。それは人間世界含め旅をする事だ。
旅をするにはお金がいる。冒険者になり旅をする事も考えたが冒険者で成功すると思える程実力があるわけじゃない。
それで安定した職業の先生をして歳を重ねながらお金を貯めるがまだまだ先が長い。
だがたった1つだけ先生と言う職業で一攫千金を狙える方法があるのだ。
それは、3年に1度の総合魔闘大会で優勝する事だ。
総合魔闘大会とは人間魔族全ての各学院の各クラスに1人が代表して出場する大会だ。3年も1年も関係ない。場所は人族の帝国領にある決闘場だ。魔族は国が1つで統一されているが人族には3か国あり、その全ての学院から集まってくるのだ。出場人数は軽く5千人は超える。世界学院1位を決める大会だ。人族の中には学院で冒険者Sクラスも居るらしい。
その大会で1位が高価な魔道具と白金貨70枚、2位が白金貨50枚、3位が白金貨10枚と賞金がでる。
そこで何故担当が一攫千金かと言うと出場には担任が金貨1枚を払う必要があり自分の担当クラスがベスト3に入れば1位白金貨50枚、2位白金貨20枚、3位白金貨10枚と担任に授与されるからである。
更にこの大会では賭け事があり毎回莫大な金が動くのだ。この大会が今年開かれる。
「なるほど‥良いですよ。むしろ此方からお願いしたいですね。1位と闘うより面白そうだ」
とアルは笑顔で言う。
「そうか。なら俺が大会にエントリーしておこう。それに大会で良い所を見せれば魔王様から声が掛かるかもしれんぞ」
とニヤリとメルト先生が笑う。
「そ、そうですね。それより気絶してる先輩どうします?」
とアルは苦笑しながら言う。
「ん?放置で良いだろう。おーい!!!!お前らおりてこーい」
メルト先生は観客にいる生徒に向かって手をこ招きながら言う。
生徒達は観客から決闘場所に下りてきて集まったところでメルト先生が言う。
「知ってる奴も居ると思うが今年魔闘大会にアルが出場する事になった。3年に1度の社会見学を魔闘大会とする」
学院では3年に1度学院の費用で社会見学をする旅行がある。
何処に社会見学に行くかは担任が決める。
「ちょっとまってください!!」
(又こいつか、見知らぬ男子生徒)
とアルは心の中で言う。
「ん?なんだ見知らぬ男子生徒」
とメルト先生が言う。
(先生が言って良いのかよ)
アルは苦笑する。
見知らぬ男子生徒は気にせず
「僕達には大会に出場するチャンスはないんですか?」
「んーじゃあお前ら1人づつアルと闘うか?」
と先生は言う
「はい!!お願いします」
(全員纏めてが良いけど、それじゃ嫌味っぽいよな)
アルは考えた後メルト先生に言う。
「先生、それじゃあ出場したい人だけ生徒達でトーナメントするのはどうですか?優勝者が大会に出場するって感じで」
「僕辞退します」
とコラスは言う。
「私も辞退させていただくわ」
と先程決闘場へ行く時不満な顔をしていた女子生徒が言う。
「それじゃあこうするか。お前達全員で一気にたたかえ。それで最後に立ってた奴がアルと闘う。アルは11位だ。それぐらいのシードは有って当然だろ?」
とメルト先生が言う。
(ありがたいが、面倒くさいだけだろ)
とアルは苦笑する。
「んー分かりました」
と見知らぬ男子生徒が言う
「それじゃあ今から始めろ」
それから、アルと男女2人の生徒を抜いたバトルロワイアルが始まり。放課後最後まで立っていた生徒とアルは決闘して転移の首に手刀で呆気なく終了した。ちなみに見知らぬ男子生徒はバトルロワイアルの始めの合図で2秒後に気絶したのであった。
「いやーアルの大会出場たのしみだな」
と食堂でコラスが笑いながら言う。
「俺も楽しみだ。あっコラスにお願いがあるんだが」
とアルはパンを食べながら言う。
「本戦では賭け事あるだろ?お金渡すから白金貨10枚俺に掛けてくれないか?報酬の1パーセント渡すぞ」
「良いけど、そんなにお金持ってるの?」
「まぁね。親に渡されたんだ」
「へー金持ちなんだね」
「まぁね。てかコラスの家もだろ?」
「そうだけど、そんなに自由に使えるお金は持ってないよ」
とコラスは苦笑する。
「ちょっとここの席良いかしら」
女子生徒がアルの隣に立ち問いかける
「ん?良いけどきみは?」
とアルは女子生徒に向かって言う。
「私はユリア・エルトール。初日に自己紹介したわよ」
とユリアは呆れながら言う。
「あー席後ろだったから顔が見えなかったんだよ。だから殆ど聞いてなかった」
(えーガルトスのおっさんの子供だよな。どうやったら、こんな可愛い子が生まれるんだよ。全然似てねー)
アルは苦笑しながら言う。
ユリアは身長160センチぐらいだろうか。黒髪で長さは胸ぐらいまで伸ばし巨乳だ。顔は目が大きく猫のような目をしていている。
「なるほど」
と言ってユリアはアルの横に座る。
コラスはユリアを見て言う。
「エルトールさんって七大魔将の娘さんだよね?」
「ユリアで良いわ。エルトールって呼ばれるの嫌なの。そうよ、貴方の親もそうよね?」
とユリアはパンをかじりながら言う。
「うん、そうだね。お互い親が偉大だと苦労するね」
とコラスは苦笑して言う。
「そうね。アルって言ったかしら。あなたは誰に魔法を教わったの?」
「母親だな」
とアルは言う。
「へー母親の名前は?」
ユリアはアルを見て言う。
「すまん秘密だ。言うなって言われてるんだ」
とアルはユリアをみて言う。
「そう‥‥あの、もし良ければなんだけど私に闘いの師事をしてくれないかしら」
「‥‥何故俺なんだ?先生とかもっと他にいると思うが。それこそ父親に教えてもらうとか」
「それはダメ!!!!」
とユリアは立ち上がって大きい声で言う。
周りはユリアの方を見るがユリアが座り直すと直ぐに目をそらす。
「ごめん。大きい声出して」
ユリアは気まずそうに座り直す。
「理由がありそうだな」
とアルはユリアを見て言う。
「席はずそうか?」
コラスはユリアをみて言う。
「ううん、別に良いわ。隠す事でもないし」