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私の魔王様!?─仇討ち少女は魔王を倒したい!─  作者: シギノロク
参章 将軍の苦境─正しいお見合いの断り方─
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十二話 勇者様との再会

「まさかお姉様がこんなところにいるなんて。最初、幻覚を見ているのかとワタクシ思いましたわ」

 そう言いながら私に抱きつくのは、燃えるような赤い髪のツインテールに、キラキラと輝くアクアマリンの瞳の美少女。

 うん、私の平たい胸に当たる、この重厚感のある乳は、間違いなくジェスカちゃんだ。


「あのさ、スクルド? この女、誰?」

 ヴィニウスは胡乱な目でジェスカちゃんを眺める。


「友だちで、勇者のジェスカちゃんよ」


 そういえば、ヴィニウスはジェスカちゃんのことを知らないんだった。


「少し前に、幼なじみ共々、お姉様にお世話にはなりました。勇者のジェスカ・D・クライシアですわ」

 ジェスカちゃんは輝く笑顔をヴィニウスに向けた。


「へー、勇者。魔王陛下の敵だよな。消しとくか?」

 ヴィニウスは肩を怒らせ、何度も舌打ちをしながら上から下まで舐め回すかのようにジェスカちゃんを見る。

 お前はガンを飛ばす田舎のヤンキーか。

 もう少し上品にすることはできないのかしら。


「消すとか不穏なこと言わないの。嗚呼、もう、そういう目で見るんじゃありません!」

 私が窘めると、ヴィニウスは顰めっ面をこちらに向ける。


「こういう媚びた女、嫌いなんだよ」


「お口! お口が悪いわよ!」

 私は慌ててヴィニウスを黙らせようと叫ぶ。


 ヴィニウスは何処吹く風で、そっぽを向く。


「まあ、お姉様。ワタクシのことは大丈夫ですわ。こんなの子犬に噛まれたようなものですもの」

 ジェスカちゃんは私を抱き締める力を少し強くする。


 それを見てヴィニウスはますます眉根を寄せた。


「子犬!? お前はふざけてんのか?」

 ヴィニウスは本当に噛み殺すんじゃないかと思えるほど怒りながら、ジェスカちゃんに噛み付く。


「失礼。犬に例えられたら気分が悪いですわね。言い換えますわ。ママを取られて嫉妬するお子様みたいな方に怒るほどワタクシは度量は狭くございません」

 ジェスカちゃんは清々しい笑顔をヴィニウスに向ける。


 ヴィニウスは真っ赤になったかと思うと、殺気立った顔で身体を震わせている。

 こんなガタイのいい男が暴れたら、ジェスカちゃんが危ない。


 いや、身を守る為に、ジェスカちゃんが魔法を使うかもしれない。

 確か、ジェスカちゃんは、家の扉を爆発させたり、物凄い風圧でデュグライムの兵士を飛ばしていたりしてた。

 こんなところでそんな魔法を使われたら逃げようがない。

 大変なことになる。

 危ないのはどう考えてもヴィニウスの方だ。


「ヴィニウス、ヴィニウス! どうどうどう!」

 ヴィニウスの怒りを鎮めるように私は慌てて手を下ろすジェスチャーを何度も繰り返した。


「俺は犬でも、子どもでも、馬でもねえ!」

 ヴィニウスは叫ぶ。


「あ、いた、いた。ジェスカ」

 馬鹿でかい声が向こうの方からした。

 嗚呼、また人が増えたわ。


 私は頭を抱えながら、そちらを見た。

 ジェスカちゃんの幼なじみのリザルトだった。

 そういえば、この2人、いつも一緒に行動してるんだったわね。


「あ、スクルドのお嬢ちゃんじゃん」

 リザルトは人懐っこい笑顔で近づいてくる。


「あいつ、誰?」

 ヴィニウスはジェスカちゃんのときと同様、胡乱な目をリザルトに向けていた。


「あ、知り合い」


 実際、出会ってから別れるまで本当に一瞬のようなことだったし、リザルトに関してはあまり記憶にない。


「じゃあ、いいか」

 ヴィニウスはすっかり怒る気をなくしたようにそう呟いた。

 人の怒りは6秒しか持たないとはよく聞くけど、どうやら本当のことらしい。


 リザルトのおかげでヴィニウスは密かに九死に一生を得たのかもしれない。


「一応、お嬢ちゃんに助けて貰ったので、俺からすればお嬢ちゃんは命の恩人というところだけど」

 リザルトはそう補足説明を加える。


 お嬢ちゃんと呼ばれたけど、訂正するのも面倒なのでもういいわ。

 二十四歳、お嬢ちゃん。

 いいじゃない。

 ヴィニウスが「ババア」「ババア」連呼するもんだから、若く見られるのは悪いことじゃない気もしていた。

 私は寛大な気持ちになっていた。


「命の恩人……会わない間にそんな立派なことをしていたのか」

 ヴィニウスは感心したように私を見る。


「そんな大層なもんじゃないけどね」


 事実、私は捕まっていた人を逃がして、暴れただけだ。

 魔王やあの天使様がいなければ、上手く行かず皆死んでいたかもしれない。

 あのときばかりは魔王に感謝したわ。


「いえいえ、あの事件ですが、売られた方の中にはまだ見つかってない方がたくさんいらっしゃるみたいですわ。聖教国では、その方たちはもう殺されてしまったのではないかと噂されてますの」


「そうなんだよ。複雑な気持ちだけど、助かったのはこのお嬢ちゃんのおかげだ」

 リザルトはジェスカちゃんの言葉に頷く。


「待て待て。聖教国って今言ってたな。こいつら人間なわけ? じゃあ、ここは聖教国なのか?」

 ヴィニウスは話をぶったぎる。


 そうだ。

 ここにジェスカちゃんたちがいるということは、ここは聖教国だということになる。


 そうなってくると、帰るのにも時間がかかるわけだ。

 ヴィニウスの死亡フラグが現実味帯びてより堅固なものになってくるわね。

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