9.仲良し2人
いつも通りガーランティスさんがのんびりしている。のんびりしすぎてこのままねむってしまうのではと思っていたら、突然立ち上がり扉に向かう。いつものおどけた様子とは一転して張りつめた空気を出す。
扉を開くとそこにはゴブ助がこっちに向かって走ってきていて、それを前に見た2匹のゴブリンが追いかけてきていた。ゴブ助は部屋に飛び込んできてガーランティスの後ろに隠れた。私はすぐに《癒しの力》でゴブ助を治す。
2匹のゴブリンは見えない壁にぶち当たりわめきながら壁に向かって持っていた木の棒で殴りつける。これがゴブ助と同じ種族とは私には到底思えなかった。ガーランティスさんは壁に無駄なことをしているゴブリンを蹴り飛ばし外に出る。
『<ガーランティス(ヒューマン)>が退場しました。100GP獲得』
ゴブリンは壁に立てかけていたガーランティスさんの剣を見つけ、凶悪そうな不快になる笑みを浮かべながらその剣を手に取るが、身丈に合っていないためふらふらしながらガーランティスさんに近づいていく。
「俺はお前とこれを同じゴブリンとは思わない。お前の同族を倒すことになるがすまねぇな」
そうゴブ助に声をかけた後、剣を持ったゴブリンのかわし、もう一匹の方に近づき横切る。私にはただ2匹のゴブリンの近くを通り過ぎただけのように見えたがいつの間にか2匹のゴブリンは胸を突かれ倒れ、剣はガーランティスの手に合った。
その後剣を壁に立てかけ部屋に入ろうとするが見えない壁に阻まれる。
「返り血がいけないのか、殺気がいけないのか・・・・まあ、今日のところは帰るわ」
そしてガーランティスさんは背を向ける。
ゴブ助はそれを見て急いで私のところまで来て昼ご飯用のおむすびを包んでいたビニールを見せてくる。
『《食糧》<おむすび(小)(塩)(海苔巻き)(昆布)(ビニールシート)>X3を使用します。15GP消費します。よろしいですか?』
ゴブ助がそれを受け取るとガーランティスさんを追いかける。
『<ゴブ助(ゴブリン)>が退場しました。100GP獲得』
ガーランティスさんの正面に回り、おむすびを差し出す。
「・・・・ありがとうな。また来るぜ!」
おむすびを受け取りゴブ助の頭を撫でていつもの雰囲気に戻ったガーランティスさんはそう言って去って行った。
ゴブ助はガーランティスさんが見えなくなるまで見送った後、ゴブリンの死体を見つめ、
「グギャ・・・」
背中に担ぎ私のところまで来る。そして台の上に置き、目を閉じ手を合わせる。
『《供物》を確認。GP変換処理をします』
『<Noname(ゴブリン)> 120GP
<Noname(ゴブリン)> 153GP』
『《清掃》を使用します。100GP消費します。よろしいですか?』
その後私はゴブ助を含めた部屋の泥やら血の汚れをきれいにした。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
名前 Noname
耐久度 601/1000
清潔度 100%
環境 普通
GP 838
特殊機能 限定障壁:
《種族 ラフラト》
《種族 ガピート》
△ △ △ △ △
次の日、いつもなら昼過ぎごろに来るガーランティスさんはその時間になっても来なかった。
(もしかしたらこのまま来なくなっちゃうのかな・・・・)
そんな予感がして私は落ち込んでいた。しかし、
夕方になりゴブ助が帰ってくる。
「ガチャ」
□ □ □ □ □
入場者 2
名前 ゴブ助
種族 ゴブリン
名前 ガーランティス
種族 ヒューマン
□ □ □ □ □
「だからよ、今のお前の強さじゃウルフには勝てねぇって。1対1でもギリギリ勝てるかどうかなのにあいつらは絶対連携して攻めてくるからな。数が減ったら逃げるから1匹だけ残すってのもできねぇしな」
「グギャ・・・」
ガーランティスさんがゴブ助と一緒に帰ってきた。また来てくれただけでなく、ゴブ助を気にかけて一緒に行動してくれたことにものすごく喜んだ。
(でもよく普通のゴブリンと見分けがついたね)
ゴブ助はいつも通り台に採ってきたものを置いた。
(あ、籠か)
『《供物》を確認。GP変換処理をします』
「そういや、台に置いた毒キノコを取ろうとしたら消えたよな。毒の方がいいのか?・・・・いや、攻撃性や追加効果があるもの・・・・・違うな。恐らくレアリティーが高いほうがいいのかもな」
(へ~、なるほど。そうなんだ)
「となるとこのあたりだとやっぱり毒キノコとかがよさそうだが、やっぱり素手で持つのはちょっとなぁ・・・・」
(あ、それならいいのがある。ん~と)
『《手袋》<軍手(小)>《土木道具》<スコップ(小)>を使用します』
『合計で25GP消費します。よろしいですか?』
(はい。それと後、え~と、栗とか焼き芋とかを拾うやつ。名前なんだろう・・・・)
頭には浮かんでいるけど名称がわからなくて困っていると、
『《調理器具》<トング(小)>を使用します』
『12GP消費します。よろしいですか?』
(あ、<トング>っていうんだ。はい、お願いします)
そして3つが台の上に現れる。
(そうそう、これこれ)
「お、何か出てきたぜ」
ガーランティスさんがそれらを手に取ってみてみる。
「これがあれば安全に毒キノコも採れそうだな。これなんか武器に使えそうだぜ」
そういって<スコップ>を手に取って構えてみる。
「ん?武器っぽいけど結界はいいのか?いや、それ以前に毒キノコも攻撃性があるけど・・・・」
(あ、本当だね。なんでだろう?)
「まあ、とりあえず毒キノコとかもどんどんとってきていいってことだな」
ガーランティスさんはそう言ってゴブ助にそれらを渡した。ゴブ助は籠と一緒に入り口付近のいつも籠を置いている場所に置く。
それから食事にしてガーランティスさんは今日は泊まらずに帰って行った。