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私の魔王様!?─仇討ち少女は魔王を倒したい!─  作者: シギノロク
参章 将軍の苦境─正しいお見合いの断り方─
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十七話 ドラゴンとロリコン

「それより、そこにいるのはラウラちゃん……とフローラちゃんよね?」

 私はリザルトのことよりも目の前のドラゴンが気になっていた。


 ドラゴンの影に隠れていたラウラちゃんが顔を出し、小さく頷く。


「まあ! お迎えに来てくれたんですね」

 ジェスカちゃんは感動したようにラウラちゃんに駆け寄ると、抱きしめる。

 ラウラちゃんは困ったような顔をしたまま、されるがままになっていた。


「で、フローラちゃんは?」

 ジェスカちゃんはラウラちゃんを抱えながら辺りをキョロキョロと見回す。


「……あれ……じゃないよな?」

 青い顔でリザルトはドラゴンを指す。

 あら、勘がいいじゃない。


「そう。あれはお姉ちゃん」

 ラウラちゃんはジェスカちゃんの腕の中で控えめに小さく頷く。

 それを肯定するようにドラゴンが吠えた。


「え? だって、フローラってハーフとはいえ、人みたいな格好してたよな?」


「お姉ちゃん、見せてあげて」

 ラウラちゃんがそう言うと、ドラゴンはもう一度吠えた。


 すると、二メートルほどの高さのあったドラゴンの体が見る見るうちに縮み、人の形になっていく。


「挨拶が遅れてごめんなさい。ジェスカさん、スクルドさん」

 赤毛を三つ編みにした少女がちょこんとお辞儀をする。

 その姿はフローラちゃんに間違いない。


 間違いないが、何となく身長が大きくなった気がする。

 確か以前は私より小さかったのに私と同じか、それより大きい。

 うん。明らかに伸びてるわね。


 私はほんの少し悲しい気持ちになりながらフローラちゃんを見た。


 ん? これはいいのか?


「わああああ、その格好!」

 リザルトは顔を隠しながら声を上げた。

 リザルトが慌てるのも無理はない。


 フローラちゃんはシャツとごく短いパンツという下着も同然の格好をしていたからだ。


「風邪ひくぞ。これでも着てろ」

 ヴィニウスがぶっきらぼうにそう言って、布を投げつけた。


 フローラちゃんは慌てて言われた通り、布を被る。

 布だと思ったそれはヴィニウスの上着だった。

 私と同じような体型のフローラちゃんには大きすぎて丈の短いワンピースのようになっている。


「男のだし、ちょっと砂っぽくて嫌かもしれないけど、ないよりマシだろ」


 うわっ。

 ヴィニウスのくせに紳士ぶってる。

 熱でもあるんじゃないの?


「で、ヴィニウスは上半身裸のままでいる気?」

 私は茶化すようにそう尋ねる。


 はっきり言って、今のヴィニウスは上半身裸で少女に自分の服を着せて喜ぶ、ロリコン変態野郎にしか見えない。

 このままだと通報ものだ。


「俺はあの馬鹿どものローブを着る」

 ヴィニウスは濡れたローブと剣や杖を持っていた。


 なるほど。

 さっきから全く話に加わってこないと思ったら、あそこで倒れてるドラゴン狩りの連中の持ち物を回収していたわけか。

 コイツ、意外と仕事が早いわね。


「アンタが風邪ひくわよ?」


「海に落ちたときと一緒だ。そのうち乾く」

 ヴィニウスは取り立てて問題にすることでもないと言いたげだった。


「あ、あの……ありがとう……ございます」

 フローラちゃんはヴィニウスのそばに来たかと思うと、はにかむように礼を言った。


「あ? 大したことじゃねぇだろ」

 ヴィニウスは冷たく返す。


 そんな言い方したら、フローラちゃんが泣いちゃうじゃない。

 しかし、フローラちゃんは恥ずかしそうに顔を隠すだけで、ヴィニウスの態度に動じていないようだった。


「本題に戻らねえ?」

 リザルトはじっとりとした目でこちらを見ていた。

 その姿は話に加われず、拗ねているようにも見えた。


「そうですわね。ドラゴンがフローラちゃんということはよく分かりましたわ」

 ジェスカちゃんは幼なじみをフォローするようにそう言った。


「ドラゴン化と人化の魔法を覚えたの。どちらの姿も私。炎のブレスを吐くのも一日二回までならできるようにもなった。だから、ジェスカさんのお迎えもラウラと二人だけで行っていいって……」

 フローラちゃんは下を向く。


「なるほど。帝国の者ならその強さも知っていることだし、ドラゴンにちょっかいを出そうとする者はそうそういないはずだ。ドラゴン化の魔法が使えれば、大丈夫だと判断されたのか」

 ヴィニウスは頷く。


「だけど、途中であの人たちが攻撃してきた。私は二回できる攻撃も使い果たしてしまった。皆が来なければ私たちは捕まってた」

 フローラちゃんは項垂れる。


「そういう事でしたか。いや、でも、魔法を使ってくださって良かった。大きな魔法の力を感じてここまで慌てて来たんです。もしかしたら、ワタクシたち間に合わなかったかもしれませんもの」

 ジェスカちゃんはフローラちゃんの頭を撫でる。

 フローラちゃんは嬉しそうな顔をした。


「本当に何度も助けてくれてありがとう」

 フローラちゃんはそう言って頭を下げた。

 ラウラちゃんもあとに続くように頭を下げる。


「お礼は村で。ついてきて」

 フローラちゃんはそう言って歩き出した。

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