決闘
「「おぉぉぉぉぉ!!」」
「すげぇぇぇぇ!!」
「すごぉい !!」
「でけぇぇぇぇ!!」
「流石魔王陛下のご子息」
「俺もいつか‥‥」
兵士達が興奮して口々に言う。
「来たね。うん、たしかにこの竜だ。久々に見たよ‥‥あっきたきた」
研究者達が興奮した様子で全力疾走で竜に駆け寄る。
「ゼェ‥すごい‥これは!!ハァ‥この鱗に魔力がゼェハァ‥オェ‥通っていてハァこの牙もゼェ」
研究者達は興奮している。
「君達体力ないんだからゆっくり来なよ」
と呆れた様子でユートが言う。
「す、すいません。ハァですがハァハァあっ殿下この度はハァハァ‥オェ」
「いいよいいよ何も言わなくて」
と苦笑しながらアルは言う。
ユートはアルに近づいて。
「アルこの竜の報酬なんだけど‥‥」
「要らないですよ。俺も王族だしこの国の為になるなら。ネックレスも貰ったし、学院のお金も払って貰ったしね。それに三年分のお金も多めにもらってるし」
「そっか。じゃぁ何か困った事があったら言ってね」
「分かりました」
ユートは幾分落ち着いた研究者達に向かって言う。
「この竜で何の魔道具が出来る?」
「そうですね。まず血で治癒薬を造れば、とんでもないのができますね。この竜の体余さず何かに使えますよ。魔石が無いのは残念ですが」
「まぁそれは仕方ないね」
「そうですね。しかし楽しみだなぁ」
「父上、そろそろ俺は学院の寮に戻ります」
「あっうん。ありがとね。たまには母さんにも顔出しなよ」
「はい。分かりました。では」
アルは部屋に転移で戻りベッドに寝転がる。
「今日はちょっと疲れたなー」
(風呂でも入るか)
アルはお風呂に入った後身体を乾かして直ぐに眠るのであった。
朝アルは6時に起きると直ぐに支度をして学院の訓練場に転移する。
(お腹減ったなー)
と思いながらアルは腕輪に魔力を流す。
映像を見ると魔法の種類に25Pと表示されている。
(あー昨日魔法使ったからな)
順位は2992/11257位と表示されている。
アルは映像を表示させたまま魔法を防ぐ結界に音の遮断を組み込み発動する。
(あっ28Pになった)
アルは取り敢えず初級魔法から片っ端に魔法を使って行く。放出系は飛距離を短くする魔法式を魔法陣に組み込む。
初級魔法が終わったら中級魔法の魔法陣を構築する。実戦では使わない魔法もどんどん使っていく。上級魔法、最上級魔法と一部の魔法を残して使い終わり、時間にすると1時間は経っていただろうか。
アルは映像に目を落とす。
魔法の種類272P 順位11位となっている。
因みに今の12位は魔法の種類は21Pだ。
(何だろう‥‥この気持ち。何か悪い事した時みたいな罪悪感が‥)
1時間で3000以上順位を上げたアルはそう思いながら寮に戻ってお風呂に入る。さっぱりすると支度をして、学院門に転移する。
(一度教室に行っておくか)
広い学院を迷いながら教室に到着する。
まだ誰も来ていないようだ。
アルは迷っている時に発見した食堂に転移して
パン、ベーコン、卵をゆっくり食べる。
食堂にある時計を見ると8時40分だった。
(そろそろ行くか)
アルは教室の前に転移してガラガラとドアを開けて見ると何人か教室にいて大人しく座っている。中に入り鍵を閉めてみる。
(やめておこう)
お茶目な事をしようとしたが止めて鍵を開けてから後ろの窓際の席に座る。
それから数分経つとゾロゾロと教室に生徒が入ってくる。コラスも入ってきた。
「コラスーこっちこっち」
と手を挙げながらアルは言うと
コラスは微笑みながら近寄ってくる。
「おはよう」
と隣に座りながらはコラスが言う
「おう、おはよう」
コラスとアルは雑談をしていると
時間は9時になり先生が入ってくる。
そして、先生が喋る。教室が静かだ
「今日から担当するメルトだ。メルト先生と呼べ。あとアル・ボンベはいるか?」
と簡単な自己紹介をしてメルト先生は生徒の顔を見回しながら言う。
「はい?」
アルからすれば、いきなり初対面の先生から呼ばれると思わなかった。
「12位から挑戦がきているぞ。しかしお前魔法の種類半端ないな。流石実技1位」
「え?」
全生徒がアルを見る。
「あー因みにランキングは先生だけこの腕輪で見れるからな」
と先生は自分の左手首を見せて言う。
「ちょっと待って下さい」
と名も知らぬ男子生徒が手を挙げる。
「何だ?」
「上位の人が下位の人に挑戦って出来るんですか?」
と名も知らぬ男子生徒が言う。
「出来んぞ。因みに言っておくがアルは11位だからな?言っておくがこの腕輪で不正は絶対出来んぞ」
と先生が言う。
(まぁ俺がアルと言う人物の事を実技試験管から聞いてなかったら疑っていたかもな)
「それでアルは体調に問題ないのなら挑戦受けて貰うぞ。良いな?」
と先生は教壇の机に両手を置きながら言う。
「全然言いですよ。いつです?」
「今日入学式がおわってすぐだ!」
と先生はニヤリと笑って言う。
アルもニヤリと笑う。
コラスもニヤリと笑う。
アルとコラスはノリでニヤリとしただけだが、
先程質問をした見知らぬ男子生徒は此方を見て鳥肌を立てたのであった。
生徒達の名前だけ言う自己紹介が終わると、
生徒達全員で室内訓練場に行く。椅子が並べてあり1年生だけで入学式をするようだ。
退屈な先生方の話しを聞いて1時間程で入学式は終わる。
そして、7組全員で決闘場に向かう。
その時アルは7組の1人が不満そうな顔をしている人物の事が何故か印象に残った。
アル達は決闘場に到着すると。生徒達は観客席に行き。アルは控え室を通って決闘場に向かう。
アルは通路を抜けると決闘場に到着する。
まずアルの第1感想は広いであった。日本の東京ドームを綺麗に丸にして床がツルツルの真っ白だ。床を触って見ると汚れが付かない。
(この地面魔法使ってるな)
観客席を見ると観客が所々にいる。決闘場に結界が覆っている。
アルは結界の頂上を見てみる。
(ん?あれは座学試験の最終問題?)
特大の魔法陣が結界の頂上に浮かび上がっている。
(俺が最後に解いた魔法陣が組み込まれてるな。転移、記録、ライト、結界、自動修復、完全再生)
とアルは魔法陣を読み解いてく。
(なるほどね、決闘場には最高の結界だな。俺でもこの結界を構築するのは数日はかかるな)
アルは決闘場を見終わるとようやく真ん中付近に歩き出す。真ん中付近には担任の先生と決闘相手が立っている。アルは歩きながらチラリと7組の生徒を見ると全員メガネのような遠見の魔法が付与された魔道具を着けている。
(あのメガネ貸し出しだろうか)
とアルは考えながら真ん中に到着すると対戦相手はアルに向かって言う。
「テメーが11位か。1年じゃねーか」
短髪で髪を立て、眉間に眉毛を寄せた生徒が白銀の剣を持ってアルの5メートル離れた場所に立っている。
「アルだ」
「1年がどうやって11位になった。ビックリしたぜ。朝起きたら俺が12位になっていて」
「魔法で」
とアルは無愛想に言う。
「お喋りはそこまで、アルは武器を持って来たのか?無いのなら貸し出すが?」
と先生は言う。
「いえ。無しで闘います」
「そうか。この結界は、完全自己治癒再生の魔法式を組み込んでいてな、闘技場に入った人の身体を記録して部位の欠損をすると自動で控え室に転移する。首が飛んでも治るぞ。まぁ簡単に言うと結界を出れば怪我が治ると言う事だ。後本人が転移を使いたいと願うと転移する。此処までの設備を整えても死ぬ時は死ぬ。魔法で塵にされたら流石に死ぬ。身体が残らない魔法を使わない事。その他は俺が判断する。良いな?」
とメルト先生はアルを見ながら言う。
アルは頷きながら「はい」と返事をする。
「では両者10メートル離れて」
両者は10メートル離れる。地面にはバツ印を記しているようだ。
「では‥‥‥‥始め!!!!」
アルは始め。と聞こえた瞬間相手の背後に転移して手刀を首に叩き気絶させる。
(12位でこれか)
場は静寂に包まれる。
アルは相手を見下ろしたあと先生を見て言う。
「メルト先生。1位の人に挑戦したいんですが」
静寂の中にアルの声が響き渡った。